「酷すぎる宿命」盤上の向日葵 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
酷すぎる宿命
不幸な身の上話も辛い話も、あまり好きではない。
確かに坂口健太郎は良かった。
優しさゆえに、父親を切り捨てられず、将棋が好きなゆえに、
金を掛けて将棋を指す、博打うちみたいな男(渡辺謙)の将棋を
認めてしまう。
これは棋子の映画ではない。
極道の、人の道を外れたヤクザ者の映画だ。
「狐狼の血」の柚木裕子作。
将棋の世界を、任侠のように描くのは納得できない。
★時代背景がこれで良いのか?
古臭い。
1970年代にに上条桂介は10歳位なので1990年代の現在は、
桂介は30歳半ば位の計算か?
せっかく見かねて助けようと、奨励会への資金を出すという
小日向文世の言葉を
父親を見捨てられない優しさから、無駄にしてしまう。
しかし東大には合格して卒業。
外資系証券会社で優秀な成績を残すが、資金を貯めてプロ棋士になったのか?
★しかし、向日葵の咲く桃農家で働いたのは何歳の時で、
何のためにプロ棋士以外のことをしているのか?
全く理解出来ないストーリー展開。
★向日葵は母の思い出と深く結びつくから、農園を選んだのか。
☆☆☆
プロ棋士になる過程が全く描かれていない。
奨励会以外では、プロ棋士になるの道は難しい、
アマチュアとして圧倒的な強さが必要であるとか。
(ほとんどそんな例はないそうだ)
幾ら素質と才能に恵まれても、死ぬほど対局を積まないと
プロ棋士などになれる訳がない。
この経過がすっぽりと抜けている。
そしてこの話はミステリーなので、殺人事件というか死体が二つ発見される。
(佐々木蔵之介と高杉真宙の刑事は好感度が高かった)
地道に足で調べる「砂の器」のようだが、
佐々木蔵之介は弁当や名産品ばかり食べまくっている。
上条桂介の師匠である道明重慶(渡辺謙)の死体が見つかったのが、3年前。
♥︎今、公式ホームページをちょっと読みました。
農園の娘で元婚約者の土屋太鳳の役は、原作にはない映画オリジナルの
キャラクター、とのこと。
成る程、
【それで辻褄が合わなくなってるんですね】
さてラストなのですが、道明重慶が上条桂介に愛情が僅かでもあるなら、
あんなことは頼みません。
自分勝手なわがまま以外に、何もない。
だから人の道に外れていて、嫌いなんです。
父親(音尾琢磨)の最後の告白も、取ってつけたようで本当か嘘かも
わからない戯言。
小日向文世の夫婦以外にまともな人間は出てこない。
時代錯誤も甚だしく、大正時代か、戦前の設定がギリギリ・セーフ。
道明重慶に一回も勝てない上条がプロ棋士になるなんてあり得ません。
坂口健太郎は情感たっぷりで良かったし、
悪人を演じたら渡辺謙の右に出る俳優はいない。
でも好きになれない作品でした。
ですよね。
何で殺してくれ、なのか意味がわかりませんでした。
自殺して遺言状で遺灰をあの場所に撒いてくれ、と頼めば良い事だと思いました。
観ていて腹が立ちました。
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