「ミミズクの意味」国宝 リコさんの映画レビュー(感想・評価)
ミミズクの意味
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喜久雄が「他に何も要らないから日本一の歌舞伎役者になりたい。」と悪魔と取り引きした事を娘にまで言ってしまったのは、歌舞伎の世界での確固たる地位と居場所が欲しかったからなのではないだろうか。それ位、歌舞伎界のしきたりが厳しい事を亡くなった師匠である半二郎からも聞かされていたから。
何一つ約束されたものは無かったけれど、生まれ持った才能と実の父の見事な死に様、そして半二郎への恩、切磋琢磨して互いに成長して来た俊介への思い、自ら望んだかの様に背負い、全ての苦難を乗り越えた喜久雄が手にしたものは、皮肉にも自らを犠牲にしても喜久雄を支え続けてくれると言う、無償の愛を貫いた女達を演じた様な「女方」によるものだった。
人間国宝となった際にカメラマンになった娘からの質問に「忘れた事はないよ・・・」と自分の名前を言ってくれた。日本一の役者になった父にそう言われ、綾乃にはまるでお正月でも来たかの様な嬉しい瞬間だったのでは。
最後にアナウンサーの順風満帆と言う言葉にも感謝の気持ちを表せる位、心は満ち足りたものだったけれど、父が最後に残した雪が静かに降るあの美しい景色は未だ見れてない事を言った様に思えた。
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