「抱きしめたくなるほど愛おしい」ババンババンバンバンパイア 奥嶋ひろまささんの映画レビュー(感想・評価)
抱きしめたくなるほど愛おしい
原作者の立場から言わせていただくと、
完璧。完璧じゃない所も含めて完璧で愛おしい。
2回試写で見させていただきましたが、
2回とも笑わせていただきました。
原作とは違った脚本ですが、キャラの理解度と空気感は
漫画そのものだと思います。
前半はギャグに振り切って後半はシリアスな部分もあり
しっかり締めてくれる。
馬鹿な漫画なのに、なんかグッとくる瞬間もありました。
見終わった後はキャラクターみんなが好きになり、
俳優さんの事ももっと好きになるんじゃないかな?
と言う愛おしい出来でとても嬉しかったです。
吉沢亮さんの森蘭丸は良い意味で遊んでいただいてるし、
偉そうにもコメディめちゃくちゃ上手だなと思いました。
シリアスな部分は流石の一言だし、もしかして森蘭丸が吉沢さんじゃなかったら作品の出来栄えも全く変わってしまうんじゃないか?と思いました。
板垣李光人さんは李仁を描く時に
まだ10代だった板垣さんを、モデルにさせていただき
板垣さんがキャスティングされ、板垣さんから全てが始まった映像化だと思っていて、
ただ、立派な青年になった板垣さんに15歳の童貞のモデルですって失礼なんじゃないかな?と思ってたのだけど
作品の中では純粋無垢な15歳そのもので、
バンパイアが惚れる説得力があって、観た方みんなが
好きになる事間違いなしです。
原菜乃華さんの葵はヒロインではあるけど、
蘭丸にとっては恋敵、嫌われたれ嫌だなと思ってたけど、
李仁に負けないピュアさで漫画の100倍可愛かったです。めちゃくちゃな男ばかりの世界で
実は一番ホッと出来る存在かもしれません。
関口メンディーさんのフランケンは出て来る度に
本筋とは全く関係ないのに
派手な登場派手なアクションで笑いました。
漫画やアニメの方が実写より派手に出来るはずなのに
実写が1番過激だった事は悔しいの一言です。
満島真之介さんの坂本梅太郎は
坂本の変態性が随所に出てて
キャラクターそのものでした。
昼間は生徒たちに好かれる先生なんだけど、
ギョロっとした目で李仁たちを見る目、
蘭丸を見る目には本性が隠しきれてなくて
ニヤニヤしてしまいます。
眞栄田郷敦さんの森長可は
ビジュアルがまずめちゃくちゃカッコ良い。
出て来た瞬間ピリッとします。
長可の存在がこの作品を締めてくれるので
長可は郷敦さんが良い!と初めに気付いた人に
お礼を申し上げたい。
コメディの世界で一人だけ
シリアスに生きて来たキャラクターとなってるので、
もう少しコメディが観たかったです。
前半は、はちゃめちゃコメディで、
これは収束するのか?と言うところで、
長可が出て来てラスト前の蘭丸との会話で、
「18歳の童貞の血を狙う」と言う馬鹿な設定を
思いついてしまった原作を
誰か(何か)を慕う事がどれだけ人生を輝かせるのか
と言うところに落ち着かせてくれて
一本筋の通ったとてもバランスの良い
作品になっております。
最後に、自分勝手自由気ままなキャラクターたち
まとめた浜崎慎二監督
ミュージカルを使う事で過去とキャラの説明を
簡潔かつ楽しく見せ、原作で言ったら6巻くらいある物語を100分にまとめた脚本の松田裕子さん
この一年気を遣わせてしまった
松竹、テレビ朝日のプロデューサー様
この映画に関わった全てのスタッフさんに
感謝申し上げます。