ぼくのお日さまのレビュー・感想・評価
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三分の二くらいで終わった印象
2024年劇場鑑賞237本目。
ジャンプでフィギュアのペアの漫画ツーオンアイスをちょうど読み終わったところだったので(だいぶため込んでる)タイムリーといえばタイムリー。この映画はそういうフィギュアを描きたかった訳ではないんですけどね。池松壮亮が好きなのでその点では良かったのですが、なかなか話が動き出さないので尺足りる?と不安になっていたら終わっちゃいました。話的にはあそこで終わっても切れてる訳じゃないんだけど、あそこで終わるとなんかなぁ。なんかみんな傷ついて終わっちゃったなという印象でした。それがいいという意見もわかるんですけどね。
切ない恋の物語
映像がとにかく美しく、個人的には岩井俊二の作品を連想した。
本作はスケートリンクの場面が多いのだが、窓から射しこむ温かみを感じる”光”の演出は印象深い。岩井俊二もこうしたリリシズム溢れる映像を得意としているが、それを思わせる透明感溢れる映像は素晴らしいの一言だ。
中盤で荒川、タクヤ、さくらが凍った湖で一緒にはしゃぐシーンも、やはり明るい陽光が3人を包み多幸感溢れる名シーンとなっている。まるでMVでも観ているかのようなスタイリッシュさに魅了された。
更に、終盤でさくらがアイスダンスをするシーンには、岩井監督の「花とアリス」の蒼井優のバレエシーンを連想した。可憐な美少女の輝きが、これでもかと言わんばかりに主張されていて印象的である。
このように、美しい映像の数々は本作最大の美点ではないだろうか。作品世界を一層魅力的な物にしている。
一方、物語は基本的にタクヤとさくらの純愛ドラマで展開されていく。タクヤは吃音症で上手く思いを口にすることが出来ず、さくらを遠くから見つめることしかできなかった。そんな彼が一緒にフィギュアスケートをすることで彼女との距離を近づけていく。何とも可愛らしい初恋のドラマである。
ただ、終盤にかけて荒川のプライベートが絡んできて物語は徐々にシビアな展開へと突入していく。
彼が持っていた携帯電話がガラケーだったことから、時代設定は現代よりも20年くらい前と想像する。本ドラマのミソは正にこの時代設定ではないかと思う。
今でこそ彼が抱える問題は、社会的に見れば広く一般に認知される所となったが、当時はまだ彼のような人間は偏見の対象に晒されていた。そのせいで荒川は悲しい結末を迎えることになるが、これはそういう時代だった…としか言いようがない。正に絶妙な時代設定のように思う。
一方、タクヤとさくらの初恋については、かすかな希望を予感させるような終わり方になっていて救われた。
本作はエンドロールも秀逸である。主題歌は本作のタイトルと同名の曲で、物語と歌詞の内容が完全にフィットしているのが好印象である。歌詞を聴きながら静かな余韻に浸ることが出来た。
監督、脚本は自主製作した「僕はイエス様が嫌い」でデビューした奥山大史。前作同様、今回も撮影と編集を自ら兼務しており、透明感溢れる映像には独特の感性が感じられる。また、スケートシーンにおける流麗なカメラワークも中々のものである。
説明的なセリフを排した繊細な演出も、更に磨きがかかっているように感じられた。特に、荒川が秘めたる心情を吐露する終盤のシーンが味わい深い。タクヤにスケートを教えた理由がここではっきりと判明するのだが、きっとそこには過去の自分自身の叶わぬ思いが投影されていたのだろう。
また、グローブやカレンダーといった小道具の使い方も中々に上手いと思った。
逆に、本作で唯一心残りだったのは、さくらの心情が今一つ掴みきれなかったことである。
彼女はシングルプレイヤーを目指していたのだが、荒川の勧めで強引にタクヤとペアを組まされてしまう。タクヤはスケートを始めたばかりの初心者で、自分とは明らかにレベルが違う。当然最初は乗り気でなかったのだが、その不満や葛藤については本作では拍子抜けするほどスルーされてしまっている。いつの間にか練習中に笑みを見せるようになっており、これには違和感を覚えた。
物語は基本的にタクヤの視座で進行し、途中から荒川のドラマが入ってくるという構成になっている。したがって、敢えてさくらを第三者的位置にとどめたのかもしれない。しかし、ここでの彼女の迷いや葛藤が描かれていれば、ドラマは一層濃密なものにすることが出来ただろうと惜しまれる。
キャスト陣では、さくらを演じた中西希亜良の佇まいが印象に残った。幼い頃からフィギュアスケートを習っているということなのでスケートシーンは堂に入っている。ビジュアル的にもいわゆる正統派な美少女タイプで今後の活躍が楽しみである。
こうゆう映画を年に3回は見たい
エンドロール最高!
