「ユダヤ人フィリップの物語」フィリップ 大岸弦さんの映画レビュー(感想・評価)
ユダヤ人フィリップの物語
フィリップ
神戸市内にある映画館シネ・リーブル神戸にて鑑賞 2024年7月2日(火)
パンフレット入手
STORY
1941年ポーランド・ワルシャワのゲットーで暮らすポーランド系ユダヤ人フィリップ(エリック・クルム・ジュニア)は、恋人サラとゲットーで開催された舞台でダンスを披露する直前にナチスによる銃撃に遭い、サラと共に家族や親戚を目の前で殺されてしまう。
2年後、フィリップはドイツ・フランクフルトにある高級ホテルのレストランでウェイターとして働いていた。そこでは自身をフランス人と名乗っている。フィリップは筋肉がムキムキであること生かし、戦場に夫を送り出し孤独にしているナチス上流階級の人妻たちを次々と誘惑することでナチスへの復讐を果たしていた。
嘘で塗り固めた生活の中、プールサイドで知的な美しいドイツ人のリザ(カロリーネ・ハルティヒ)と出会い本当の愛に目覚めていく。
連合国軍による空襲が続くなか、勤務するホテルでナチス将校の結婚披露パーティーが開かれる。その日、同僚で親友のピエール(ヴィクトール・ムーテレ)が理不尽な理由で銃殺されたフィリップは悔しくて号泣する。
以下パンフレットより
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藤森晶子 歴史研究家 (抜粋)とストーリーの続き
ナチス政権下ドイツでは親密になってよい男と女関係を法令で規定した。
禁止までせざるを得なかったのは、裏を返せば、ドイツ人女性と、ドイツ国内にいたポーランド人などの外国人との親密な関係があまりにも多く生じていたからだ。ドイツ人男性が戦地に行った分外国人がドイツ国内の農場や工場で働いていた。このような外国人はは、戦争後期には760万人いたとされている。
彼らには多くの禁止が課された。滞在地を離れることの禁止、ダンスパーティへの出入り禁止に並んで「ドイツ人女性やドイツ人男性と性交した者や、みだりに接近した者は死刑が課される」とされた。ドイツ人女性も、民族の純血を汚したとされれば、厳しく罰せられた。公衆の面前で丸刈りにされるという辱しめを受けた。町中を引き回されることもあった。
ナチス政権はこの見せしめをある時期までは地元当局に推奨していた。
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STOY の続き
ドイツ人女性のブランカ(ゾーイ・シュトラウプ)は、単に「娼婦」なのではない。制裁受ける危険性を分かっていながら外国人労働者と交わることをやめないし、そのために工場でのでの勤労奉仕もまじめに組まない。髪を切られるという痛い目にあった後ですら、フィリップのもとを訪れる勇気を持っている。ブランカには反抗な意思がある。
フィリップは「君にはこの腐った世の中に迎合しては行けない。戦争が終わってもそれは大切なことだ。」と言って励ます。
裕福な家庭出身で、写真技術研究所で働くリサ(カロリーネ・ハルティヒ)も、フィリップを外国人であることを知りつつも、連れたって堂々と町を歩き、カフェのテラスでは大っぴらに過ごす。二人に関係は恋人になるまで発展していく。
ラストシーンはこう。
フィリップは拳銃を拾い、ダンス会場の天井から拳銃を乱射して、何人か殺して、パリ行の列車に乗り込んで脱出した。
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監督ミハウ・クフィェチンスキ
フィリップ エリック・クルム・Jr.
ピエール ビクトール・ムーテレ
リザ カロリーネ・ハルティヒ
ブランカ ゾーイ・シュトラウプ
歌姫 ハンナ・スレジンスカ
イリエ ニコラス・プシュゴダ
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感想
作品内では、ナチス法に抵触し死刑および「絞首刑」となった4名の模様がリアルに表現されていた。
見ていたフィリップは思わず顔を逸らしていた。