「{BL}の新しいカタチ」ババンババンバンバンパイア ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)
{BL}の新しいカタチ
主演俳優の不祥事により、
てっきりお蔵入りかと思っていたら
禊も済んだようで、ここに来ての公開。
加えて〔国宝〕の大ヒットもあり、
予想だにせぬ絶好のタイミング。
怪我の功名とはこのことか。
俳優の資質の構成要素考える。
直近の〔国宝〕を見ているから余計に
そうした想いがよぎるのかもしれない。
有体に言ってしまえば、
喜劇もこなして当然との考えだが、
本作での『吉沢亮』はそれにしても弾け飛んでいる。
美少年が発する胸キュン科白へのオーバーなリアクション。
舞台が銭湯との設定もあり、
全裸のシーンも頻出(ある意味ファンサービスの意味合いだろうが)。
〔8時だョ!全員集合〕のコントのパロディも堂に入っており、
そうした演技を、ごく自然にやってのけたことには感心する。
作品そのものは{BL}の変化球と捉える。
主人公の目的が「十八歳童貞の(美少年)の血を吸うこと」なので、
交接はありえないわけだが、
じゃれ合ったりする場面を多く描くことで
「腐女子」の欲求は存分に満たす。
リミットが設定されていることが
更に感情を盛り上げる。
高級ワインの熟成を待つような期待と焦燥。
高校の三年間は、確かに波乱が予見される期間なのだから。
バンパイアのターゲット『李仁』が『板垣李光人』なのは知れており、
何故に初出が「冊少年チャンピオン」なのかは首を傾げるが
読者も鑑賞者も愛好者は随分と妄想をたくましくしたことだろう。
{ラブコメ}の王道、学校に遅刻しそうな朝に
パンを咥えて走りぶつかる、を男女逆転で描くのも、
対象が彼ならさまになる。
もっとも、設定は兎も角、作品の出来そのものは当日の入りが証明。
7月6日(日)@TOHOシネマズ川崎の昼下がりの回で
キャパ142の埋まっている席は五割ほど。
客層は広範で、中には小学生くらいの娘を連れた
お母さんも居たが。
予告編の編集は秀逸も、
本編のギャグにはさほどのキレも無く、
とりわけ繰り返す度に面白さが増殖せねばならぬのに、
却って「ああ、またか」と感じさせるのは
演出的にも失敗だろう。
中途に恋愛模様(?)を複雑にさせる思いがけぬ展開はあるにせよ、
収穫は『吉沢亮』に加えて
恋仇を演じた『原菜乃華』の可愛さくらいなのは残念。
アニメ化もされていることからも
素材は好いはずなのだが・・・・。
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