劇場公開日 2024年6月21日

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「サイコホラーの新たな幕開けになるか!?」ザ・ウォッチャーズ sumichiyoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0サイコホラーの新たな幕開けになるか!?

2024年6月29日
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鑑賞方法:映画館

怖い

単純

難しい

M・ナイト・シャマラン監督の娘であるイシャナ監督の長編処女作。シャマラーとして興味本位で鑑賞しました。

本作はイシャナ監督の初長編ということもあってか、ホラーの基礎を意識したプロットで理解しやすかった。逆に、ホラーともサイコともミステリーともヒューマンドラマとも言えない難解な物語は親譲り。当然、違う点も感じました。

まず、嵐の前の起。アートで生計を立てる平凡な女性のミナ。心に負った傷のせいか見知らぬ森に心惹かれてしまう。ミナは何事も取り乱さず対処できる精神力の持ちながらもどこか繊細だった。ミナ演じるダコタ・ファニングさんのイメージなのか。或いは、これが恐怖に直面した女性の姿なのか、とても自然体な演技でした。まあ、パニックになったら真っ先に消されるか。

次に、サイコの承。その森で待ち受ける恐怖。理解不能な事を強要される理不尽は『ノック』ほどでないにしろ惹き込まれました。森に捕われた人の数も意思決定を遮ったり、分断する要因に。順調だったり、反抗的だったり、登場人物観察も面白い。

さらに、ミステリーの転。本作の恐怖にもしっかりとした具体性があり、その謎解きも惹き込まれました。逆に、謎を解くほど新たな想像で恐怖が増す感覚もいつもながら。ただ、既視感があっても心身が身震いするようなシーンもありました。

そして、結。サインやスピリットなど力技だったシャマラン監督と違い、より女性的観点の結末だった気がします。これがミナが望んだ結末なのか。

イシャナ監督の今後の作品が楽しみです。シャマラン監督のあの恐ろしいほど独特な感性に新たな感性が加わわるとどうなるのか。ネタ切れ気味のホラー界で、お二人には未知なるサイコでホラーでドラマな作品を追求して欲しいですね。

澄千代