劇場公開日 2025年6月6日

「これは、ただの歌舞伎映画じゃない。血と芸に生きる魂の物語。」国宝 シネマ紳士さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 これは、ただの歌舞伎映画じゃない。血と芸に生きる魂の物語。

2025年7月30日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

単なる「歌舞伎映画」ではなく、その背後にある血の継承や芸に捧げる狂気と孤独を描き出した、奥行きのある人間ドラマだった。

吉沢亮と横浜流星の歌舞伎役者を演じた二人の演技は、しなやかで鋭く、強烈な存在感を放ち、美しい所作のひとつひとつに、魂の叫びが宿っていた。

一方で、物語の構成にはやや詰め込みすぎな印象もあり、感情が追いつかない瞬間もあったが、無駄を感じるシーンはほとんどなく、物語は濃密に進んでいく。

観終えた後の劇場に漂う静けさと余韻に、「この世界からすぐには戻れない」という感覚が残る。

これは間違いなく、人間の激情と静寂を同時に味わえる、稀有な映画体験だった。

• 世界へ入り込む度:★★★★★
• 感情ゆさぶられ度:★★★★☆
• エネルギー消費度:★★★★★
• 配信でも観ます度:★★★★★
• 人にすすめたい度:★★★★★

【制作エピソード】
印象的な吉沢亮が演じる喜久雄が屋上で舞うシーンは、実はほぼアドリブである。当初は夜の照明下で撮影する予定であったが、急きょ夕暮れ時の30分間に変更された。監督は40人のスタッフの前でリハーサルを行わせ、森七菜との即興芝居の中で、吉沢が予定にないセリフを発し、感情のままに舞った姿に対し、監督も「見事だった」と絶賛している。

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