「「ガラス玉のような目」に映った喜久雄の孤高の姿」国宝 jnkさんの映画レビュー(感想・評価)
「ガラス玉のような目」に映った喜久雄の孤高の姿
クリックして本文を読む
小説を読んだ後に映画を観ましたが、あの壮大な物語を3時間余りに凝縮し、物語の核を鮮やかにすくい取った脚本と演出に心を奪われました。
人間国宝として認定された後の場面は、原作にはない映画独自の演出でしたが、喜久雄の到達点をより鮮明に示しており、その孤高の姿が胸に迫りました。
「ガラス玉のような目」に映し出されたものは、もう戻ることのない何かを知ってしまった人間の哀しみと、それでもなお芸の道を究めようとする凄みだったように感じます。
田中泯さんが演じた役どころも圧巻で、その一挙手一投足に人生の重みを感じました。
小説で喜久雄の良き理解者として存在を放っていた徳次が描かれなかったのは少し残念でしたが、その分、喜久雄という芸の求道者に焦点が絞られ、孤高の光が一層際立っていたと思います。
映画としての結末も、小説とは異なる角度からの喜久雄の到達点を示していて、作品全体に深い余韻を残したと思います。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。