劇場公開日 2025年6月6日

「文句なしの今年のベスト1」国宝 Basieさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 文句なしの今年のベスト1

2025年6月9日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

陳腐なタイトルになってしまいましたが、
他に言葉が見つからないほど画面に引き込まれました。
冒頭の長崎のシーンから圧巻の展開で、時を追うスピードは速いものの、
それが運命に翻弄される喜久雄と俊介の生き様と重なり、瞬きするのも勿体なく感じます。

歌舞伎だけでなく、この世の「芸」の世界では血筋が最も重要視されてきました。
実力がなくても、血筋だけで生き残っている人も少なくありません。
それだけに、喜久雄の「俊介の血をコップで飲みたい」は胸に響きます。
どんなに芸があっても、最後は血筋には敵わないという喜久雄の叫びは当然でしょう。

歌舞伎の舞台は、数回観たことがあるだけの初心者ですが、喜久雄と俊介の少年時代含め、その立ち回りや所作の素晴らしさには震えが止まりませんでした。
さすがに本職の方には及ばないのかもしれません。
ですが、映画の嘘を感じさせないレベルまで昇華させた努力には素直に頭を垂れます。

残念だったところを強いて言うならば、春江や彰子、幸子の心の動きや葛藤があまり感じられなかったところでしょう。彼女たちの行動の背景が今一つ飲みこめず、置いてきぼりにされた感じでした。特に喜久雄と再会した綾乃は、その登場と台詞の変遷が唐突すぎて、もっと他に観せ方がなかったのかなと思いました。
それから、綾乃と再会した喜久雄の老けメイクですが、目に力がありすぎたのではないでしょうか。歳を重ねると目はしょぼつくし、垂れてきます。目に若さが感じられて残念でした。
その点、墓参りの際の渡辺謙さんは、姿形やメイクを含め素晴らしい老け方で説得力がありすぎました。素晴らしかったです。

原作は未読ですが、これから読んでみようと思っています。

Basie
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