「焼けた街に残ったのは、少しの優しさだけ」ロードハウス 孤独の街 としちゃん(≧∇≦)さんの映画レビュー(感想・評価)
焼けた街に残ったのは、少しの優しさだけ
最初から空気が独特だった。
主人公のダルトンは、ただの用心棒とか元格闘家って感じじゃなくて、どこか壊れたような静けさをまとってる。
でも不思議と、人に対しての優しさがあるんだよね。
殴り合いの最中でさえ、相手に対してどこか同情してるような目をしていて、
「暴力」より「理解」みたいなものが見える。そこが他のアクション映画と違うなって思った。
フランキーに誘われて、フロリダの小さなバー「ロードハウス」の用心棒になるところから物語は動き出す。
海辺の小さな町で、陽気そうに見えてどこか寂しい空気。
その中で、ダルトンが少しずつ“守る場所”を見つけていくようにも感じた。
でも平穏は長く続かない。
バーを潰そうとするマフィアの息子ベン、そしてその手下たち。
中盤でチャーリーの店が炎に包まれるシーンは、静かにショックだった。
“この町の希望が燃えていく”っていう感じで、胸の奥がずんと重くなる。
そして、狂犬のようなノックスの登場。
彼、ほんとに人間か?ってくらいタフ。
殴られても倒れず、笑いながら向かってくるあの感じ、ちょっと恐怖すら覚える。
後で知って驚いたけど、演じてるのが本物のUFCファイター、コナー・マクレガーなんだよね。
どうりで動きがリアルすぎるわけだ。
終盤、ダルトンとノックスのぶつかり合いは、ただのアクションじゃなくて、
“生き方”そのものの衝突みたいに見えた。
暴力の中に生きてきた二人の、誇りと孤独のぶつかり合い。
そして物語のラスト。
焼け落ちた店の跡地に、何も言わずにお金を置いて去っていくダルトン。
スティーヴンがそれを見つけて驚く姿が、なんだか救いになった。
言葉じゃなく、行動で優しさを残す。そういう生き方、かっこいいなと思った。
そしてエンディング。
ノックスは死んだと思ってたのに、まさかの“生きてた”。
病院から「冗談じゃない!」と叫びながらドアを開けて出ていく。
看護師たちが「誰か止めて!」って叫ぶ中、本人はお構いなし。
しかもなぜかまた裸同然で(笑)──患者服の下はスカスカ、アメリカ映画らしいユーモアというか、思わず笑ってしまった。
最初の登場シーンも裸だったけど、どうやら彼は“裸で暴れる”のが好きらしい。
あのカオスな余韻が、この映画らしい締めくくりだった。
