「フィリップの顔の変遷」フィリップ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
フィリップの顔の変遷
ワルシャワのゲットーで恋人サラや家族と楽しい時を過ごしていたフィリップ。その時のフィリップは若く幼さもまだある、青春真っ只中の青年の顔をしていた。陽気で明るく爽やかな顔。舞台に出る間際にサラに指輪と共にプロポーズする彼に不吉な思いを抱いたが的中してしまった。
ホテルが舞台の映画は好きだけれど、この映画のホテルでは聞きたくない歌、見たくないこと・ものが多くて辛かった。ドイツでは男性同性愛を禁じる刑法175条(1872-1994!)がナチ時代にはより厳罰化され強制収容所送りの対象でもあった。でもナチスの将校は好き勝手やっていたんだ。
フィリップはリザを本当に愛していた。リザもフィリップを心から愛していた。恋人と家族を一度に失った彼にとって、リザはホテルで共に働く同郷の親友と同じ程に大切だった。でも親友の最期を見て、フィリップは変わらざるを得なかった。戦争の時ほど自分の故郷、根っこ、自分の言葉を人間は懐かしく大切に思うんだろう。昨日見た、サイードの映画を思い出しながらいろんなことを考えた。
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ニコラスさんのコメント
2024年7月2日
コメントありがとうございます。
俯きがちに口角だけを持ち上げるフィリップの笑顔、口角の横の皺が少しづつ増えて行ったように見えました。
親友が撃たれた後のフィリップの叫びが心に響きました。愚かなことは分かっているのにいつまで経っても終わらない戦争、本当に嫌です。