映像表現が心地よい
清々しいほどシンプルでピュア
記憶に残る良作
どれがお日さま?
吃音は必要条件だったのか?
先ずは映像の縦横比
アスペクト比も画質もアナログ放送時のブラウン管TV
これで何十年かは時代を遡る
池松のスケート本物っぽい 経験者なのだろうか
タクヤが一心に見惚れていたのはさくらだったのか、フィギュアだったのか、双方だったのか判然とはしない
思春期とはそんなものかも
ドビュッシー「月の光」...偶然、昨年から aoが日本語歌詞を当てている「月のひかり」にずっと浸かっていたのでシミジミし続けていた
Days of Heaven…特に凍った湖でのシーン 他人の幸福そうな様子を眺めていて それだけでじわじわ涙が滲み続けていた これだけで鑑賞料金以上に値いする不思議な体験だった
逆にモヤモヤするのは
さくらにはコーチ荒川を慕う気持ちがある だけど荒川と親しさを増すタクヤに嫉妬する様子はない なのに
偶然見かけた荒川の男色を確信的に疑い一方的に断罪して背を向けた(確認不十分)
仄かな恋心を踏み躙られ?怒りに任せ、スノッブな母親にぶちまけて
そして3人の良好に思われた関係をさくらの一存で壊してしまった
そのことを彼女自身が生涯後悔しそうもないという終わり方
荒川もご当地からもパートナーからもあっさりフェードアウトしてゆくのみ
フィギュアを離れていたタクヤはコーチから貰ったフィギュア靴を傍らに、さくらと出くわす
二人はペアを再開するかも、って?
当時だったらあり得る成り行きなのか?
とてもモヤモヤする
エンディングクレジットにテーマ曲の歌詞もアイスダンス軌道で文字化されており タクヤが吃っていたことを改めて!思い返した
タクヤの吃音に対する劣等感?はさほど深刻には見えなかった
果たしてこのエピソード(吃音)はこの物語の必要条件だったのだろうか? 取って付けた感が否めない
『竜とそばかすの姫』に於ける美女と野獣リスペクトのように、あらかじめテーマ曲ありきで、こじつけられてしまったのでは
まいりました
美しく、温かく、ほろ苦く
あたたかな時間
タクヤと先生とのやり取りが常に微笑ましく、それを見守るようなサクラが凛々しく、全ての場面の情景があたたかく美しく、登場人物に羨ましさを感じながら鑑賞しました。
そして、人を成長させるのは、「誰かのために」という動機なんだなと3人の姿が実感させてくれました。3人がお日さまのもとで過ごす景色では、気付くと涙ぐんでいる自分がいました。
そんな終盤までのあたたかさは、ある一瞬の、ごく一部の景色が引き起こした、思い過ごしとも取れるサクラの感情をきっかけに一変します。そこには誰の心にも悪意のようなものは存在しなかったはずですが。
人と人とのつながりは、池にはられた氷のように実に脆いものなのだと、季節のように淡々と移ろっていくものなのだと、だから一瞬一瞬を大切にしないといけないのだと優しく教えられた気がしました。あの雪が溶けるまでの数か月を3人も大切に思い返すんでしょう。
切ない展開ではありましたが、終始あったかい気持で鑑賞しました。締めくくりでは、いつかきっとサクラも、先生の指導やあの数か月が自分にとって糧になっているのだと、先生は自分にとっても「お日さま」のような存在だったのだと気付いてくれると期待させてもらいました。
言葉では伝わらない気持ちが観てる側にジーンと伝わってくる
切なくも美しい
癒やされる。
主題歌は良かった
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