「全てを引き換えに極めた道」国宝 ちゃわんさんの映画レビュー(感想・評価)
全てを引き換えに極めた道
やっと鑑賞できました。
多少の粗はあるけれど、そんなものは気にならないくらい力のある素晴らしい作品だと思います。
細かい点についてはあまり語ることもないのですが(是非、みてほしい)、鑑賞終わって、帰って、ずーっと国宝のこと考えてて、夜シャワー浴びてる時にふと心に浮かんだことを書きますね。
キクオが全てを引き換えに芸を極めたいと願い、その結果として4人の女性を不幸にしました。
春江、藤駒、あやこ、彰子です。
春江は春、藤駒は藤で晩春、あやこは文月から夏、彰子は秋でそれぞれの季節になぞらえることができ、さらに人生の青春、立夏、白秋をともにパートナーとして(キクオにその意思はないとしても半ば搾取のような形で)過ごしたとも捉えられます。
万菊さんが半弥に稽古をつけていたときのセリフ。女性のことを知らないから、女性になりきれないからそんな動きになるんです。
これは、キクオの心にも響いていたと思います。
晩年、玄冬には、不幸にした女性も踏み台の一部とし、女性の心を掴み、女形として人間国宝に上り詰めました。キクオは、もう女性を必要とせず、自分が花となりました(万菊さんと同じようにとも思える)。
これは、女性を不幸にできなかった半弥には(もし、健康で長生きしていたとしても)成し得なかったことかなぁと思います。
竹野が万菊さんの死に際に言っていた、芸だけ残して死んでいくんか、というセリフにキクオの行く末が重なりました。
主演のお二人以外の役者さんも演技力が本当に素晴らしく、特に寺島しのぶさん、田中泯さん、キクオの子ども時代を演じた黒川想矢さんの演技が心に残りました。
映画化では随分と端折られてしまって、エキストラ並みの脇役になっていた女形ではない女たち四人。
そこにハッとするような光を当てた洞察の ちゃわんさんのレビュー。
素晴らしい。
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