「「神様と話ししてたんとちゃうで。悪魔と取引してたんや。」」国宝 ひなさんの映画レビュー(感想・評価)
「神様と話ししてたんとちゃうで。悪魔と取引してたんや。」
今年一番、ここ数年のNo.1、“100年に1本”。
映画館のスクリーンという“舞台”で体感すべき邦画が、カンヌから日本に凱旋しました。
「誰も見たことのない、吉沢亮がここに─」
昨年12月23日に解禁された、『国宝』のティザービジュアルと予告映像。
クランクアップ間もなかったという吉沢亮さんは、まだ役が抜けきれていない状態でのティザー写真の撮影でした。
レビュータイトルの喜久雄の台詞のように、悪魔と取引したかのような神がかった表情は、“国宝的イケメン”という言葉では到底形容できない美しさでした。
中指で目尻に《紅》を入れる顔のアップ、《漆黒》の着物に《白》の半襟、《白》い背景。このミニマムなカラーの写真1点で、見事に『国宝』という映画の世界観を表現していました。
映画.comのフォトギャラリー画像(35)でも見られるこのティザービジュアルは、特報の映画ポスターに使用され、今年5月のカンヌ国際映画祭でも披露されました。
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吉沢亮さんという俳優は、つくづく不思議な役者だと思います。
自らを「お芝居依存症」、親友の北村匠海さんからは「ぼくが知り得る中で、一番芝居バカ」。
吉沢亮さんの特撮ドラマ出演作に、横浜流星さんが俳優デビューでゲスト出演した『仮面ライダーフォーゼ』。初共演の吉沢亮さんの役名が「流星」で、13年後の『国宝』の競演に運命を感じます。
代表作の大ヒット映画シリーズ、『キングダム』の秦の若き始皇帝・嬴政と、『東京リベンジャーズ』の暴走族のカリスマ総長・マイキー。2作品とも“王”や“トップ”の圧倒的なオーラで、主役を超える存在感です。
昨年9月公開の「コーダ」を演じた『ぼくが生きてる、ふたつの世界』。静かで小さな作品でも、高い評価で配信後も劇場上映が続いているロングラン作品です。
今年31歳になった吉沢亮さんは、「(大好きな)コメディに一生出演していたい」と、少年のように透き通る瞳を輝かせて笑顔でコメントしています。
役者としての“夢”の一つであった、李相日監督作品へ、主演として出演が叶った『国宝』。完成報告会での渡辺謙さんの言葉通り、俳優・吉沢亮の新たな代表作となることを願って─。
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【5月30日京都】
世界遺産・京都東寺では初の映画上映イベントとなるジャパンプレミア。国宝指定の金堂の扉が開き、キャストと監督の9人がレッドカーペットに登壇。
《黒と白と深紅》のスーツやドレスでスタイリング、『国宝』カラーでほぼシンメトリーに横一列に並び、雨上がりの東寺の借景に溶け込んでいました。
日本人のDNA、というよりこの作品の表現を借りるなら、自分に日本人の血が流れていることを感じて息を呑んだ瞬間でした。
【5月18日カンヌ映画祭】
第78回カンヌ国際映画祭・監督週間部門公式上映にてワールドプレミア。吉沢亮さん、横浜流星さん、渡辺謙さん、李相日監督の4人が登壇。
現地の機関誌では
「歌舞伎の生まれではない映画の俳優たちが
とてつもない大きな挑戦に挑んで
結果として非常に絶大な説得力を生みだした。
そして映像の美しさ。
特に歌舞伎の舞台をみる映像は
一枚一枚の絵画のような美しさであった。
最後に2025年のカンヌ映画祭の中で
最も美しい映画のひとつであった。」
と結ばれていました。
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P.S.
