劇場公開日 2025年8月1日

「他人事ではない海外旅行あるある」入国審査 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 他人事ではない海外旅行あるある

2025年8月2日
PCから投稿

怖い

海外旅行の経験がある人なら、入国審査の列に並びながら審査官との最低限のやり取りや、国によっては必要書類に怠りはないかチェックしたことがあるはず。目的地はドアを出たすぐこそなのに、別にやましいことはないのに、直前で待ち構える審査を無事通過できるかどうか心配になる。海外旅行あるあるである。

2人のベネズエラ人監督が実際にアメリカ入国の際に巻き込まれた災難にインスパイアされた本作、タイトルもズバリ『入国審査』は、誰にとっても他人事ではない審査の中身を、ほぼ取調室に限定して描く密室サスペンス(またはホラー)のよう。サスペンスたる所以は、取り調べのターゲットにされる主人公の男女の背後にある意外な事情が、2人の関係性が、冷徹な審査官の容赦ない尋問によって解き明かされ、微妙に変化していく点にある。そしてもう一つ、なぜそこまで審査官たちは彼らの入国目的を怪しがり、問い詰め、自尊心を踏みつけにするのか、その理由が不明なのもタチが悪い。不安感と威圧感、それがテーマであり、最後に待ち構える痛烈なオチに繋がる重要な要素。世の中には法に則った理不尽があることをこの際覚えておこう。

とは言え、アメリカへの入国審査で必要なのはESTA(電子渡航認証システム)が入力された有効期限内のパスポートのみ。審査官に口頭で聞かれるのは滞在期間と目的だけのことがほとんどなので、この夏、アメリカ旅行を計画している人は安心して旅立っていただきたい。

清藤秀人
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。