盤上の向日葵のレビュー・感想・評価
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砂の器風味
特に観たいと思っていなかったのですが、砂の器のテレビドラマ版が大好き(中居正広主演)なのと、映画の孤狼の血シリーズも好きだという理由で鑑賞しました。
結果…まぁ、砂の器テイストではあったけど、内容が浅かったかなと。
気になる点をあげると
・佐々木蔵之介の演技がオーバー過ぎて違和感
・向日葵の意味が分からない
・柄本明の顔のドアップは観るに耐えない
・将棋の緊迫感がない
・最後、坂口に殺させる意味が分からない
・ドスで、土を掘るのは大変
今、思い付くのはこんなところでしょうか。
とにかく、砂の器のような重厚感がありませんでした。数日経ったら、内容も忘れてしまうと思います。
不自然なところが多すぎて
主人公が不憫でならない。
子供の時も大人になっても、あんなの、どこかに相談できないものなのか?
刑事たちが必要以上に声を張り上げたり、農家の娘の前で「身持不明死体の場所だ!」って言ったり、不自然すぎる。
将棋のシーンが冗長で退屈。
将棋を理解する人には楽しい場面だったのかな?
面白くはあるが…違和感もある
観終わったあと、「これ、いつの映画?」と制作年を確かめてしまいました…
昭和だね〜と言い切ってしまうのも何だか違和感がある。
まぁ昭和は長いし、人によって案外イメージが違うものなのかな?
「あれ、ちょっとおかしくないか?」と不合理や不条理を感じるところを、圧とか熱とかで押し切ってしまうところは、まさに昭和だな、と。
東明は桂介に「お前には将棋しかないんだよ」と何だかちょっとイイ感じの台詞を吐くけれど、桂介は周囲の人の想いを受けたりもしているし…将棋しかなかったのは東明のほうではないか?
この自分の生き方を他者に押しつけるのも、やはり昭和だな…
全員に当てはまるわけではないけれど、昭和は単に生き延びること自体が難しい時代だったのかな。
いや、どんな時代でも人生の選択は難しいのかも。
不憫すぎて泣ける
原作未読のミリ知らで鑑賞しましたが名作だと思います。
不憫すぎる少年の人生にちょいちょい泣かされた前半。
小日向さんと温泉行ったくだりなどはもう可哀想すぎて小日向さんと一緒に泣いてました。
クズの父親とヤクザな真剣師に付きまとわれて人生滅茶苦茶にされる坂口健太郎。
しっかりと描かれる少年時代のおかげで、大人になっても苦労が耐えない少年を見守る小日向さんの気分で観てしまい泣ける泣ける。
最後が原作と違うようですが、飛び降りない道を選んでくれたので少しだけ気持ちが救われました。
この結末でもずっと泣いてましたけど、もし飛び降りる結末だとしたら不憫すぎてもっと号泣してましたね。
予告からは想像できなかった。
伏線回収してほしい部分あったけどこれはこれで良かったのか。将棋をいっさい知らないけど楽しめたかも。
それにしても最近の映画のラストって見る人に委ねる系が多いのなぁ。
坂口健太郎さんに恋はしました。かっこよすぎる
タイトルなし(ネタバレ)
長野の山中で白骨死体が発見される。
遺体に副葬された高価な将棋の駒から、頭角を現わしはじめた棋士・上条桂介(坂口健太郎)が容疑者に浮上する。
捜査の過程で、彼の壮絶な過去が浮かび上がるが・・・
といった物語。
柚木裕子の原作は未読。
なれど、脚本はいただけない。
巻頭の短い間に、現在→過去→大過去と描かくのは安易な作劇。
ミステリー要素=いくつかの時代の過去譚を通して描くもの、みたいな固定観念があるのかしらん。
人間ドラマに比重が置かれた物語なので、白骨死体発見後は、上条桂介の幼少期から「彼の物語」として時間軸順に描けばよいのに。
