「原作のその先へ」正体 ABCDさんの映画レビュー(感想・評価)
原作のその先へ
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原作小説を読んだ上での鑑賞。
小説を映画化すると、やはり内容や人物描写が薄くなってしまうのは致し方ないか。
そして、原作と大きく異なっているのは主人公、鏑木のラスト。原作では、警官の銃によって死亡し、その後無罪が裁判で決まった。ただし、そこに鏑木の姿はない。
映画では、鏑木は生還し、裁判でも姿を現す。そして、自身の無罪を生きて聞くことができた。
自分自身は映画を観ていて、やはり原作の方が好きだなと思ったけれど、あの裁判のラストシーンを見て違う感情も生まれた。
これは、たぶん原作と映画どっちが良いとかそういう話ではなくて、こんな世界線もあるという話だと思う。
原作のあの切なさの残るラストがすごく好きだったけど、今回の映画では、
『もし、鏑木啓一があの裁判にいたら』
を描いていた。最後、あの鏑木の涙と笑顔を見れたことが嬉しい。希望に満ち溢れた映画だった。
原作とはまた違った感情を生み出すという点で、この映画化は大成功だったと思う。
最後のヨルシカの曲も余韻バッチリで良かった。
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