蛇の道のレビュー・感想・評価
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敢えて予習しない
黒沢清監督、豊富なキャリアで信頼度が高く、私も観られる作品は必ず観るようにしています。本作『蛇(へび)の道』はセルフリメイクということで、昨晩にU-NEXTで98年版を観直しての参戦です。土曜の新宿ピカデリー10時半からの回は流石になかなかの客入りでした。
黒沢監督作品と言えば、直線的な怖さではなく、得体の知れないものに対する薄気味悪さと、常に何かが起こりそうな不穏さがあり、またそれに一役買う役者の演技が味わい深い仕上がりの作品が多い印象です。ただ一方で、説明的なシーンや台詞は殆どなく極力そぎ落とされた表現が多いため、難解と感じたり面白さに気づきにくいこともあり、観終わった後は正直なろこと戸惑いを感じることも少なからずあります。
そして、本作はセルフリメイクということもあり「見比べ」という要素も合わさったこともあって、シンプルに楽しめていたかは疑問と断りつつも、個人的にはハマりきれませんでした。特に、98年版における癖の強いキャラクターたちがパワーダウンしていたり、また98年版ファンならみんな大好きの「あるキャラクター」がオミットされてしまっていたりはかなり残念。また、アクションに関してもやはり女性の新島(柴咲コウ)だと対する男達との体格差が大きすぎて観ていてついつい心配してしまいつつ、逆にアナベール(ダミアン・ボナール)に対しては不自然すぎる射撃能力の高さに思わず集中力を削がれてボーっとします。
とは言え、98年版における高橋洋さんの脚本の面白さもあり、改変された本作も決してつまらないわけではないですし、最後のシーンはその改変された設定に対して納得度の高い終わり方になっていたりは流石な仕事で、充分に楽しめると思います。もし、これからご覧になる方でまだ98年版を未見の方は「敢えて予習しない」方が素直に楽しめるのではないかと思います。
また、本作で一番の話題である柴咲さんのフランス語による演技。残念ながら私にそれが上手なのかどうかは解る由もありませんが、物凄い努力をされたことは伝わります。敬服です。
送り襟締め
ヤバかっこいい柴咲コウ
柴咲コウのニコリともしない静かなる怒りの演技が秀逸
冒頭のアルベールと小夜子(柴咲コウ)の行動が謎すぎて
グイグイと物語に引き込まれました。
まあ、とにかくこの二人のやっていることが
えげつないし容赦ないし人を人とも思わない扱いをするのがすごい。
とにかく拉致監禁しまくるんですよね。もう異常としか言いようがないわけです。
このあたり、トイレに行きたい!といったコミカルな演出もあるのですが
リアルに想像すると、、、想像を絶するキツさです(笑)
拉致監禁しながら、どんどん明かされていく謎。
最終的には、だいたい私の想像通りのラストだったので
意外性はなく、そこは残念だったのですが
なかなかテンポも良くて面白く観ることができました。
本作はもう柴咲コウの全く笑わない演技と
流暢なフランス語にやられてしまう作品だ!と言い切って良いと思います。
西島秀俊と青木崇高も出演していますが、驚くほどチョイ役でした。
なんて贅沢なんだろうと思いましたね(笑)
血の気のひくラストではありましたが、
こんな演技をする柴咲コウを堪能できて幸せでした。
悪くないけど、 ま、こんな感じなのかなってところ 画的にきれいだし...
悪くないけど、
ま、こんな感じなのかなってところ
画的にきれいだし、
全体通しての雰囲気とかも独特で良かった
柴咲コウにフランス語は合いますね
声質なのかな?