謎は、彼の出自ひとつに絞って。
結果的には、ミステリー要素と人間ドラマ要素が空回りしている感があり、途中で飽きてしまったわぁ。
タイトルの「盤上の向日葵」も、ドラマとして収斂せず、残念。
出演陣も、渡辺謙、佐々木蔵之介、柄本明と大仰で暑苦しい。
渡辺謙と柄本明の対局シーンは暑苦しいを通り越して、見苦しかったです。
国宝は逃したけど
山中で発見された白骨体。
真相を追う刑事は 若手とベテランのコンビ。足を使って、東奔西走。
と、くれば あの名作サスペンス映画を想起しませんか? 国宝は逃したけど 松竹にはサスペンスがある。
期待に胸ふくらませ、いざ鑑賞。
小生未読だが 原作は柚木裕子。いいペースでその作品が映像化されている。おもうにこの作家が扱う題材に魅かれるのはもちろん、映画制作者のつけいる隙も多々あるのだろう。映像が原作を凌駕できる。映画制作者にとって 非常に相性がいい作家なのだとおもう。
しかし残念なことに 本作品はそうならなかった。
早々に容疑者は割れ、主人公の回想で真相はかたられる。観客は刑事たちが真相追求でなく、確認作業に終始する様に付き合わされる展開になる。
薄い非常にうすい。昔 喫茶店で普通のホットコーヒーにお湯を注ぎたし アメリカンと称して提供されていたものと同じくらい薄い、『砂の器』だ。作り手は砂の器を意識していただろうから、薄さが際立つ。
冬の早朝 新聞配達をしていた少年時代の主人公。小さな手にできたあかぎれが痛々しい。キービジュアルとなる広がるヒマワリ畑
季節を感じながら、物語が展開していく。
これが記号でしかない。はい、ここは冬。はい、ここは夏。って感じで。
本家の冒頭シーンみたいに、観客は空気を感じられない。スクリーンから沸きたつあの暑さを。
映像が平たく見えた。小生はどこにも寄り添えないただの傍観者でしかなくなった。
出てくる大人がどいつもねじくれて、痛い。痛いだけならまだしも、歪んだ愛情を押しつけてくるから、たまったもんじゃない。
唯一 善となる立ち位置のはずの小日向文世演ずる元教師すら、ねじくれて見える。
父親の非道はいうまでもないが、渡辺謙演ずる闇世界の凄腕棋士なんてほんとクズ野郎だ。予告やテレビスポットで流れる感動あおるシーン。その裏で闇棋士は何であんなことを主人公に望んだのか。まったく理解できない。主人公があまりに無垢であるばかりに ドツボを踏まされる状況は、悲劇でなく、もはや喜劇だ。渡辺謙と柄本明演ずる老棋士の対局シーン。鬼気せまるにらみ合いではじまる。老棋士が体調を崩したとたん、場を志村けんとのコントに変えてしまう柄本明は、まさに喜劇を実践しちゃってる。閑話休題。
没入できずに終映をむかえたが 主人公を演じた坂口健太郎はいい。ねじくれた愛情から逃れられない気弱さ。一転 強さを得てからの変化をみごとに体現してみせる。若手演者がこういう広い振り幅を持っているのはうれしい。少年時代を演じた子役もよかった。
日本映画の役者層に心配なし。あとは制作人が方向性をキチンと示しさえすれば 邦画の快進撃はまだまだ続きますぞ。
最後に本作品が薄かったので小生見えなかったのですが、盤上のどこに向日葵があったのですか?
タイトルの意味合いが異なるじゃないか。
原作を読んでいなければ、多少の違和感を
感じていたとしても素直に「面白かった」と
言えたのかもしれません。
が。
ちょっと色々納得できませんでした。
ディーラーで成功した桂介がIT企業を起業し
成功を収めた。これをなぜ農園に変更したのか
わかりません。
なんならIT企業の方が今どきで良かったと思うし
ウエディングプランで成功したとはいえ
雇われの身で1,000万も用立て出来るほど
農園って儲かるものなのでしょうか?
