ハロルド・フライのまさかの旅立ちのレビュー・感想・評価
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希望は人を生かすのか?
かつての同僚から手紙が届いた主人公。そこには病気でもう命がないってことが!返事を書いて送ろうとしたがある想いがあってポストに投函出来ず。
そのままの歩きで800キロ離れた病院を目指して行く。自分が着くまでは生きて欲しいと病院へ連絡して。
道中に会う人たちやこの人がなぜ歩いてまで会いに行きたかったのかとか良い内容でした。人の嫌な部分も書いてあるのも良かった。
「彼はやり遂げる」
普通に公共交通機関を使えばいいのに
本人にとっては、徒歩で向かう事が危篤の人の為になるという信念を持っているからしょうがないけど。
行く先で主人公が不幸な目に遭う様は、山野一のどぶさらい劇場を読んでいるようだった。お年寄りが虐められているのは、子どもが虐められているのを見るより辛いです。
原題は贖罪と内容そのままのタイトルでベストセラーとの事。自分は無神論者で神なんか信じている人は、身近に相談できる人がいない可哀想な人としか思っていないので全く主人公に共感できませんでした。
お爺ちゃんの演技が真に迫る神演技で全力で可哀想な人を演じていて、お爺ちゃんを虐める人も無茶苦茶憎たらしくて演出は素晴らしいので、そこは見どころです。
800km歩いてみようかと・・・
イングランド南西のサウス・デヴォンで、定年退職後、妻モーリーンと平穏な日々を過ごしていたハロルド・フライのもとに、北の果てベリック・アポンツイードから手紙が届いた。差出人はかつてビール工場で一緒に働いていた同僚のクイーニーで、ホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ終わりを迎えるとのこと。励ましの返事を書き、近所のポストから手紙を出そうとしたハロルドだったが、ガソリンスタンドで青い髪の少女に言われた事から考えを変え、800キロ離れた場所にいるクイーニーのもとを目指してそのまま歩き始めた。さてどうなる、という話。
サウス・デヴォンからベリック・アポン・ツイードまでどのくらい有るのか、Googleで調べたら、遠いところでも800kmまでは無かったが、750kmくらいは有ったので、まんざら誇大でもないのか、と納得した。
1日30kmくらい歩いたら休みながらでも3週間も有れば着きそうだが、家から車までしか歩かないって言ってたからちょっと無理なのかもしれないし、途中のどんちゃん騒ぎで1日2kmとか言ってた日も有ったから、62日は妥当な所かも。
ハロルドの突拍子もない行動によって妻モーリーンとの冷たい関係が改善されたり、息子を亡くした事のケジメも付けれたようで、凄く良かったと思った。
スロバキアから移民の医師がイギリスではトイレ掃除くらいしか仕事が無いと言ってたのも衝撃だった。能力が有ってもやはり異国では制度も違うだろうし、医師免許とかは簡単に取れないのだろうと。
あと、青い髪のタトゥー少女はすごいビジュアルだった。作品の中であれだけのタトゥーを入れる理由は無さそうだから、本物なのかな?
元に戻って、800kmだが、東京から西に歩くと広島県くらいらしい。
いつか東京まで歩いてみようかと、ちょっとだけ思った。
ありえないけど、素晴らしい。
徒歩のロードムービー
私が通っていた小学校は家から4kmくらいあって、小学生は毎日往復徒歩で通学。
通学路の最後の1/4が大きな川の土手で、カンカン照りの夏場、日差しを遮るものもないところ、干からびたミミズを踏ん付けながら、吹きっさらしで真冬の風をまともに受けながら、雨なんか降ると傘をさす手の感覚がなくなって、それでも学校へ行くにも家に帰るにも歩くしかないので黙々と歩くんだけど、その時に子供ながら悟ったことは、足を前に出し続けさえすれば、いつかは目的地に着く、ということ。
そして、ひとりでなら歩いている時間はそっくり「思考」の時間になる。
ハロルドは自分の中でもやもやしているものをひとりでじっくり考える時間を得た。
「歩く」ことの肉体的苦痛は、息子のこと、クィーニーに自分の罪をかぶらせてしまったこと、その恩返しもできていないことなど絡めて、そのまま自分への「罰」だったのかも
思考が進むにつれ彼は便利な持ち物を全て奥さんに託し、本物の巡礼の修行僧のようになってしまった。