もっと感情豊かな役だったら、
フランス語でもちゃんと豊かに表現できるのかとか、
その辺見てみたい
テンポも悪いし困ったなぁ
頭の鈍い私でも分かるんですよ。
そこらあたりのことは、いずれストーリーが展開していく中で、ちゃんと種明かししますから、しばらくはこの世界観を楽しんでくださいね。
ということだと思うのですが、肝心の繋ぎ方がまったりというか、まどろっこしいというか、そこはそうじゃないんじゃないの?と言いたくなるような感じなのです。
例えて言えば、4月に入社したばかりの新人さんが、教えられたばかりのルーティン事務を、どうしてそういう手順になっているのかを理解していないまま、ただこなしているので、単純作業のはずなのに手取り足取りで教えたくなる、そんな苛立ちを覚えます。
で、結局それがなんらかの効果を狙っていたのかと思ったらそんな風にもなっておらず、種明かし後も、ほらね、やっぱりちゃんと教えてあげなきゃ新人さんにはちょっとキツイ仕事だったよね、という感じの出来上がり。
説明的な部分について、敢えて不親切な脚本の映画はたくさんあるけれど(最近では『ありふれた教室』なんかも該当すると思います)、それは映画を見る人たちが自分の頭であれこれと考えてくれることへの信頼感があるから。
この映画は、脚本の言葉足らずな(不親切な)部分も我々鑑賞者がかなりの部分、普通の想像力で補うことができるのだが、えっ本当にそれだけなの?という感じで、もしかしたらこういうことなのかもと思索が深まることがないから、なんだか面白くないのです。
うーん、困ったな。
なぜ‼️❓フランスでリメイク‼️❓
オリジナル版とはまったく違う映画
フランスで撮ったリメイク版は、Vシネのオリジナル版とほぼ同じショットを多数使いながらも、まったく違う映画に仕上がった。
オリジナル版は、娘を暴行され惨殺された香川照之の激情を軸に、謎の男(哀川翔)が絡む構成だが、今作は終始柴咲コウの復讐の「蛇のまなざし」がムードを支配する構成。柴咲コウの男たちに対する恨みは、中盤から直接的に説明されている。
オリジナル版にあった黒沢清特有の訳の分からない怖さや、Vシネ的な即物的バイオレンス、キッチュさなどはあらかた消え去ってしまったが、万人受けする明快さを得て良質のサスペンスドラマになっている。
日本人キャストは素晴らしかったが、フランス人キャストは黒沢監督の演出が行き届いてなかったように思う。西島秀俊の知り合いの女性、ゲランと猟銃を持った男性などは、TVの再現ドラマに出てくる外国人なみの安っぽい演技で映画のムードをぶち壊していた。
柴咲コウは素晴らしかったが、あらためて哀川翔の凄さも感じた。ママチャリにまたがる姿、溶接をする姿(プロにしか見えない)、ゴルフ場の芝の緑の上死体袋を滑るように軽々と引いていく姿は網膜に焼きついて離れない。柴咲コウの溶接はかなりのへっぴり腰で、ちょっと笑ってしまった。
どっちが好きかというと、圧倒的にオリジナル版。
蛇の目
一般指定でよいのか疑問は残るけれども
今年215本目(合計1,307本目/今月(2024年6月度)15本目)。
(前の作品 「ディア・ファミリー」→この作品「蛇の道」→次の作品「」)
この映画、このような評価サイトでは言及がありますが、日本映画のリメイク版でフランス映画です(一部日本人や、日本語も出てくるがごく少数)。なのでフランス映画あるあるの、あの形容しがたいCANAL+の表記も健在です。
個人的にはこの映画、一般指定でいいのかな(公式サイトがない?)といったところです。R15とは言わないにせよPG12はつきそうな気がするんですが…(いくつかの残酷な表現一般につき)。
私はオリジナル版(日本語版)を見ていないので比較は難しいですが、本作だけで見ても理解はしやすい(扱っている内容が、実際に国際上問題になっている「あること」を扱っていることなど)といったところです。
上記のような事情でフランス語を話す日本人の方も何名か出ますが、日本からすると学習難易度が高いとされるフランス語(発音をクリアにしないと通じない。子音を原則発音しないので、発音が正しくないと動詞の活用、ひいて時制が不明になるため)がまぁそこそこきれいで(大学の第二外国語はフランス語でした)そこは良かったかなといったところです。
途中から裏切ったり裏切られたりといったストーリーに飛びますが、そこはネタバレといったところでしょう。パンフには詳しく載っているとのことですが、パンフは購入しませんでした。
採点上、「一般指定でよいか疑問は残る」点はあるものの、一つ違いは0.2固定幅でそれを指摘しても4.5になりませんので、書いてはおきますがフルスコアにしています。
ただやはり若干残酷な表現があるので、「少し考えて」といったところでしょうか(まぁ、今週も先週に引き続いてぼざろ等が入ってくるでしょうから、この映画を積極的に子供が選ぶことは少ない?)。
柴咲コウ、凄い
8歳の愛娘を何者かに惨殺された父親アルベール・バシュレは、偶然知り合った精神科医・新島小夜子の助けを借り、犯人を探し復讐を果たそうとしていた。やがて2人はとある財団の関係者たちを拉致し、鎖で繋ぎ、脅迫し、自白させ、次第に真相が明らかになっていき・・・さてどうなる、という話。
娘の復讐はわかるが、確証も無く関係者を拉致して真犯人を探し出そうというアルベールの単細胞な行動には呆れたし、精神科医の小夜子が何であそこまでアルベールの復讐に協力するのか、観ててずっと不思議だったのだが、ラストで納得した。
単純なようでなかなか奥深かった。
上手いのかそうでも無いのかほとんどわからないが、柴咲コウがフランス語で熱演していたのは素晴らしいと思った。フランス語でのRは日本語には無い発音で凄く難しく、何度も練習してやっとフランス人にOKをもらった経験が有りますが、彼女のは悪くないと思った。
観終わって、ストーリーを理解して、柴咲コウ凄い、もう一度最初から観てみたい、と思った作品でした。
柴咲コウの正しい使い方
柴咲コウの立ち姿が素晴らしい。
喜怒哀楽をはっきりと示す役柄が多いなか、今作ではほぼ無表情で何を考えているか分からないミステリアスな雰囲気。時折爆発させる殺意や聖母のような慈しむ表情とのギャップも良い。
小柄で華奢な彼女が大柄な男性陣の中で圧倒的存在感を放ち全てを支配している。
柴咲コウの手のひらで転がされる疑似体験ができる映画。
柴咲コウはミステリアスなヒロインを好演しているのだが…オリジナルか...
