「「っぽい」作品」国宝 wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
「っぽい」作品
基本的には面白い作品だと思った。迫真の演技とカメラワークの賜物なのか、普通に3時間鑑賞していて特に退屈に感じることもなく最後まで楽しめた。
ただ、世間的な評判とのギャップは大きく感じる。
私が芸術性の高い映画に求めるものは主に人間の深掘りである。
その人間性・価値観がどういった事象や心象風景を引き起こすのかを描いてくれて初めて芸術たるメッセージを受け取れる。起きた事がベタでしかなく、そのベタな結末に向かったストーリーに面白さの肝が置かれた作品を、私は娯楽作品と定義している。別にそれが悪いとかではなく、そう定義した上で楽しんでいる。
この映画は、主人公の人間性は特に予想外の何かを起こしたりはしない。ただ意外性の無いラストに向かうまでの「要因」「ストーリー」が面白い、テレビドラマと同じような構成に感じた。
そういう作品を否定するつもりは毛頭ない。
ただ、私はどうも芸術「っぽい」雰囲気を醸す娯楽作品には構えてしまう。
「っぽい」作品というのは、「これを否定してる奴は、分かってない奴だ」みたいな空気を醸していて、必ずこういう時にエセ評論家は「上級者向け」というような表現を使ったり、あるいは言わずともそう思っていたりする。
本来クオリティをもっと素直に評価したい部分も多々あったのだが、こういう個人的な嫌悪の方程式にガッッッツリ当てはまってしまったことでどうもそういう気分になれなかった。
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