ハロルドがひとりで勝手に出ていって大分自分勝手だとは思ったが、車で追いかければすぐ見つかるのに、なんだかんだ言い訳して追いかけようとしない奥さんの方にも、ひとりになることでたっぷり思考の時間ができた。
ふたりとも、半端にくすぶっていた様々な葛藤を自分の中で十分に熟成、あるいは発酵させて、ある程度の「真理」に行きついたよう。
ハロルドの行動は確かにクイーニーを助けることはできなかったが、死の直前の彼女に生きることへの張りをもたらしたし、道中で出会った若い同性の恋人がいる紳士、移民の元医師の女性、ガソリンスタンドのお姉さんに、クイーニーへのプレゼントのガラス玉の反射のように、人生に些細なきらめきは残してくれたようだ。
小さい「いいこと」がある人生は、ないより100倍も良いと思う。
息子に似ていると思って目をかけていた若者に裏切られ、しょぼい犬にも捨てられ、がっくり気力をなくして、妻に泣き言の電話を掛けてしまう気持ちは分かる。そんな日もある。
年寄りだからと言って何でも達観しているわけではない。
生きている限り、人生の「途上」なのだ。
隣人も含め、出会った人々が親切で良い人が多くてほっとした。
メディアで取り上げられた途端に有名人になり、勝手に一緒に「巡礼」してTシャツなんか作るミーハー集団なんかも現れたが、よくある「持ち上げて落とす」マスコミの餌食にはならなかったようで良かった
ゴールについた彼は、相当臭ったと思う。
クイーニーに会う前にお風呂に入って身だしなみを整えられるくらいのお金やモノは取っておけばよかったのに、と思った。
こういうので泣ける人間で居続けたい
ハロルド・フライの贖罪の旅
手紙を出すのを躊躇して、そのまま800Kmを徒歩🚶で歩こうなんて
思うかな〜!?という疑問が頭に浮かびながら
ハロルド・フライのロードムービーを鑑賞しました。
ハロルド・フライが会いに行く相手クイーニーに
自分が徒歩で会いに行くからそれまで生きていてくれ!と
ホスピスに伝言するわけですが、その動機が彼の旅とともに明かされていきます。
彼は息子との関係性がうまくいかず息子を亡くしていることと、
それが影響して夫婦仲が険悪となり、職場で荒れた彼の身代わりとなって
同僚のクイーニーが免職されるという、この二重苦と言いましょうか、
これらの発端が自分自身にあるという後悔から、贖罪の旅に出たというのが
本筋であろうと思います。
にしても、上映時間がちょっと長いかな〜と感じましたね。
彼の徒歩の旅がイギリス中でニュースになって、同行者が出てくるのは面白かったのですが、
それが彼の旅に与える影響はあまり描かれていない気がしておりましたが、
それでも妻が夫のことに想いを馳せ、実際に会いに来るところは、じんわり心に沁みました。
ハロルド・フライは旅を通して妻をも不幸にしてしまうところだった、と、
どこかのタイミングで気づいたと思うんですよね。
それがゆえのラストの二人で手をつなぐシーンに繋がったのだろうと思いました。
おそらく高齢のハロルド・フライが800Kmを歩ききるバイタリティがあるというのには
驚きをかくせませんし、たぶん自分の方がまだまだ若いので
負けていられないなと思いましたね笑
歩いて歩いて真のゴールへ
平凡なおじいちゃんが余命わずかな元同僚に会いに行く為ひらすら歩く歩く歩く
イングランド横断というあまりにも無謀過ぎる800キロの旅…普段着にデッキシューズと過酷な旅に不似合いな姿で挑む予告編を見ちゃったら
道中も結末も気になるよなぁって事なのに
上映館が少なくないかい💦?
あたふたしながら皆さんの高評価レビューを読んだらもう劇場へGOするっきゃないだろ!!
頑固者にしか思えずそこまでして何故?同僚との間に何が?憶測からのスタートでしたが
スクリーン越しのハロルドと並歩するうちに徐々に彼の過去が明かされていく
過酷過ぎる一歩一歩が巡礼の様にさえ見えた
あくまでハロルドが軸の物語ですが
妻モーリーの存在は大きい
彼女自身の葛藤哀しみは計り知れないが
箇所箇所で引き目に言葉少なくハロルドを見守る姿には切なさと愛しさを感じました
原作者も監督も女性だからだろうかラストの優しく淡く煌めく水晶光の演出が繊細で素敵でしたね
あの光を仰ぐハロルドと関わった人達の表情も皆柔らかく穏やかに見えました
スマホだけをながめ下ばかり見てる現代人に
顔を上げてみて…と伝えている様でした
お向かいのおじ様もいい人過ぎた⭐️
鑑賞料を上回る電車代を払っても本当に出会えて良かった作品です!