柴咲コウはミステリアスなヒロインを好演しているのだが…オリジナルから4半世紀後、フランスロケまでしてリメイクした意義がいまいち分からない。画面がリッチになった分、リアリティの欠如が目立つ。黒沢清が撮る「この世のものならぬ」風景は大好きなのだが(前作「スパイの妻」も歴史ものだっただけに顕著だった)、取りたい絵図を優先するあまり、最低限のもっともらしさを放棄していては集中力も削がれるというもの。人の入った寝袋引きずって草原を走って逃げるのに、追手のライフルが当たらない!臓器売買する組織がそんなずさんに死体を放り出してて商売成り立つの?臓器摘出する場面をわざわざ撮影する意味(当然麻酔しているのだろうし)は?なんだあのテキトーなホルマリン標本!?コンプラ関連かもしれないが、児童ポルノ&スナッフビデオ流通組織だったのが、児童売買&臓器売買に設定変更されたのに大筋がそのままなのは、脚本に幾つも齟齬が発生していて手抜きすぎる。一方でもたもたした拷問や拉致のシーンはほぼ前作のままで、新しい趣向は見られない。ただ、こういった細かい粗が気になるのは、一番好きだったシーン、道路いっぱいに描かれた「数式」が宇宙的秩序の崩壊さえ予感させるあのシーンが削除されているせいかもしれない。ただの復讐譚以上の底知れぬ何かが垣間見える、ハッタリにしても素晴らしいシーンだったものを…。
この監督はたまにイレギュラー(たまにじゃねーか)するイメージが強い
クネクネ紆余曲折しながら37564
気づいたら終わってた
原作は未読、未鑑賞です。
どんどん複雑な話になってくるのかと思っていたのですが、思ったよりあっさりと終わりました。
雑なところが多いですが、おそらく意図的なものでしょう。ことわざや神話を連想させる蛇の道という題名は秀逸だと思いました。
原作から改変されているらしいので何か関係があると思いきやあまり重要じゃなかったです。特に娘の殺害された理由が性的暴行から臓器売買に変更されているらしいですが日本人としては臓器売買に馴染みがないので怖さが伝わりづらくなっているような気がします。色々配慮する必要があるのかと思いますが元のままのほうが怖かった気がします。
おすすめできる人はイマイチ分かりませんが原作ファンでしょうか。面白いけどわざわざ見るほどでもないといったところでした。
皆さん採点が高くてビックリ!
黒沢清監督
もちろん蛇の道はオリジナル版も好きですが、今作はオリジナル蛇の道のサスペンス版というような感じで狂気やホラー要素は薄めです。
撮られた時代(90年代)もあると思います。
昔の黒沢監督なら男性を女性に置き換える話はなかなか映画にしようとはしなかったと思いますが、過去他の映画で夫婦を素材として映像化しているからこそ、この作品が違和感なく、むしろ当時より丁寧に描きながらも、新しい展開も納得させるものになっていました。
しかし変わらない部分もたくさんあって、相変わらずの車のシーンやルンバのような無機質な機械音と動きで隠喩したり、もはや隠喩でもないと思えるぐらいですが。
オリジナルと比類する面白さではないでしょうか。
言葉、時差、人種、国を変えた価値があった。
何が変化するか掬い取れない人はフランスで撮った意味がないともいいかねない。
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