「これは映画館で見た方が絶対に良いと思う」国宝 すみれ7878さんの映画レビュー(感想・評価)
これは映画館で見た方が絶対に良いと思う
吉沢亮演じる喜久雄が歌舞伎の世界で人間国宝となるまでの一代記。そして、その中で、横浜流星演じる歌舞伎名門の跡取り息子・俊介との友情・同志愛が物語の芯となっています。
喜久雄はとある事情で歌舞伎名門・花井半二郎(渡辺謙)の家に引き取られ、俊介と共に厳しい指導を受けながら役者として育っていきます。二人は、子供時代、同志として切磋琢磨しながら一緒に育っていくのです。ドロドロした部分はほとんど描かれないので、見ていて実に気持ちが良いのです。
印象的なシーンはたくさんあるのですが、私が最も感心し感動したのは、1回目の曽根崎心中、喜久雄の大役デビューのシーン。曽根崎心中は半二郎の体調不良により代役として喜久雄が立つことになったのでした。代役が跡取り息子の俊介ではなく喜久雄。複雑な感情が二人によぎります。
俊介が喜久雄の楽屋に入っていくと舞台化粧に手間取る喜久雄の姿。「始まるのが怖いねん。震えが止まらんねん。俊坊、怒らんと聞いて欲しい。今、俺が一番欲しいのは俊坊の血やわ」と涙ながらに言う喜久雄。「(あれほどに修練してきた)芸があるやないか」と優しく答える俊介。あれほど厳しい修行に耐えた喜久雄の、頂点を目指す人間しか味わうことのできない怖ろしいまでの緊張。それがわかる俊介。この二人のやりとりには本当に感動しました。素晴らしかった。
今、1回目と書きましたが、当然、2回目があります。それもまた良いのです。この二人の関係性、友情と言うよりも同じ戦場で戦ってきた戦友です。俊介は糖尿病で左足を切断。それでも曾根崎心中をやりたいと言います。近い将来、右足も切ることになるからと。相手役を喜久雄が務めますが、右足にすがりつくシーンで足先が変色しているのを見ます。喜久雄、涙が出てしまいます。私ももらい泣きしてしまいました。
吉沢亮さん、横浜流星さん、両者とも本当に素晴らしかったです。歌舞伎のできばえは素人だからわからないのですが、発声・舞踊・所作など凄いですね。相当の努力・研鑽を積まれたことくらいはわかります。
全体としてほぼ3時間の大作ですが、本当に良いものを見せていただきました。感動しました。
この映画は映画館で見た方が絶対良いですね。テレビ画面だと感動が伝わりにくいかもしれません。
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