劇場公開日 2024年6月14日

「柴咲コウの演技が圧巻!」蛇の道 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0柴咲コウの演技が圧巻!

2024年6月16日
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鑑賞方法:映画館

怖い

予告を目にしなかったので事前情報を持たず、サスペンスものということで興味をもって鑑賞してきました。率直な感想としては、確かにサスペンスとしてのおもしろさは感じますが、スッキリしないものも残り、ちょっと微妙な印象です。

ストーリーは、フランスで精神科医として働く新島小夜子が、幼い娘を惨殺された父親アルベール・バシュレと偶然知り合い、彼の復讐に手を貸し、疑いのある男を次々と拉致して尋問しながら、しだいに真相に迫っていくというもの。事件の真相解明もさることながら、その過程で小夜子の背景が明らかになっていくという点が見どころとなっています。

全体的に拉致と尋問を繰り返す流れなので、重苦しい絵面が続きます。そこでの小夜子の言動も常に冷めたもので、彼女の真意をつかみかねます。そんなローテンションぶりがずっと続き、なかなかテンポが上がりません。しかし、アルベールが近くにいなときの小夜子の言動、精神科医として診察する姿、自宅での様子から、彼女への不信感が募ります。娘の復讐を果たそうとする男に協力していると見せかけて、実は彼を操っているのではという疑問が湧いてきます。このあたりからしだいに惹きつけられ、おもしろくなってきます。

ただ、ちょっと無理筋が過ぎるというかご都合主義な点が多いのは気になります。まずは3人の男の拉致。白昼堂々と犯行に及んだり、野ウサギを仕留める腕前の男からの銃撃をかわしたり、人の出入りの多そうな場所で派手に格闘したりと、全て成功したのは奇跡としか思えません。また、しだいに真相が明らかになるものの、結局小夜子は初めから全部わかっていたのではないかと思えるほどの落ち着きぶり。だったら、こんな回りくどいことをする必要があったのでしょうか。真相を知っていたのなら、一人ずつ抹殺すればいいし、それなら単独で実行すればよかったのではないかと思えてきます。そんな感じで、真相がわかってもなんだかモヤるのは残念です。せっかくの全編フランスロケなのに、その魅力を伝える描写が少ないのももったいないです。

とはいえ、リベンジが終わってないことを匂わせるラストは悪くないです。きっと日本にいる夫も殺されるのでしょうね。小夜子の診察を受けていた吉村がそうであったように、自身の手で終わらせない限り、苦しみから逃れる術はないのかもしれません。

主演は柴咲コウさんで、笑顔を一切封印し、全編フランス語でヤバい女を演じているのが圧巻です。脇を固めるのは、ダミアン・ボナール、マチュー・アマルリック、西島秀俊さん、青木崇高さんら。

おじゃる
トミーさんのコメント
2024年6月17日

共感&コメントありがとうございます。
元々、不穏と来たら・・どす黒い雰囲気の黒沢監督作品ですしね。柴咲コウさん起用も大分和らげ効果が有ったと思いました。

トミー
トミーさんのコメント
2024年6月16日

ホルマリン漬けもそうでしたが、2羽のウサギを分けてぶら下げてるのも何か嫌げでした。

トミー