劇場公開日 2024年7月19日

「ホラーでした…」あのコはだぁれ? R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ホラーでした…

2025年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2024年の作品
またしてもやってしまった。
ホラーだと知らずに見たが、見たからには最後まで見ることにした。
何処かで見たような「家」だと思ったら、「ミンナのウタ」と同じ舞台であり、派生作品だった。
この作品の面白さはトリック的なオチに着地する。
さて、
昔も今も、呪いや悪霊との対峙には犠牲が伴うのだろうか?
この物語の中の凝り固まった「想い」が浄化されたが、やはりその代償はあった。
この、「何かと何かを天秤にかけなければ成り立たない」思考は、一体どこからくるもので、それは実際に多くの人は「正しい」と考えているのだろうか?
この物語でもこの「型」のようなものが普遍的な事実のように設定されていることに、どうしても反論したくなってしまう。
しかし実際ホラーを描くと、その代償に依ってでしかバランスが取れなくなるのだろうか?
ラストのオチ
歪な想いが取り払われたと同時に、実は主人公自身がその代償を支払っていたこと。
人の想いとは、やはり信じたいものしか見えなくなってしまうのだろうか?
その世界には、自分だけしかいないはずだが、信じたいことを継続させるために「誰か」を引き込まなければならなくなるのだろうか?
特に、死んでしまってから自分の思考を変えることはできないのかもしれない。
だから、呪いのようなものや悪霊の類には相応のパワーがあるのだろう。
ただそれでもそれは、人間の思考に過ぎない。
その思考のパワーが、ホラーを作り出す。
現実とは違う世界こそ、ホラーの面白さなのだろう。
形が変わればそれはファンタジーとなる。
しかし、その域を超えられないのもまた事実だろう。
人はみな、死んでもなおその心は残ると考える。
それが魂だと考える。
臨死体験と死後の世界
この尽きることのない妄想を共有することで、より大きな妄想となる。
さて、、
今年の夏 異常な暑さに蚊も動けない。
蚊の研究で有名な日本人 当時はまだ小学生
その彼が発見した足の裏の雑菌の種類の多さで、刺されやすい人と刺されにくい人がいる事はわかった。
それを「ニオイ」と言う言葉に置き換えているが、蚊は本当にニオイなど嗅げるのだろうか?
蚊についているセンサーは、人間で言うところの鼻と似ているとしていいのだろうか?
昆虫の複眼は、本当にカメラを束ねたようなものなのだろうか?
何等かの波長が、目によって可視光線となり、耳によって音波となってキャッチできるが、そもそも「それ」は、生き物にとって異なるものなのではないだろうか?
蚊は蚊にとって必要なものを認識し、人間は各々の必要なものを探す。
蚊は、蚊にとっての生存と繁殖のためにセンサーがあり、人類はそれに加え「求める価値」を探そうとする。
「さな」はその価値を「最期の音」つまり「魂の音」に求めた。
一般的ではない「それ」が、一般的なホラーとなった。
その価値は「さな」にしかわからないことが、物語をホラーにする。
「さな」がもし、自身の不幸を代償に誰かの幸せを願う場合、その「最期の音」は誰かの奇跡となる物語もできる。
「さなの作品」は彼女の世界に他人を引き込んだが、自殺しても他人を殺しても、自身がしたことに変わりはなく、それが自身の価値であるならそれを追いかけるのが人生であり、死ぬことでそれが閉じられるだけだ。
結局は誰もが自分の価値を探し求めているだけで、それがどんなものであってもその人の価値であり、そこに価値を見いだせない他人を引き込むことなどできないだろう。
ここにどうしてもホラーの限界を感じてしまう。

R41