「またたび」化け猫あんずちゃん ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
またたび
パチンコを打ってた化け猫のあんずちゃんの予告に惹かれて鑑賞。
めっちゃ素敵だった〜!夏休みに観る映画ってこんな感じだったな〜と小学生の頃を思い出すような懐かしさがあって最初から最後までまったり観れました。
祖父の元に預けられたかりんちゃんと、なぜか二足歩行の人間サイズの猫のあんずちゃんとの不思議な生活をじっくりと眺めることができます。
あんずちゃんの登場シーンがババーンって感じではなくて、バイクでゆったり登場するところからがっしり心掴まれました。
この手のキャラをヌルッと画面に入れて、そのまま何事もなかったかのようにどこかへ行ってしまう行方の知れなさが良かったです。
中身が完全にダメ人間なのもあって、無免許運転はするわ、あんずちゃんの稼ぎを増えせばいいやって感覚でパチンコにぶち込むわ、怒りのあまり障子を槍でぶち抜くわで、時々猫の部分が垣間見えていたのも良かったです。
人間サイズのフォルムで毛繕いしたりするところとかもキュートとはまた違った可愛さがありました。
かりんちゃんが非常に良いキャラをしていて、外面はとっても良いのに、悪巧みはするし、舌打ちは高頻度でするし、悪態はつきまくるしで、中々に尖った小学5年生で面白かったです。
直近での悪ガキムーヴをかましていた「トラペジウム」の東ゆうと似た部分があったのも面白くて、東ゆうは夢への渇望ゆえにどん底に落ちていくタイプでしたが、かりんちゃんは表情に出すのを隠してはいなかったので、周りに易々とバレるのも年相応だなぁと少し微笑ましくなりました。
お母さんが大好きだからこその行動力だったり、あんずちゃんと分かり合っていく様子だったり、友達のような関係性を築いて成長していくのが観れてとても好き〜ってなりました。
終盤の地獄へと向かうところで冒険ものの色味が強くなり、トイレから地獄へ向かうという印象的なシーンでかりんちゃんが躊躇なくトイレに飛び込んで行ったのは笑いました。
ポップな地獄かと思いきや、しっかりと人は痛めつけられているし、鬼たちが地上に上がってきてからの暴れっぷりはマイルドな作風から一転してあんずちゃんはじめ容赦なくボコボコにされていく様子はゾッとしました。可愛らしいタッチとのギャップが中々に強烈でした。
お母さんの選択のその後が描かれないのは怖いものがありますが、身を挺して守ってくれたお母さんの分までめいいっぱい生きようと成長したかりんちゃんのラストシーンも淡い余韻が残ってとても良かったです。
もっと深く描いてほしいなと思うところはちょくちょくありましたが、尺的にはこの収まり方が良かったのかも知れません。
アニメーションのタッチがフランスとの合作という事もあって、色合いが淡い感じなのがとても素敵でした。
シンエイ動画らしくよく動き回るのも良くて、各キャラクターの一度見たら忘れられない顔や形もとても良かったです。
シンエイ動画という事もあって、動きの多いところはクレヨンしんちゃん味を感じました。
本職の声優陣はほぼおらずで俳優陣が多く起用されていましたが、森山未來さんのあんずちゃんはめちゃくちゃハマっていて、ニャッハー!と高らかに笑うところがツボです。
かりんちゃん役の五藤希愛さんもこれまた良くて、可愛らしさのある声から繰り出されるわるーい感情がとてもクセになりました。
青木さんの渋いお父さんの声も好きでしたし、市川さんの優しいお母さんの声も好きでした。
えらい聞き馴染みのある関西弁の閻魔だなぁと思ったら宇野さんだったのも面白かったです。
トドメにまんまる鳥の声が大谷育江さんで贅沢ぅ〜ってなりました。
夏真っ盛り、お日様テッカテカな日には映画館に行って今作で涼みましょう。
しっかしチャーハンうまそうだったなぁ…。
鑑賞日 7/21
鑑賞時間 11:30〜13:15
座席 D-14