「若者たちへ伝統芸能を伝えた功績は大きい。」国宝 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
若者たちへ伝統芸能を伝えた功績は大きい。
いやぁ秀作でした!歌舞伎のことは詳しくは知らないけど、昭和歌舞伎を深く理解し、憧憬を堪能できました。歌舞伎ならではの女形という稀有な存在に焦点を当て、ストーリーに惹きつける。エンターテインメント要素も充実して、3時間を感じさせないです。
「悪人」や「怒り」で、人間の極限を描いてきた李相日監督は、今作も圧倒的な重厚感とリアリティで人間を描ききる。
映像も素晴らかった。「アデル、ブルーは熱い色」のフランス人カメラマン、ソフィアン・エル・ファニは、日本を俯瞰で見る眼差しがとても新鮮でした。演者の感情の揺れや、しなやかな身体の美しさ、生々しい質感に息を呑みました。光と影の構成も芸術的でした。
「血筋か芸か」というテーマを際立たせたのは、吉沢亮さんと横浜流星さんの妥協のない役作りと、壮絶な演技ですね。身体に染みついた歌舞伎のクオリティは、マスターするのに1年以上もの歳月をかけたらしい。きっと並大抵の努力じゃなかっただろう。それを想うだけで、心が揺さぶられました。
歌舞伎出身の役者ではなく、あえてこの2人がストイックに演じたことが大成功。高校生の観客も目立って、若者たちへ伝統芸能を伝える娯楽作品に昇華させた功績は大きい。若手実力派俳優が揃ってきて、日本映画のこれからが楽しみ。
もちろん、田中泯さん、渡辺謙さん、永瀬正敏さんら、脇を固める大物俳優もさすが。怪物の天才子役、黒川想矢くんの成長ぶりもすごい。今年の日本アカデミー賞は、この作品で総なめになってしまうのでしょうね。
フイルム調の質感で、吉沢亮さんと横浜流星さんの繊細な演技と、ダイナミックな舞を楽しむには、絶対スクリーンで見た方がいいですよ。静粛な緊張感を観客同士で共有するのも、劇場映画の楽しみですしね😊
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