恋愛とは一切縁のない、ヒリヒリした将棋の
世界に生きていた桂介に無理やり恋人を出現させるのも
何だかしっくりしません。
ベテラン刑事石破と若手刑事佐野の関係性も
全く描かれておらず、聞き込みのため地方へ行く際の
名産物のやり取りとか唯一ホッコリさせるような
エピソードもないし。
東明と元治の鬼気迫る真剣勝負が1番よかったです。
盤上の向日葵を映像にするのは
ファンタジーっぽくなるとかの意見でも
あったのでしょうか。
ゴッホについても触れられないのはもったいないです。
「穢れた血」をセリフとして残すのなら
ラストシーンは原作と違ってもいいけど
観客側に解釈を委ねるような演出であってほしかった。
ぬー。
原作が良すぎたので、キャストもいいのに
何だか残念。悔しい。
「向日葵」と「狂った血」の扱いが雑 タイトルの意図が伝わらない
映画は時間の問題で「描き切れない」ことが多々あるが、本作は尺の問題というより、解釈の問題?
削ってはいけない部分が削られて、
不要な脚色が追加されていて非常に残念。
以下、好き勝手に書いてスミマセン
■向日葵の意味と残念なラストシーン
向日葵の咲き誇る風景は、主人公の母が一目を偲んで兄と密かに愛を紡いだ場所であり、上条にとっては唯一幸せだった母との短い記憶、若い頃の美しく悲しげな母の面影を重ねる場所である。
向日葵の記憶は血に刻まれているかのごとく、上条が将棋を刺す時に盤上に向日葵があらわれ、勝ち筋につながるマス目が見えるのだ。
この話がまったく描かれていない。
初めて見た人はタイトルの意味がわからない。
わたしは向日葵は登場人物たちにとって「生きた証」のように思うのだが、この映画ではぼんやりとしか描かれていないばかりか、
ラストシーンで上条に
「ここから飛び降りろ」と指し示す。
なんでやね〜ん! 向日葵に失礼やろ?!
ホンコワみたいな締めくくりで
今までのストーリーが台無しやろ!!!
と、冷めてしまったのは私だけ?
原作も、NHKドラマも、死にたくなる血に抗えず、主人公の上条は自死を選ぶ。(NHK版では上条の意志に反して刑事が飛び込みを阻止して生き延びる)
映画では東明の「生きろ」の声で我に返り、将棋の試合に向かうところで終わるが、こんなことで振り切れないから「狂った血」なのであって、受け継いだ血の苦しみがあまりに軽すぎだった。
兄以外も近親相姦の家系。兄はバレることを恐れたわけではなく血に導かれて自死したと思われる。上条の母は息子が成長するにつけ、愛した兄の面影を息子(主人公)に重ねてしまい精神を病む。つまり母の自死の原因は自分だと気づき血の因縁に絶望する。
■渡辺謙の東明は破天荒さが足りない
東明は将棋しか頭にない破天荒な策士。
渡辺謙の「生きろ」には、上条への優しさというか、
父性を感じて、なんか違うなと。
東明は大事な駒を苦学生から騙しとっても何とも思わず逃げるような男。将棋以外は酒と借金とウソにまみれている。唯一将棋に生きた男が自分のノウハウを仕込んだ上条に自分自身を重ねて、ヒリヒリする将棋を指し続けてほしいと勝手に願ったのではないか。
NHK版では、東明(竹中直人)は「約束を果たした」といって最後の将棋をさし、わざと反則負けして自害する。しかし、ラストシーンで実は上条の父を殺していないことがわかる。最後まで上条を騙し、結果的に上条に罪を負わせなかった東明の描き方(自分の将棋が取れれば良し)は秀逸だった。
■いらない脚色、いらない演技
上条は優秀なディーラーとして才能を発揮したのち、IT業界で起業し成功する。「狂った血」は優秀で自死した親族もみんな優秀。ドラマ版で用意された父との手切れ金はたしか3000万...IT起業で成功した上条にとっては、はした金といえる金額。クズ親父はそのことを見透かして、念書をかわさない。
が、映画ではなぜか「農家手伝い」
「狂った血」が向日葵畑にむかわせた??
いやいや、違うでしょ!
