「これはひどい作品だ」正体 henbokさんの映画レビュー(感想・評価)
これはひどい作品だ
なぜこの作品が高く評価されるのか全く理解出来ません。「映画はフィクションだから細かいことは言うな」というような意見も聞きますが、ここまでリアリティがなく、細部のツメが杜撰な作品も少ないと思います。
どうやってあの刃物を持ち込み、どんな傷で病院に運ばれたか分からず、あの状況で救急車から逃げられるとは思えないことから始まって、①大阪から逃げた後、吉岡里帆の会社の契約ライターになる経緯が全く分からない。②いくら心を許したとはいえ、逃走中なのにいきなり吉岡里帆に素顔をさらして食事し、飲酒までするのは無警戒過ぎる。③吉岡里帆がいきなり横浜流星を同居させるのは幾らなんでも無理。④捜査一課長の山田孝之が平刑事のように現場の最前線で聞き込み調査などしないと思います。⑤吉岡里帆のアパートに踏み込む時に、普通は周りを警官で堅めると思います。⑥部屋を調べる時には天井裏も調べるでしょう。⑦川に飛び込めばそれで逃走成功になるのか?⑧身分証明書や保証人も無しに水産会社や介護施設に就職出来るのか?⑨介護施設に踏み込んだ際、警官が威嚇発砲もせずいきなり犯人に発砲することがあるのか?⑩死刑囚に面会出来るのは許可された親族のみ。⑪いったい横浜流星の死刑判決はどの時点だったのか?最高裁迄行っていたのか。それとも二審あたりだったのか?それによっては最後の無罪の出る場面の解釈が変わります。
それ以外にも細かなツッコミ所はたくさんありますが、とにかくここまでご都合主義で作られた作品を、横浜流星の演技がいいとか、テーマが冤罪問題を扱っているからなどというだけの理由で、評価することは全く出来ません。
監督始め製作サイドの真摯な作品作りを望みます。
うっかさん、おっしゃる通りです。こんなレベルの作品で良しとする製作者は、観客を見くびっているとしか思えません。ただ、このレベルで感動したという観客もいるから、どっちもどっちでしょうか。
劇中で起こる事象があまりにもむちゃくちゃすぎて、心がついていかなくなるんですよね。杜撰すぎてご都合主義とも言いたくない、これを本気でいい話としてつくっているんだったら、何かが完全に欠落していると思います
このようなコメントを頂きました。
"「現実なら無理」という話では無く、人の冷たさと暖かさを描いたところに注目するべき作品なのではないかと、私は思いながら観ました。"
なるほど、そういう観点もあるのかと思いました。ただ、そこで描かれる「人の冷たさと暖かさ」が本物としてリアリティを持って見る人の心を打つには、作品全体にきちんとしたリアリティがなければならないと思います。そうでなければ、「人の冷たさと暖かさ」を描きさえすれば何でも有りになってしまいます。「人の冷たさと暖かさ」を描いた作品にも傑作や良作と駄作があると思いますよ。
現実的に見れば、そうかもしれないと思うレビューですね。でもきっと、小説もこの映画も、伝えたいところはそこじゃない。「現実なら無理」という話では無く、人の冷たさと暖かさを描いたところに注目するべき作品なのではないかと、私は思いながら観ました。