劇場公開日 2025年6月6日

「主題歌が終わるまで席を立たない方がいいです」国宝 トンまるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0主題歌が終わるまで席を立たない方がいいです

2025年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

映画が終わり、主題歌とエンドロールが流れるといつもはそこで席を立つんですよ。
「あ~、いいものを観た」とグッと伸びをしてスクリーンがまだ明るさを取り戻す前に、空になったポップコーンセットのトレー片手にスタスタと去っていくというのが映画を見た後の流れなんですが、この「国宝」は主題歌の「Luminance」が流れた瞬間、全身に鳥肌が立って、動けなくなったんです。
それで、何故だか自然と涙が溢れてきました。

もちろん良い曲なことは間違いないのですが、多分この曲を単体で聞いても泣くようなことはなかったし、映画の内容に感動したのか?と聞かれるとそういうわけでもなくて何に泣いたのか正直わからないんです。

ただ、上映時間3時間という長尺映画だったのに、体感時間は「鬼滅の刃」の半分くらいで、いつもは映画が終わる前に空になるはずのポップコーン(バターしょうゆ味)はエンドロールが終わったあとも五分の一くらい残したし、上映が終わるまでじっと座ってたし、頬には涙が伝ってたしで、良かった…というよりは「良かったんだろうなぁ…」というのが映画を観たあとの正直な感想でした。

何が良かったかと聞かれたら、わからないんですよ。
悪い意味でなく、本当に「良さ」がわからなくて説明できないというか、普段すき家の牛丼か、たまにコスパの良い焼肉店のちょっと良い肉食べてニヤニヤしてるような人が、三ツ星レストランのフルコースを食べて、美味しかった?と聞かれた時みたいな感じなんです。

評価ができないので星4で採点したのですが、これは映画を観た私自身の思慮不足なだけなので、映画の内容はもっともっと具体的に評価してくださってる方々のレビューを見て参考にしていただいた方がいいと思います。

さて、今から13年くらい前、私がギリギリ20代の時だったんですが、その当時TVで「仮面ライダーフォーゼ」が放送してたんですよね。
その時に2号ライダーを演じていた吉沢亮と、その友人役だった横浜流星のデビュー間もなかった当時の二人が時を経て再び共演ということで、何だか感慨深さを抱きながら観てました。

横浜流星君の関西弁が、普段使わない言葉をこの作品のためになんとか覚えましたというか、そんな不慣れな感じがあったのは気になったけど、渡辺謙はさすがというか関西弁も流暢に喋るんだなぁ…と、変なところで関心したり。
私、北陸育ちなんだけど、大阪には昔からやたらと縁があるので、関西弁には馴染みがあるんです。

タイトルが国宝なので、歌舞伎を舞台にした人間国宝のお話なんだろうなぁ…というくらいの知識と、知人が面白かったと薦めてきたので観た、という感じだったんですが、明治の歌舞伎黄金期の「連獅子」に、遊女が恋人と共に心中を果たす「曽根崎心中」と、なんとな~く見たことあるなという演目が出てくるので、知っている方はより深く楽しめるのではないかと思います。ちなみに私があと知っているのは、実際に見たことある歌舞伎十八番の助六と勧進帳。あとはスーパー歌舞伎のワンピースくらいか…。

内容に関してはどう良かったのかという魅力を上記で申し上げたように、私ごときちょっと良い焼肉店の1000円ちょっとの肉で満足出来るような人間では説明できないので省略させて頂くのですが、歌舞伎に魂を売り、人間国宝にまで昇華して得た「景色」は孤高の上に成り立ったものであって、美しさという言葉と裏腹に、多くのものを犠牲にしてもがき、あがき、手放せなくてしがみ続けた結晶というのが、なんというか、第三者には理解できない到達点なのだけど、その先はどうなるのか…やっぱり「綺麗なもの」のない空間で床に伏せてしまうのかなぁとか、そんなことを考えてみたり。

3時間という長い映画ですが、気づけば終わり、というようにあっさり終わったような印象だったんだけど、エンドロールと同時に涙が流れる。
どう良かったか説明できる語彙力も知識も持ち合わせていない一般市民なので、一言で言うならこれ。

「主題歌が終わるまで席を立たない方がいいです」

この「Luminance」が流れてから聴き終えたあと、映画をどう感じたかが如実に出てくるのではないかと思うので、終わったと思って帰ってしまうのは損ではないかと思います。

トンまる
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。