「映画的な表現に溢れた傑作」正体 HKさんの映画レビュー(感想・評価)
映画的な表現に溢れた傑作
冒頭から引き込まれるグロ、アクションシーン、
同じ横顔のクローズアップの構図で、
異なる相手に対して皆の短い言葉が連続的に繋がれて
最初と最後でコントラストをなす対話シーン、
先を暗示するような洗面器の排水の渦、
ワンカット長回しの逃走シーン、
映像だけで語るラストシーン、
など、とにかく映画的な魅力的な表現に溢れていると感じました。
また、登場人物は説明せず、短い会話や微妙な表情だけの画面も多いので、
その心中に対して常に想像力をかきたてられ、
集中力の途切れることなく見続けることができ、とくに最後の対話シーンは感動的でした。
とくに横浜さんは、逃走犯という設定上、
マスクをしたり、言葉も極力話せない、という制約の中で、
時々発する言葉が大仰にならず、呟くような、それでいて実感のこもった感じが本当に引き込まれました。
リアリティという点ではどうだろうと思う部分も正直ありますが、
おそらくこの映画の主題ではないでしょうし、
その映像表現、演技に圧倒されっぱなしで、まったく気になりませんでした。
そして観終わった後、”あなたは目の前の人に偏見なく、誠実に向き合えているのか”、そう問いかけられたような気がしました。
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