「逃げない吉岡がゲームチェンジャーとなった藤井の力作」正体 コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
逃げない吉岡がゲームチェンジャーとなった藤井の力作
1 無実の罪を背負った青年の逃走劇とその行く末を描く。
2 ある家庭の親子が殺害された現場。居合わせた横浜流星が容疑者として逮捕される。一貫して犯行を否認するも聞き入れられず、死刑判決がでる。彼は拘置所で自傷し、病院に搬送途中で逃走。その後、大阪、東京、○○、長野に氏素姓を変えながら、出没と逃走を繰り返し自分の無罪を証明しようとする。その姿を追いかけるのは警視庁の刑事、山田孝之。果たして、その行く末は・・・。
3 映画は、横浜流星の逃走後の偽名での活動と身柄を確保しようとする山田の動きで進んでいく。逃亡先において、横浜流星は髪型などの印象とともに従事する仕事も変えている。そしてそこで知り合った人と交流を持つが、公開されている体の特徴から正体を悟られてしまう。
4 映画の造りは、横浜流星の各逃走経路やそもそもの事件の公判過程を短縮し、潜伏先での描写を積み重ねた。藤井はこうしたことで、メリハリのある構成としつつ横浜流星の人間性を浮き彫りにした。そして、全編を通じ密度の濃い力作となった。
5 出版社の社員であった吉岡は、いかなることがあっても逃げないぶれない姿勢を示し、横浜流星と並ぶ本作の影の主役となった。物事から逃げない吉岡があたかもゲームチェンジャーとなり、それまで逃げてばかりいた、横浜流星を始め各地で同僚であった人々も逃げずに自分の人生を立て直すことに注力した。「逃げずに立ち向かえば物事は変わりうる」ということがこの映画で示された。警察側の描写では、松重は警察権力発動の誤った類型を示し、山田は、縦社会の警察組織にあって、シレッと面従腹背し、最期に自分の信念に基づき行動した。
6 逃走中の横浜流星が短期間で法律に馴染んでいたり、優秀なライターとして出版社に出入りするのはちょっと都合が良すぎに感じた。
みかずきさま
コメントありがとうございました。
横浜流星と吉岡。共に気持ちが強く信念をもって行動する役柄でした。
横浜は劇中において、社会経験に乏しく人間的な成長過程にあり、吉岡はいかなる状況や内圧、外圧に相対しても動じない人間的に完成した大人のように見えました。
そういう点で、私は吉岡の方により感情移入し惹かれました。
今後ともよろしくお願いします。
みかずきです
「逃げずに立ち向かえば物事は変わりうる」
同感です。
私は、観終わって、己を信じて行動すれば道は必ず開かれるというメッセージが伝わってきて胸が熱くなりました。
ー以上ー