皆さんの推しレビューのお陰です!
ありがとうございました⭐️
大分とっ散らかって
後悔と恩返し。
恩人から届いた手紙の返信へと手紙を書きポストへ向かった定年退職してるハロルド・フライと自宅で待つ妻モーリーンの話。
ポストから郵便局へと書いた手紙を持ち歩き、途中ミルクを買いに立ち寄ったスタンドの青髪ファンキー女子から「病気に効くのは薬じゃないよ!気持ちだよ!」と自分の胸を叩く、その言葉を聞き普段は自宅の駐車場までしか歩かないハロルドが800キロ先恩人がいるホスピスを目指し歩き出す。
その歩く道中、息子との事、恩人クイーにーとの経緯を小出ししながら 800キロ先のホスピスを目的地に歩くけれど…、作品とはいえ幾らなんでも無理でしょと!途中買い物、泊まるホテル代あるなら交通機関使ったらと脳内ツッコミ!
歩き疲れ倒れて面倒見てくれる看護士さんから始まり、途中撮られた1枚の写真でニュースに出ちゃって時の人となっちゃうハロルド、1人の未成年とワンコから始まりいつの間にか凄い団体になってお祭り騒ぎみたいになっちゃったけど。
ホスピスまで残り28キロで突然奥さんへ「もう無理だ」と泣きの電話と、喫茶店で「息子に会いたい」と泣き始めたのには何故ここで?とちょっと笑っちゃったかな。
ラストのハロルドがスタンドで働くファンキー女子へ送った手紙で涙と、息子の事で25年前からハロルドに対して冷めてたモーリーンから「やっぱり貴方を愛してる」とハロルドへのキスにも涙。
最初は少々身勝手な男性の旅立ちにも思えるお話ですが、実は妻とのパートナーシップが肝になっているのも素敵なところです。
イギリスの作家レイチェル・ジョイスによる累計発行部数600万部を誇るベストセラー小説「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」。日本でも2014年の本屋大賞翻訳小説部門第2位に輝いた傑作です。それを、イギリスを代表する「アイリス」のオスカー俳優ジム・ブロードベント主演で映画化したのが本作です。原作者ジョイスが自ら脚本を担当。本国イギリスで新作映画初登場No.1の大ヒットを記録した必見の一本です。
イギリスの南西から最北端まで、800キロに及ぶ息を吞むような美しい風景が贅沢にスクリーンに広がる、新たな感動の物語です。
●ストーリー
英国南西部の郊外で、長年勤めた工場を定年退職。穏やかな老後生活ながらも妻と冷え切った日々を過ごしているハロルド(ジム・ブロードベント)のもとに、ある日、北の果てから思いがけない手紙が届きます。
差出人は、かつてビール工場で一緒に働いていた元同僚の女性クイーニー(リンダ・バセット)ホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ尽きるというのです。
クイーニーが余命わずかだと知ったハロルドは、「お大事に」と書いた返事の手紙を手に家を出たのですが、途中で心変わりするのです。彼にはクイーニーにどうしても会って伝えたい“ある想い”がありました。
彼女がいるホスピスに電話し、職員に「今から歩いて会いに行くから、それまで生きていてくれ」と伝言を依頼。妻の反対を振り切って普段着、革靴のまま彼女が収容された北部のホスピスをめざして歩き出しはじめます。
歩き続けることに、クイーニーの命を救う願いをかけるハロルド。目的地までは800キロ。彼の無謀な試みはやがて大きな話題となり、イギリス中に応援される縦断の旅となっていきます。
●解説
ハロルドの過去に何があったか――それは少しずつ観客に開示され、次第にこれが贖罪の旅であることが判ってきます。彼はなるだけ手ぶらで、長距離の歩行には不向きなデッキシューズを履いたまま、自ら苦行を受け入れるように足を痛めながら歩き続けるのです。原題には“巡礼”という言葉が入っています。確かにこの旅は宗教的な儀礼のイメージを帯びたものです。
なぜハロルドは無謀な旅に挑むのか。それを解き明かすキーワードは「信じる心」で、清らかな「光」のイメージが随所にちりばめられていますが、宗教的な映画ではありません。
