「初見はレビューも感想も見ない方が絶対良い。」国宝 しろはねさんの映画レビュー(感想・評価)
初見はレビューも感想も見ない方が絶対良い。
役者、映像美、撮り方、本当によかった。ストーリーも歌舞伎を除けば大衆が見やすいものであると思います。特にストーリーの流れはとてもよかった。喜久雄が血を求めるあまり落ちぶれて、竹野によって引っ張りだされ復活する一連が特に。
この映画は良くも悪くも役者ありき。絶対に一度観て損はない。
私は歌舞伎の知識がない。歌舞伎の上手い下手も全くわからない。ただ、それでも退屈しなかったのは圧倒的に顔がよかったからだ。あの綺麗さがなかったら私のような人間が見たらだれていたと思います。監督が顔で選んだ、という言葉はちゃんと選考理由の1つでしょう。役名のない役者さんや、一瞬の出番しかない役者さんでも演技が上手いので人間ドラマのストーリーがちゃんと面白い。
これは多分歌舞伎知識のない人間だからこその気になった点だと思う。
最後の娘とのシーンの会話の説得力が描写不足のしわ寄せになったのがもったいなかった。
喜久雄のせいで女性陣がどう不幸になったのかもう少し描いてほしかった。その雑な扱いが現わしているといえば納得はできるけれど、見たかった気持ちが大きい。
その割に渡辺一家の描写は丁寧だったので喜久雄はずっと余所者で厄介者という印象が抜けなかった。多分、芸に秀でていない私は喜久雄にも俊介にも共感できないので、母親の方で共感したかったのだと思う。しかしずっと嫌な印象しかないので墓参りの寺島しのぶの怒りの演技も、今まで我慢してたのを吐き出したかのような演技が、ずっといびってたのに?になってしまった。多分喜久雄が友達でもこの母親は陰口言ってるんだろうな、で終わったのが残念。もう少し母親の出番が少なかったら勝手に想像して共感できたと思う。描写のバランスって難しいんだなと。
ただ歌舞伎の知識があれば演目で補ってた部分かもしれないとも感じた。原作をちゃんと読んでからもう一度映画を見ると違った感想になるかもしれない。
よく役者さんは演じたと思うし、吉沢亮さんの台詞に頼らずとも目や表情で伝えてくる演技がとてもよかった。わかってはいたが田中泯さんは別格の存在感で喋るだけで空気が変わるし、三浦貴大さんと森七菜さんも好きな役者になった。少年時代を演じた役者さんも永瀬さの好演も印象的だった。
俳優さん達はみんな素晴らしくて演技を見るだけでも価値がある。
気になる点はあれど観てよかったし、ストーリーも面白かった。何度も観たいと思わせる圧倒的に「美しい」映画だった。
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