「絶妙に惜しい感」国宝 みょむさんの映画レビュー(感想・評価)
絶妙に惜しい感
原作読了済み
尾上右近がナレーションのAudible版がまるで壮大な映画のようで、ものすごく浸れたのもあり、
実際に映画になったらどんなかと、かなり楽しみに劇場へ
場内のお客さんはかなり年配の人が多めな印象でした。
もとより数十年のひとりの人生を描いた作品なので、三時間あるとはいえかなり省略しないと入りきらないのは当然なのはわかります。
が、歌舞伎の舞台部分を中心にして描いていた本作は、画像的な華やかさは勿論あって良かったのですが、もう少し各所に説明入れた方が話わかりやすくなったのかなぁ?と
なかなか難しいのはわかりますが、唐突に登場人物が出てきては居なくなるような感じで(原作もそういう面がないわけではないのですが)セリフというか、会話を控えめにしていたせいか、ちょっと原作未読だとこれわかりにくいのでは?と思うところが何回か。
朝ドラみたいに、第三者のモノローグとかもしかしてある方がわかりやすかったかなぁとは思いました。テレビじゃないから、現実的な演出ではないですが。
昭和のオリンピックあたりから始まる物語なので、時代的なことはただ年号でなく、時代を表すような絵をカットに挟むとかしたほうが、そういう時代なんだな、とか観て直感的に理解しやすかったかもな、とか、
なんとなく全般的にもう一声!って感じの残念さがありました。
時代背景も知っていて観るのとは受け取れる情報が違うかなぁって。
関西歌舞伎の凋落とか、地方巡業のこととか、そのあたりの説明も全部端折られてるので、歌舞伎に普段縁のない人には、どさまわりしてる時との小屋の違いもわかりにくかったのでは?とか。
なんとなくイロイロ思いながら観ておりました。
吉沢さんも流星さんもとても綺麗に舞を魅せてくれており、その辺は良かったと。
かなり稽古しないとなかなか所作全般大変だったろうなぁ!と。
小説では(映画では、ほぼ最初にしか出番なかった)トクちゃんが格好いい立ち位置なのですが、これはしょうがないけどほぼ出番なしだったのもやや残念。
長崎弁が大阪弁になるとか、そういうあたりも曖昧だったなぁとか。
歌舞伎演目に全振りしたのはわかるのですが、そのぶん登場人物たちの魅力が全員かなり浅くなってしまっていたかなぁと。
原作にある最後のシーン、普通に劇場内で終わったのはちょっと残念でした。
街中で状況をまったく知らない人々の中で無心に舞う姿とか、そんな演出で観てみたかったかなぁ。
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