農家手伝いじゃ手切金1000万用意できないよ。
ディーラー時代の貯金? 駒買い戻してすぐディーラーやめて畑にくるのもわからないし、
ちょい出しなら恋人もいらない〜(T_T)
刑事役の台詞はオーバーだし
校長先生の奥様も申し訳ないけど
立ってるだけで色気があってミスキャスト
小日向さんの演技は良かったけど
耳をさわるクセ?が上条に引き継がれる
演出は謎…
子役は光っていたと思います。
とにかく、いろいろ残念で
NHK版と原作をもう一度見たくなった。
演出にムラがある…ような気がする。
非常に切ない話だった。
原作はたぶん面白いのだと思う。
ただ…今作は構成というか展開がオーソドックス過ぎてなのか、脚本に難があるのか、俳優のせいなのか、いまいちのめり込めなかった。
真剣師って生き様は知っていて、「王将」の赤井さんが俺の中では印象的なのだけど、謙さんの真剣師は大好物だった。台詞の一つ、仕草や佇まい、ゾクリとする。
音尾氏も素晴らしかった。二律背反ではないが同時に成り立たない感情を有するってのはこういう事象なのかと深く考えたりする。
主役は勿論、子役も良かったし「ごめんなさい」には、もどかしさが止まらない。あんな境遇だとしても、親って最優先される選択肢なのだと思える。
柄本さんと謙さんの勝負は、アレに至る話で一本作れんじゃないかと思う程、贅沢で濃密なシーンだった。
俳優陣は熱演の方が多かった。
疑問なのは佐々木氏とそのバディだった。
どうにも…原作を読んだ訳ではないけれど、アレじゃないような気がする。老練というか老害というか…なんか一癖あっていいようなもんなんだけど、ちくと普通過ぎる。若者もやたら早口なだけだし。
このバディは、なんだかしっくりこなかった。
本筋とは違う流れで核心に向かうポジションなだけに、露出も多いから尚更目に止まる。
レビューを書きながら思うのは、なぜ俺の評価が低いのだろうと考えてた。
どうにも、演出にムラがあるような気がするのだ。
見せ場とそれ以外。
最適ではなく、コレでいいかみたい箇所が散見する。脚本における台詞もそうだし、それが挿入されるタイミングとか、シーンの構成もあの流れではないような…諸々の事柄が俺の没入感を妨げる。
温泉の客とかさー、チラ見しただけで「おい、この子すげえぞ!」とか何なのだろう?あんなおざなりなシチュエーションは…ちゃんとやろうよ。
冒頭の顎髭なんかは、やっぱりダメだった。
なんつうか、しっかりとした原作で骨太な人間ドラマが根幹にあるのだから、ホントに細かなとこまで作り込まないとダメなんたと思う。
名作になりそうな作品だっただけに残念だった。
端的にいうなら消化不良な感じだった。
坂口健太郎がたくさん泣いていた
坂口健太郎の人生悲しすぎるでしょう。
渡辺謙にあれだけ酷いことされたのに受け入れてしまう気持ち、私には到底理解出来るものではない。渡辺謙の遺体に駒を備えなければ捕まることもなかったのにね!
歪に光る
将棋の才に恵まれ、その道でしか生きることが出来ない上条と東明。腐れ縁であり、似た境遇の両者。
物語冒頭での東明の死体とこの世に七組しか存在しない駒菊水月。
事件の真相を追う2人の刑事が辿り着いた結末は、歪な過去としがらみだった。
進行もまったりと。
救いようのないバッドエンドと言われると、、、
しんみり泣ける、、、
予測不能な伏線回収、、、
どう結に繋げるかと思った分予想通りな展開だったのでこの評価。
優勝は、タケヤみそさんです
それはさておき、私もクライマックスの山での二人の心理がわからないまま一晩寝ました。で、以下のように会社の昼休みに結論したw
東明という男、将棋は強いが善悪や懲罰の道徳観念に疎く、彼の犯行で上条は不逞な父親を排除したが、病躯で死期迫る東明は自ら上条がもつ刃物に飛び込み息絶える。死ぬ前に東明は自分との対局の喜びを失えば上条の失命も必定と考え、上条にプロになることを勧め、(勝負師として)生ききれと助言する。上条はそれを受け入れながら、自らの罪もまた引き受けるかのように、東明の遺体が見つかれば自分の身元が即座に浮上するような希少駒を一緒に埋める。
タイトル戦直前になって、刑事が奥に控える壬生の前に立ち塞がったことに少しだけ表情が動いたのは対局が実現しなくなったことに対してで、対戦した場合の勝利の確信は揺るぎないので別に逮捕についてはどうぞどうぞという感じみたいな。
それにしても…
タケヤみそさんw
素晴らしい!!
