「圧倒的熱量〜「歌舞伎の映画」であり「映画が歌舞伎」だった」国宝 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的熱量〜「歌舞伎の映画」であり「映画が歌舞伎」だった
2025年公開、配給・東宝。
【監督】:李相日
【脚本】:奥寺佐渡子
【原作】:吉田修一〜『国宝』
主な配役
【立花喜久雄(花井東一郎)】:吉沢亮
【大垣俊介(花井半弥)】:横浜流星
【花井半二郎】:渡辺謙
【大垣幸子】:寺島しのぶ
【福田春江】:高畑充希
【彰子】:森七菜
【藤駒】:見上愛
【小野川万菊】:田中泯
【立花権五郎】:永瀬正敏
【綾乃】:瀧内公美
1.圧倒的な熱量と緻密な脚本
『フラガール』、『悪人(原作:吉田修一)』などで高い評価を受けた李相日監督。
歌舞伎へのリスペクト。
人間という生き物への愛、侮蔑、赦し。
それらを圧倒的な熱量で描ききった。
また、構成、セリフなどに冗長さや贅肉がなく、
175分という3時間に及ぶ上映時間中、
たえず緊迫感と緊張感を維持させられる。
ラスト近く、
人間国宝となった喜久雄(吉沢亮)のインタビューシーン。
ようやく「緩和の時間」かと思ったら、綾乃(瀧内公美)が登場する。そんな具合に、ひとときも観客を休ませないのだ。
歌舞伎という伝統芸能を舞台に、
◆若い役者たちの能力を限界まで引き出し、
◆分かりにくい歌舞伎の舞台を簡明かつ荘厳に描出し、
◆人間とは何か、を観る側に問い掛ける、
そんな作品を製作してみせた。
2.素晴らしいキャスティングと裏切らない演技
吉沢亮と横浜流星は、
以前から良い俳優だと思っていたが、
本作で、その潜在能力の一部がさらに解き放なたれた。
また、脇を固めた俳優たち、特に
寺島しのぶ、田中泯、さすがの存在感だった。
冒頭、
任侠ものと見紛う立ち回りがあるが、
この場面すら、「舞台」のような仕立てになっており、
永瀬正敏が大見得を切る。
歌舞伎の映画であり、
映画が歌舞伎だった。
3.まとめ
荘厳、重厚、熱量、、、
暑苦しい単語が並んでしまうが、
実際にそんな映画だった。
ソファに寝転がって観る作品ではない。
歌舞伎という芸能を舞台にしながらも、
「娯楽」の対極にある映画。
もう一度、通しで観られるか、自信はない。
☆4.0
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