「持つ者、と持たざる者」国宝 ゑゐさんの映画レビュー(感想・評価)
持つ者、と持たざる者
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0に幾つ掛けたとて有数にはならない様に、宿命とは如何程にも変えようの無いもので。
主人公の立花 喜久雄が背負った宿命は、余りにも茨の道。どうすれば血筋に抗える。どうすれば芸だけで光を見ることが叶うだろう。幸せになる平凡な道など己には無くとも、ただ歌舞伎だけを見つめて、それだけ。
李監督の作品においての描写の仕方は、伏線にわざとらしいいやらしさのある様な含みは持たせず、明快でそれでいて痛烈だと感じる。分かりやすく、時に目を背けたくなるほどに強烈だ。上手い。
中盤、喜久雄の背にある梟の刺青に、淡くベールの様に被るお白いのシーンが、最後の演目鷺娘を観ている時にふと頭をよぎった。
悪魔にも飽きて見放された彼が最後に見た景色は、きっと、この上なく美しかったことだろう。
吉沢亮の演技がとにかく良い。見目が端麗であるだけに、女形が素晴らしく似合う。流し目も首の傾げ方も、ため息ものの美しさ。それだけでなく、どこかしこからも追いやられ落ちぶれたギリギリの姿などは見ていられなくなるほどに悲壮感があり、幅広く演じ分けられる俳優であると感じた。
ぜひサブスクではなく、スクリーンで、とにかく劇場の大画面で、観てほしい一作。
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