「二人の夫は最低!と思ったが・・・」Shirley シャーリイ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
二人の夫は最低!と思ったが・・・
「この世界は女の子には残酷すぎる」ことを身を持って教えてくれるシャーリーの夫スタンリー、なんなんだー!と最初思った。シャーリーにベッドから出ろ、書け書けと言ったかと思うと、君は疲れているから休めと言う。妻は炊事洗濯一切できないのでしばらく家事を担当してくれとローズに頼む。シャーリーは作家、夫スタンリーは大学教授で共に働いているんだから、妻が弱っていたら夫が家事をしろよと思った。可哀想なローズ。本当は大学で勉強を続けたかったのにフレッドと駆け落ち結婚して中途半端になってしまった。そして家政婦だ。パーティー好きでハイテンションのスタンリーが好きになれなかった。
最後、苦しんでやっと生んだ長編小説を夫に読んでもらい素晴らしいと言われた時のシャーリーの嬉しそうな顔!音楽をかけてダンスまでする。夫の浮気も織り込み済みのようで、二人は共犯関係にあるんだろうと思った。スランプに苦しむ妻の創作のためにローズが必要だと夫は判断したのかもしれない。小説を書き上げたから愛しい可愛いローズはもう不要。でもローズはシャーリーから、成長して目覚めるという大きなプレゼントをもらった。
当時の女子大生の衣装、カーディガンにスカートが色とりどりで可愛くてきれいだった。男ばかりの教授陣からしたらお花畑に居るようなものだろう。そして大学の男達はポストや論文や講義の人気度に関して互いに熾烈な嫉妬をメラメラと燃やす。
映像と音響(雨、タイプライター、小鳥、いろんな音楽)が新鮮で不穏でとても効果的だった。目玉焼や鶏肉塊の大アップから始まるキッチン作業、ローズとシャーリーの茸食べごっこや庭のブランコや夕食の際のテーブル下ではいちゃつきfootsie。そして赤ちゃん(性別不明)抱いて二人で崖っぷち。現実と夢と想像と妄想が重なってぶれて不思議な世界が作り上げられていた。