「「国宝」らしい重厚さは映像美で堪能できるが‥」国宝 ひみあさんの映画レビュー(感想・評価)
「国宝」らしい重厚さは映像美で堪能できるが‥
歌舞伎の魅力を最大限に映像美で切り取った作品。劇中演目の圧倒的な迫力は必見。特に『曽根崎心中』での喜久雄(吉沢亮)と義足の俊介(横浜流星)の花道シーンは、現実離れした美しさに息をのむほど。
吉沢亮と横浜流星は、1年半に及ぶ稽古の成果を存分に発揮。吉沢亮は、「上手くいってない演技」と「会心の演技」の違いが分かるほど演じ分けていたとの評価もある(私はわからなかったけど‥)。
吉沢の透明感が際立つ一方、横浜流星の妖艶さと色気は圧倒的で、両者の美しさが物語の核となっている。
ただ、数年後への突然の場面転換など説明不足な点も目立ち、個人的に映画としての完成度には物足りなさも‥。俊介の挫折や喜久雄のスキャンダルなど、キャラの葛藤・復帰過程が薄く「想像で補完してね」的な部分も多め。3時間という長尺ながら、心理描写や深掘りに限界を感じた。
あと配役に関して女性陣が地味にまとめられているのは主演2人の美しさを際立たせるための狙いかな?寺島しのぶさんは素晴らしかったが、もっと意地悪でいてほしかった。
「国宝」らしい重厚さは映像美で堪能できるものの、映画作品としての構成―とくに劇的な挫折、復帰、人物の深み―には物足りなさを覚える。上手く言えないが、もっと魂を揺さぶられたかった。
歌舞伎×現代イケメン俳優という贅沢な時間を、大画面で味わう価値は十分だけど、エンタメ性と芸術性のバランスをどう感じるかは好みが分かれそう。
調べたら1978年に『曽根崎心中』が映画化されてる。主演は宇崎竜童さんと梶芽衣子さん。是非観てみたい。
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