公開前には「何故本物の歌舞伎役者を使わないのか」、という声もありました。映画を観た後なら「何故吉沢亮と横浜流星だったのか」、説明は要らないと思います。
映画の撮影にエキストラ参加しました。歌舞伎の数ミリ単位の型を、数センチずつ角度を変えたりしながらテイクを繰り返し、数秒・数分のシーンを1日かけて撮影しています。
P.S.2
レビュータイトルの「悪魔と取引」という台詞は、終盤に伏線回収されます。シークレット・キャストのシーンなので、お見逃しなく…
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5月30日試写会で鑑賞
6月6日映画館で鑑賞
6月1日★★★★★評価
6月2日レビュー投稿
6月6日レビューP.S.追記
6月9日レビューP.S.2追記
コメントありがとうございました。
吉沢亮さん横浜流星さんは凄いのですが
(僕は横浜流星さんの親戚のおじさん感覚で推しています。
吉沢亮さんは昨年の主演映画で手話の演技含めて、思い出した今でも涙が出ます。)
ただ映画として監督がするべき各登場人物の描き方が雑でモヤモヤしてしまいました。
今もモヤモヤしています。
コメントありがとうございました。
過分のお褒めをいただき恐縮です。
エキストラ参加されたとのこと、ご苦労もあったかと思いますが、羨ましい限りです。
吉沢亮さんの次回作は「バンパイア」。全く違う作風で、他の役者さんなら観に行くか微妙ですが、本作を観たら注せざるを得ません。
ひな様
コメント、ありがとうございました。
キャスティングについて、やはりファンの間でざわついていたのですね。意外なようで納得、そこも含めて見応えがありました。
>公開前には「何故本物の歌舞伎役者を使わないのか」、という声もありました。映画を観た後なら「何故吉沢亮と横浜流星だったのか」、説明は要らないと思います。
同感です。それにしても、吉沢亮さんは女形に合う顔立ちなんですね~。見とれてしまいました(汗;)。
>映画の撮影にエキストラ参加しました。歌舞伎の数ミリ単位の型を、数センチずつ角度を変えたりしながらテイクを繰り返し、数秒・数分のシーンを1日かけて撮影しています。
そんな貴重な体験をされたんですね。李相日監督は、なかなかオッケーしてくれないようなので、舞台裏も見応えがあったのではないでしょうか?
半二郎の代役を演じる喜久雄の楽屋を訪ねた俊介の友情に涙が出ました。
赤ヒゲでした。
ひなさん、共感&コメントをありがとうございます。その昔ですと大河主演俳優は、大河のみに集中する方がそれなりに多かった印象です。しかし、吉沢亮さんと横浜流星さんは大河とマルチタスクで映画を撮るというのは、本当に尊敬しますし、その努力たるや相当なものだと思います。言わば、きくちゃんとしゅんぼん ではないかと思います。間違いなく本作は吉沢亮さんの代表作になったと感じました。
私には過分で勿体ないコメントありがとうございます。
ひなさんの仰る通り、〝吉沢亮さんと横浜流星さん〟でなくては成り立たない作品だと思いました。
風紀の乱れを防ぐため、女優は駄目!という江戸幕府の判断が結果的に女形というひとつの至高の型を生み出した、というところにも芸術の深みが感じられます。ということは宝塚の男役もまたひとつの至高なのですね。
お褒めのコメントありがとうございます。
キングダムで吉沢亮を初めて知ったのですが、涼しげな顔と意思の強さを感じる演技に魅了されました。
同じ年に声優として出演した「空の青さを知る人よ
」では、年の異なる同一人物の声を見事に演じ分けていて、本物だと確信。
そして、『国宝』という代表作の誕生ですね。
ご返信ありがとうございます♩こちらこそひな様のように丁寧で映画の理解が深まるようななレビューを書きたいのですがなんせ語彙力が乏しく(^◇^;)これからも参考にさせていただきます🙇♀️エキストラでも参加されていたとのことで(!)本作への思いが何倍にもなりますね。
再度のコメントありがとうございます。
ジャパンプレミアムは京都の東寺でしたか?
またエキストラに参加。
息を凝らして見守られたのですね。
吉沢亮さんは、おっしゃる通り、
「役者馬鹿」の一面があるのかもしれませんね。
「ババンババンババンパイア」でもう切り替わってる
でしょうね。
見るかどうかは、未定ですが、
こんばんわ~
お~エキストラで参加したんですね!
所作、歌舞伎ならではの発声と演じた役者さんは苦労したんでしょうね!
その大変さが分かるだけに観てて泣けてきました。
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