「盤上の顔面芝居」盤上の向日葵 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
盤上の顔面芝居
女や酒より サイコロ好きで
すってんてんの あのじいさん
あんたこそが 正直者さ
このクニときたら 賭けるものなんてないさ
だからこうして 漂うだけ
吉田拓郎「落陽」
原作未読ですが、かつて、竹中直人が強烈な存在感を醸していたドラマ版と、比較したくて劇場へ。どこか飄々とした竹中氏と、何か取り憑かれたようなミスター渡辺を、比べてみるのもいいかと思います。
対局ごとに、盤上の顔面芝居が繰り広げられるのが、観ていて素敵。セリフなくても、ひしひしと、伝わるものがあります。殊に新人王戦に挑む際の、坂口くんの目、自信と狂気のカクテル。この先のお話が、まともではないことを暗示しています。
頭の回転速いヒトだと、二手三手どころか、二十手三十手先が読めるとか。どんな頭してるんだか。因みに幕末の志士、高杉晋作ですが、仲間が議論すると、突然、よし、分かった。今すぐ始めるぞ!。と、行動に移したそうです。議論の途中で、結論が見えてしまうからだそうです。しかも、頭いいヒトって、大抵理由を説明せずに動くので、周りが、唖然。後になって、その行動の正しさを知るそうです。
そんな頭のいいヒトから見たこの世界って、どう映るんですかね。この愚鈍な世界に、賭ける未来なんて見出だせないのかな。だからこそ、そこのみにて光輝く刹那に、命を燃やそうとするのかな。私の理解を越えた世界ですけど。
案外、先が見えないほうが、幸せかも。もちろん、不安はあります。でも、先が見えないからこそ、未来が楽しくなるのかも。
私事ですが、今年の夏、ヒマワリの種、蒔きました。上手く育たなかったのですが、一株だけ成長、私の背を越えた花から、あんたの思い通りにはならんよと、上から目線で、言われた気がしました。育てた私の恩は、どこに行ったの?。
盤上に向日葵を見たことない私は、頭の中にお花畑で、いいや。
何にも考えてないけど、明日、いいことないかなぁ。本気にそう思える私は、詰んでいるのか、開けているのか、どっちかしら。
追記)
職場に若い新人さんが来ると、え、この作業も、できないの?って、驚かされることがあります。ただそれは年齢の差であり、経験の差であり、そのヒトの本質ではない。では、本質は何処にあるのか、この問いに正確に答えることができないのが、ヒトの世の困り事です。
この映画、困った映画扱いされていますね。「砂の器」と比べて、何が問題なのか。原作の問題なのか、脚本の問題なのか、お話の時代背景が、今と合わないのか。凡人にはない特殊な才能が語られることが、問題なのか、私には分かりません。
自分には無い才能を持つヒトに嫉妬したり、自分には無い不幸を持つヒトに憐れみを持つのは、ヒトとして当たり前の事ですよね。この映画に批判評が多いのは、その当たり前を描いたことが、原因なの?。
私としては、血に抗い、自らの選んだ道を後戻りしないヒトを描くお話は、決して悪いお話だとは思わないですけどねえ。
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