「圧巻の舞台シーンに目が潤む! が、2~3の稚拙演出シーンが惜しい。 後半ネタバレ ★4.0」国宝 レオンさんの映画レビュー(感想・評価)
圧巻の舞台シーンに目が潤む! が、2~3の稚拙演出シーンが惜しい。 後半ネタバレ ★4.0
舞台で "役" を演じる。 只それだけのシーンでこれほどスクリーンに見入り、目が潤んだ事は初めてかも・・。
おそらく、吉沢亮は来年の「日本アカデミー主演男優賞」を獲るだろう。
とにかく、吉沢亮と横浜流星この二人の舞台演技はずば抜けていた!
本物の歌舞伎ファンでも "納得" 以上の物を感じたのではないかと思う。
演舞以上に、女形独特の発声も全く違和感なく、本物の歌舞伎役者かと感じるぐらいに洗練されていて、
監督の舞台の魅せ方も巧いと感じた。
その舞台に臨むまでの紆余曲折が物語りで描写されているのだから、いっそう感涙に繋がる。
この原作を書いたのは、実際に歌舞伎で「黒衣」をされていた方が書いたようで、
その独特の世界観や舞台裏なども詳細に描写されている。
渡辺謙も過去視聴した中で一番の演技をしていて、
序盤での謙さんの絶妙表情は特別な存在感を放っていた。
さらにビックリしたのは、女形の国宝重鎮(万菊)役。
「はぁい、よぉろぉしぃく・・」とそのハンナリとした台詞は、
この人だけ本物(歌舞伎役者)を使っているのか?と感じたくらいで、
それを 田中泯さん が演じていたと、視聴後チェックで知って尚驚くことに♪
物語の序盤は説明描写的で心が動かないが、1時間経過した位の「曽根崎心中」の舞台から、
心に訴えるシーンが続き圧巻に繋がる。
稽古シーンで、「そんなので、命を賭すか否かが伝わるか!」的な叱責に吉沢亮が女形台詞を言い直すのだが、
3度目には本当に魂が入ったように表現されていて、相当な修練の賜を感じた。
ただ鍛錬・洗練されている舞台描写とは全く逆の、安易で稚拙なシーンも2~3あり、特に序盤は長く感じた。
それはネタバレに記す事に。
まあとにかく舞台シーンは圧巻です。
上映舞台挨拶で監督・役者とも、「とにかく観て下さい」と語っていたのが頷けます。
超力作・必見♪
私が感じた甘い描写 ↓ ネタバレ
序盤の宴会襲撃シーンは稚拙過ぎて、あきれた。
あのシーンにそれほど予算を掛けれなかったのかもしれないが、
よそ者が殴り込んで来ているのに、その数分後でも親分が自席に座っているのはあり得ない。
周りの若衆が、より安全な奥部屋へ連れていって当然。
それが、いつの間にか親分一人になって、銃で撃ってくれと言わんばかりに日本刀を掲げるポーズで・・・。
この時点で、これが★4.4か?・・と落胆・・。
あのシーンにもっと本格的殺陣を取り入れていたら、さらに高評価に繋がったと視聴後は惜しく感じた。
さらに後半、喜久雄が落ちぶれて旅館のステージ後に観客との一悶着シーンも、
まるで過剰な映画演出を感じて違和感たっぷり。
この監督は、激しい動きシーンは自然に撮れないのかと勘ぐってしまう・・。
監督の過去作をチェックすると、「フラガール」のみ観ていた(私も高評価)が、
イーストウッドの名作「許されざる者」のリメイク版は平均★3.3とかなり低い。
やはりアクションは苦手なのかも♪
脚本的には、かなり慎重な性格を表している喜久雄が、他の女性との関係を持つ点の、心境変化の描写が簡素な事や、
2度の舞台上でのアクシデントも、また?と感じてしまった点も惜しい。
まあ、現代作品に「黒沢明作品」のような完璧を求めるのは私ぐらいと思うので、
★は私なりの高評価 4.0 に♪
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