劇場公開日 2025年6月6日

「面白かったけど感動は?」国宝 HSKさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0面白かったけど感動は?

2025年7月8日
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心に残ったのは田中泯さん演じる万菊が布団で寝て喜久雄と接するシーンにて。
この部屋は美しいものが何も無い、だから落ち着くのだ、と。
これ逆を言えば美しいが過ぎると疲れてしまうという事ですね。
歌舞伎という美しさにこだわった世界で、この言葉はなんだか印象的でした。
ヤクザの息子であり、落ちぶれてしまった喜久雄にとっては慰め。
そして今のルッキズムやキャンセルカルチャーに対する批判とも、汚い世界への肯定とも取れました。
泯さんはどの役も本当に素敵に演じるのでいつも眼福です。

歌舞伎、私は一度だけ御園座の最前列で見たことがあるのですが…。
うーん、若かったせいもあるかもしれませんがその時はそこまで良さが分からなかったんです。
国宝は映画なのでカメラワークや音楽で演出されていますから、そりゃ劇的に面白く見える。
では実際の歌舞伎でこの映画以上に面白いと感動するのか果たして、と思ったり。
俗物的な見方ですみませんが、考えてしまいました。

あと喜久雄も俊介も挫折して外でドサ回りをしますが、結果そういう経験をしないと芸を極められないのか?と疑問に。
それは歌舞伎の世界を否定しているようにも私は取れましたが、見当違いでしょうか。

3時間の長さを最後まで飽きることなく観れたので、面白いのは間違いないです。
でも見終わった後の感動は私にはさほど訪れませんでした。
主役よりそれ以外の人たちの方が面白く興味深い動きをしていると感じたのもマイナスかな。
偉そうな意見ですが、出来の良い洋画にはとてもかなっていないなと思います。

HSK
talismanさんのコメント
2025年7月9日

それが、20代の時に初めて見た文楽で感動して泣けました。歌舞伎はずっと後です。今まで、ある役者が演じたものしか知らず失笑してた演目が、ある役者さんが演じたら有り得ないほど泣けて、素晴らしくて感動しました。自分の経験と話の内容など重ね合わせるなど、歌舞伎に限らず、双方向のものかと思います。圧倒的に役者の力量もあり、そう簡単にキレイキレイで済まないと思います。
長々と失礼いたしました

talisman
talismanさんのコメント
2025年7月9日

実際の歌舞伎を見て果たして感動できるか?は確かにその通りだと思います。歌舞伎は演目、踊り、役者についてなどある程度の知識がないと訳わからなくて退屈に感じてしまうと思います。この映画では顔のアップがメインなので、動き、足さばき、身体全体の動きをみる必要はありませんでした。顔の圧迫感が有りすぎでもありました。本物の歌舞伎俳優、若い人は美しい人も多いですが、吉沢亮のような一生美しい顔の人はあんまりいません。でも、だからこそ、美と官能を感じさせるのが歌舞伎役者なんだと思います。私も「伝統芸能」でなくし程感動する訳ないと思ってました

talisman
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