協賛企業がここまで輝いて見えたことありましたかね!?
老舗企業の暖簾に対するプライド見せつけていただきました。大英断に敬服します!
商品買わせていただきます!
マジ感動しました!
私見ですが地球外マヨネーズのインパクトは軽く超えてますw
人間の愚かさvs生きる力強さ
山中で発見された死体の身元から犯人と死の真相を追う中で人間模様を描いた作品。貧しい少年期を過ごした青年が有名なプロの将棋士になる迄の過程で背負って来た哀しい生立ちが死の真相に絡んで明らかになっていくストーリーが【砂の器】を彷彿させる。勿論、刑事ドラマの様に誰が犯人だったのか、何故殺したのかを解き明かして幕を閉じるだけの作品ではない。砂の器は欲望の虚しさや愚かさを描いているのに対し、本作は不遇な状況の中でも生ききることの力強さが描かれている点が大きく異なる。事件の真相が明らかになるに連れて見えてくる人間模様に古臭い展開を感じながらも涙が滲む。ただ、死体が発見されてから容疑者としての心理状態が描かれていない点は残念に思う。その間の心理状態の伏線を描くことで主人公の生死の選択シーンをもっと盛り上げられたと思う。それでも、ラストで主人公は逮捕されることを悟りながらも生きることを選択した表情に潔さと力強さを感じさせる点が今風であり、昭和からの時代の変化を感じた。
【“真剣師の血。そしてお前が何を背負っていようと生き切るんだ!ゲホゲホ。”今作は怒涛の如く襲い掛かる不幸に立ち向かう男の生き様を、絶滅危惧種の真剣師達の姿と絡めて描いた物語である。】
<Caution!内容にやや触れています。鑑賞後にお読みください。>
■諏訪の眺めの良い山中で、白骨死体が発見される。その死体の胸には“菊水月”と呼ばれる希少で高価な将棋駒が入った袋が置かれていた。
その容疑者として、天才棋士の上条桂介(坂口健太郎)が浮上する。そして、捜査の過程で上条の壮絶な生い立ちや賭け将棋の真剣師、東明(渡辺謙)との関りが明らかになって行くのであった・・。
◆感想
・今作の予告編は劇場で30回は観た。世界のケン・ワタナベが必死の形相で坂口健太郎さんの肩を抱きながら”生き切るんだ!”と言い、坂口さんは涙腺がオカシイのではないか、と思う位に滂沱の涙を流しているのである。
それを観ながら、不遜な私は笑いのツボに入ってしまい、”暑苦しい映画だなあ、クスクス。”などと、不埒な事を都度思っていたのである。ホントスイマセン。
・私は将棋が好きで、マアマア強かったので(オバカ)、団鬼六著「真剣師 小池重明」を読んだりしていたが、これがマア面白いのである。で、今作を観て東明を筆頭とする真剣師のモデルは、破天荒な生き方をした小池重明ではないかなあ、と思ったのである。
・今作で、実に人間臭い人物として、上条桂介の父(音尾琢磨)が登場する。この複雑な感情を持ち合わす父を名脇役音尾琢磨が見事に演じている。個人的に音尾琢磨さん出演の映画には、外れが無いと思っているが、今作もそうである。それは主役を演じた坂口健太郎さん、世界の渡辺謙さんの熱演もあってだが、音尾琢磨さん演じる”父”の存在無くして、この物語は成り立たないだろうとも、思ったのである。
■今作は、ほぼ長野県諏訪市、岡谷市で撮影されている。諏訪に行った時には私が必ず寄る”片倉館千人風呂”に、幼い上条を連れて行き身体を洗ってあげた善性があり、上条に将棋の基礎を教え込んだ元校長先生(小日向文世)とその妻(木村多江)の姿。
そして、上条はその先生が大切にしていた“菊水月”を形見として受け取るのである。幼い彼にとって、心休まる一時を与えてくれ、人生を拓くきっかけを作ってくれた人である。
