「うつくしさよりも生々しさが印象的」国宝 tottoさんの映画レビュー(感想・評価)
うつくしさよりも生々しさが印象的
原作未読、歌舞伎はハマるの怖くて敬遠、だけどべらぼうの横浜流星さんと、PICUの吉沢亮さんのとりあわせに惹かれて鑑賞しました。
公開後初の土曜日朝一の上映回で、150席のシアターがほぼ満席。老若男女、偏りなく来てはる感じでした。
・ほぼ3時間な上映時間はやはり長い…久々に映画で腰が痛くなりました。
それでも尺が足りない大河ドラマなので眠くはなりませんでしたが、原作を端折ってるんだろうなーって脚本の飛躍具合にはところどころ混乱しちゃいました。
・子役で演じる時代の描写が長くて意外に思いましたが、「怪物」が大好きなので、黒川くんの活躍には、おお…!と内心で拍手喝采でした。
・吉沢さんのお顔はひたすら整ってる感がつよいので、黒川くんが育って吉沢さん、ってのがあまりしっくり来てなかったのが、どさ回り時代の喜久雄が屋上で酒瓶呷って踊るあの場面で、急にすとんと腑におちました。幼いころの面影が…!って。
・一番印象的だったのは、紆余曲折を経てからの二人道成寺。
二人揃って一度どん底を味わってからの、蓮の花みたいに絢爛で華やかな舞台が眩しくて。なのに引き映像での美しさよりも、多用される役者のアップでお白粉や口紅の下のなまなましさの方が前面に出てくるところの業の深さというか。
・自身の嗜好的には、悪魔に魂を売って芸を極めていく喜久雄に、名跡も家族も何もかもを奪われていく感のある俊介の悲哀の方がぐっときてしまったのですが。
御曹司のぼんぼんで周囲には愛されていて、それでも本物の役者になりたいと足掻いてしまって、一つの境地に辿りついたかと思ったら舞台に立つための脚も命も奪われていくのほんと残酷で。
横浜さんがインタビューとかでお話になってる重心の高さ、ノーブルな人品のよさが出ていて改めていい役者さんだなあ、と思いましたのこと。
・役者さんでいうと三上愛さん演じる芸妓・藤駒のうつくしさと業がツボ。高畑充希さん演じる春江との関係が昨年の大河での定子と彰子の関係も彷彿とさせられてしまいました。
・総じて、役者のみなさんの演技や衣装やセット、画面のうつくしさや生々しさが興味深かったですが、主題というかストーリー展開には???が多かったので、原作読んでみようかな、と思いました。
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