「とんでもない名作でした」国宝 おじゅさんの映画レビュー(感想・評価)
とんでもない名作でした
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恥ずかしながら歌舞伎を見たことはありません。
そういう意味では、ヤクザの息子であったキクオと同じ立場での鑑賞でした。
カチコミによって親を失い、細い縁を頼って辿り着いた歌舞伎の家。
そこには同い年の御曹司シュウくんがおりました。
2人は切磋琢磨して女形の技術を磨いていきますが、渡辺謙演じる父親は、大勢の予想を裏切って、実の息子ではなくヤクザの息子に襲名させます。
そこから起きる波乱万丈。
要所要所で挟まれる歌舞伎の演目はどれも息を飲む美しさ。
特に目を惹かれたのは鷺娘です。
純白の衣装を翻しながら舞う様は正に鷺そのもの。
しかし国宝の眼力たるや凄まじく、けして美しいだけではない、恐ろしい迫力をも持ち合わせています。
キクオはその迫力に魂を奪われ、「何を失ってもいいから歌舞伎が上手くなりたい」と悪魔に願います。
そして願いは叶う。
お望み通り、すべてを失いながら。
糖尿病で瀕死の体を引きずりながら曽根崎心中を演じきったシュウちゃんと、その脚に縋りつくキクオの対比は涙無しでは見られませんでした。
凄まじく、素晴らしい映画でした。
これを映画館で見れたことに心から喜びを覚えます。
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