・その後、上条は東大に入り優秀なディーラーとして高額年収を得るが、その後桃農家にアルバイトとして入り、農家の娘(土屋太鳳)と結婚の誓いを交わすが、マタマタ現れた”父”により、その平穏な生活を捨てるのである。
そして、その父が彼に行った衝撃的な真実。そして”お前は自死する血が流れているんだよ!”という言葉。
・それを聞き、上条はマンションの自室から飛び降りようとするも、その場にいた東明はそれを止める訳でもなく、盤上に駒を並べているのである。その”パシ!パシ!”と言う音を聞いた彼は、飛び降りを止め東明と何度も対戦するのである。
その後、時は流れ東明は胸を患っている。が、彼は唯一人生で安寧な日々を送った諏訪の街が望める場所で上条と対戦するのである。
このシーンは、上条は東明の胸の上に恩人から貰った“菊水月”を置いた理由を雄弁に物語っていると思うのである。
■その後、シーンは冒頭に戻り、上条は東明の得意とした速攻技”鬼殺し”を武器に、新人戦を勝ち上がり、その後プロ棋士となるのである。
そして、迎えたタイトルが掛かった対決に向かう上条。だが、彼の前には刑事(佐々木蔵之介&高杉真宙)が立ちはだかる。が、彼は一瞬振り返り通路の向こうに広がる風景と窓を見るのだが(亡き父の”お前は自死する血が流れているんだよ!”という言葉が過るシーンである。)彼は決然とした表情で、対局場に向かうのである。
<今作は怒涛の如く襲い掛かる不幸に立ち向かう男の生き様を、絶滅危惧種の真剣師達の姿と絡めて描いた物語なのである。>
いい役者、いい原作!だけど…
心に残る作品だった。
しかし、演出にはもう一段の奥行きが欲しかった。
監督としての力量が問われる。
刑事役の佐々木蔵之介は、確かな存在感と熱量で作品を引き締めていたが、その“激アツ”な演技演出がやや過剰に感じられた。
坂口と渡辺の物語がすでに激動のドラマを抱えているだけに、同時進行する警察パートは、むしろ冷静でクールに描いた方が全体のバランスにメリハリが出ただろうと熱量がぶつかり合いすぎて、少々息苦しくなった。
【ネタバレ】
ラストで、渡辺が坂口に「お前はプロの道に進め」と言い、自らにドスを突き立てるシーン。
その行動は一見矛盾しているように見える。
事件が明るみに出れば、坂口の“プロの道”は閉ざされてしまうからだ。
しかし渡辺は、それをも乗り越え、坂口が真のプロとして生き抜いていくと確信していたのだろう。
その思いの深さが、あの一突きに凝縮されていた。
「歩兵」は将棋で一番数が多く、最も弱い駒。
前に一歩ずつしか進めない、しかし敵陣に入ると「金」に成り一気に強力な駒に変わる。
苦くも力強い、余韻の残るラストだった。
辛い。。。
どんな境遇でも、何があっても
生き抜け。。。
ということなんだろうけど
過酷すぎて、辛い
よくできた、見応えのある映画だけど
わたしは、鑑賞した後
どっと疲れました
主人公の出自が救いようのない
過酷な設定で、胸が痛い
子どもは、母親が大好きだけど
子どもを不幸にするのも
母親なんだなぁ
と、思いました
THE・邦画
原作者さんの他の作品(狐狼の血)が好きで鑑賞
普通に面白かった、という感想かな
坂口健太郎のどうにもならない、閉塞感や絶望を将棋を通して渡辺謙と共有して生に向かって進んでいく映画だった
小日向さんが虐待の跡を見て風呂場で涙するシーンや味噌工場での親子のやりとり見てるシーンとか、そこら辺の描写はグッときた
あの夫婦のおかげで生きれたけど、将棋以外での様々なしがらみに囚われて
柄本明とかのしがみついてでも将棋で生きてるシーンとの対比も効いていたのかな
ラスト自死ではなく生を選んだ後に一体何が待ってるんだろうかね、、、
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