ハロルドが裸足で歩く聖者のようにカリスマ視されるくだりは「フォレスト・ガンプ/一期一会」に似たパートがありますが、彼はあくまで個的な回復に向けて歩みを進めていただけなのです。
ハロルドが道中で出会う名もなき人々との交流、彼の痛ましい過去、冷えきった妻との関係、息子との断絶など多彩なエピソードを通して、人生の喪失や悔恨、そして再生の物語が展開していきます。それらの多くは観客の想像の範囲内に着地するかもしれませんが、俳優陣の哀感にじむ演技、美しい丘陵や田園風景をカメラに収めた映像に魅了される一作です。デボン州の「美しく、狭い田舎道」や工業地帯、スコットランド近くの「沼っぽく、野性的な場所」など、英国の様々な原風景を堪能できることでしょう。
●感想
ロードムービーの魅力を醸造する要素が詰まっている作品だと思います。旅が進むにつれ、徐々にハロルドの人生の悔恨悲しみが次第にあらわになってきて、無謀な旅に出た理由が立ち上がってくる仕掛けです。信じる心を持ち続ける大切さも伝わってきて、冷え切った関係にあった妻とのラストシーンは涙を誘われました。
ハロルドの毎日はルーティン化していたのです。それゆえに冷え切った夫婦でもやってこられたんでしょう。しかしそんなルーティンの積み重ねで、彼の心は閉ざされてしまったのです。それが、歩いているうちにだんだん解放されていきます。自分で築いた壁が壊れていくことに、彼自身が驚いているんだと思いました。
ビム・ベンダース監督はあるインタビューでロードムービーを「道は人生の暗喩」と位置づけていましたが、本作もハロルドの人生の悲しみや後悔、愛が行路とともに表出してくるのです。そして「暗喩」より、もう少し素直に心に染みこむゴールが用意されていました。
最初は少々身勝手な男性の旅立ちにも思えるお話ですが、実は妻とのパートナーシップが肝になっているのも素敵なところです。
監督や撮影、原作者など、女性メインのチームによる、優しさにあふれた作品であることにも注目してください。
晩年の素晴らしい旅路
地図も無ければ コンパスも無い そりゃ無理だっつーの。(゙ `-´)/
自己満足、身勝手さが鼻について共感できず
ちょっとポストまで、のはずが、
何も言わず、携帯も持たずに800㎞歩くことにした、はないでしょう
助けられなかった息子、助けられたクイーンをもう裏切れない?
長年連れ添った伴侶は放っておいてもいいのですか?
必ずしも良妻ではないかもしれない
けれど、モーリーンの心情を考えると、辛かった
置いてけぼりにされたモーリーンがどんな気分になるのか、
彼女にひどい仕打ちをしているとは考えないのでしょうか
また、
最期を覚悟しているクイーニーに本当に会いたいなら、
願をかけて歩くより、時間優先ではないのか
自己満足を優先させ、
末期の癌患者にとっての2か月がどんなものかも現実離れしすぎていて、
苛々してしまった
あなたを愛していることに気づかされた、
という、
モーリーンの言葉に救われたが、
ハロルドの自己満足で、迷惑極まりない行動に共感できず
ただし、
ペネロープ・ウィルトン、ジョセフ・マイデルはさすがの演技だった
場面は少ないものの、リンダ・バセットも凛として素敵だった点は評価している
正直、ちょっと展開が退屈だった。
有名な小説だという原作を知らずに映画として初めて味わう。
なぜそこまでして無謀な旅?この夫婦の冷え方はなんで?息子はどうした?、、、なんとなく予測がつく中、随所に文句なしの地平線や山並みを挟んで気持ちいいロードムービーとして魅せてくる。
英国では「人生最後に国縦断するおじいさんの旅」は定番なのだろうか。しかも途中でバズって有名人になっていくところは「君を想い、バスに乗る」をなぞっているようだし、薬中の挫折息子の追憶の展開では「The Son息子」がフラッシュバックしてしまう。
そんなこんなで雑念にとらわれつつ睡魔には襲われなかったのは、奥さんの女優さんがダウントンアビーで安定の演技を見せてくれた方だったからだろうか。
一歩でも前に進めばいつかは辿り着く
それこそが人生
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