「後半が駆け足すぎてもったいない」国宝 まみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
後半が駆け足すぎてもったいない
映像の美しさ、音楽の調和、俳優さんの素晴らしいお芝居と、どれもすばらしく、レイトショーで睡魔との闘いに負けないかとの懸念は全く不要だった3時間でした。
ただ2点だけ、どうしても気になったこと。
破門同然で一門を去った喜久雄は、どうしてあんなにあっさりと、表舞台に復帰出来たのか?
血筋と才能をめぐる喜久雄と俊介の確執や、芸に対する執念がこの映画の主題だと感じていたので、そこをもっと丁寧に描いて欲しかったなーと思いました。
そもそも175分の長尺映画ですし、もう少し長くなったとしても、その辺りの描写で説得力を持たせてくれても構わないのに…と感じました。
そしてもう1点。喜久雄にかかわる女性たちの描き方が雑に感じました。
春江と藤駒に関しては、身の処し方にまだ納得できるところがあったものの、彰子に関しては、愛のない駆け落ちであることをわかった上での隠遁生活を支える辛さや、忍耐が限界を迎える様の描き方に納得感が得られず…。
喜久雄が表舞台に戻るためには、彰子が父親に頭を下げたり、関係者に根回しをしたり、それこそ「血」を活かした働きがあったんじゃないかしら?と、勝手に想像したので、余計にかわいそうに思いました。
ともあれ、役者さんの細かな表情の動きや息遣いなどが感じられ、映画だからこそできる歌舞伎の描き方は、新しい世界を開いた感がありました。
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