劇場公開日 2024年7月19日

「猫らしからぬあんずちゃんが友情の可能性を広げる」化け猫あんずちゃん 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5猫らしからぬあんずちゃんが友情の可能性を広げる

2024年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

ある夏の日、父親の実家に置いてけぼりを食らった少女、かりんが、猫なのに人間の服を着て、原付バイクに跨り、妙な捨て台詞を吐くのが得意なあんずちゃんに出会う。永遠に寄り添えそうにもない少女とあんずちゃんの関係性に、果てして、変化は起きるのか?

このジブリ的世界をユーモアと脱力感で塗り替えたような世界は、猫を演じる森山未來等、演者の動きや表情を抽出してアニメ化する"ロトスコープ"という手法によるものだとか。その効果を巧く説明はできない。ただ、現れる度に猫らしくない言葉や動きでかりんはもちろん、我々観客も幻惑していく森山未來の魅力が、未知の世界へと引っ張っていく。そして、ラストに用意された感涙の瞬間へと。

らしくない動物ほど面白いものはないという発想の下、友情の可能性を大きく広げたあんずちゃん。見終わった今も、あの不貞腐れた物腰が後を引いている。

清藤秀人