「人間国宝:3代目花井半二郎のドキュメンタリーダイジェスト版」国宝 windploofさんの映画レビュー(感想・評価)
人間国宝:3代目花井半二郎のドキュメンタリーダイジェスト版
原作未読、歌舞伎も全然わかりません状態で鑑賞しました。
きっと日本アカデミー賞は総なめになるでしょう。
吉沢亮さんの熱演は確かに凄まじいものがあります。
衣装も舞台も音楽も、いずれも素晴らしい仕事で感服しきりです。
ただ、3時間の長丁場を経過した感想が、歌舞伎役者のドキュメンタリーのダイジェスト版を見ているような感じでした。
才能と血を一つの大きなテーマというか因縁として物語が進んでいきますが、血族パワーが発揮されたのは、横浜流星さん演じる俊介(花井半弥)が出奔から出戻ってきた時だけ?
天才との対比が今一つ弱いように思いました。
ここのコントラストを強くすると、悪役にするか極端な凡才として描くしかないので、ある程度は致し方ないのかなとも思いますが…
あと、横浜流星さんは白塗りでも横浜流星感が全然隠れないですね。
天賦の才の象徴として描かれた吉沢亮さん演じる喜久雄(3代目花井半二郎)、悪魔に魂を売り渡したという割には、鬼畜度はとてもマイルド。
芸子:藤駒との間にできた娘(綾乃)だけが割を食った感じで、他にかかわった人物はそこまで不幸になった様子も踏み台にされた様子もありません。
終盤に綾乃と言葉を交わすシーンがあり、彼女も喜久雄の役者としての生き方に納得してしまっているので、一方的に喜久雄の芸の犠牲になったというだけの感じではないですね。
名跡を継ぐ継がないのくだりも、野心を出してくるわけでもなく師匠に従順で流されるままという描かれ方になっています。
原作が上下巻で合計700ページ超の大作なので、端折ったり掘り下げられなかったエピソードもたくさんあるんだと思いますが、血の壁に阻まれる苦悩や焦燥を深堀りするエピソードが足りないように感じられました。
代わりに、森七菜さん演じる彰子との逃避行→どさ周りのエピソード、無くても話つながるなぁ、これいらなくない?と思ってしまった…
俊介のエピソードとの対比でコントラストにしたかったんだと思いますが、結局二人ともで戻りが許されているという所で血統がどうとか関係ないじゃん、になっちゃってますね。
(あと、二人とも滅茶苦茶な不義理をしてる筈なのに、ずいぶんあっさり戻ってこれたな…歌舞伎界ではあるあるなのでしょうか?)
自分が受けた感じとしては、キャラの掘り下げが色々足りないなぁ、でも長いなぁと思いながら鑑賞していました。
人間国宝となった喜久雄(3代目花井半二郎)の、少年期から壮年期までをドキュメンタリータッチで駆け足3時間にまとめました、という感想です。
そりゃ50年を3時間にまとめたらダイジェストっぽくなりますわ…
主役以外だと、
寺島しのぶさんは、露骨に息子(俊介)を贔屓するもっと嫌なお母さんでよかったんじゃないかなーとか
渡辺謙さんの2代目半次郎は喜久雄に入れ込む様子をもっと強く出してもよかったんじゃないかなーとか
嶋田久作さんと三浦貴大さんを、半弥(血)と半次郎(才能)の代理戦争みたいな対立軸にしてもよかったのに…とか
細かいのが色々出てきますが、メインエピソードですら掘り下げ不足に感じたのに、再度エピソードは差し込む隙間が全くありません。
多分、原作のボリュームに対して3時間でも尺が全然足りないということだったんでしょう、と思いました。
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