雪の花 ともに在りてのレビュー・感想・評価
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気持ちの良い理想的な日本人像が描かれた秀作でした
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが遅くなりました、スミマセン‥)
今作の映画『雪の花 ともに在りて』を大変面白く観ました。
ここには、かつてあった理想的な美しい日本人像が描かれていると思われました。
主人公・笠原良策(松坂桃李さん)は江戸時代の末期に、痘瘡(天然痘)の治療のために奔走し、ついに予防的な種痘(予防接種)に出会います。
現在のワクチンにつながる種痘の普及に、困難を超えて尽力した主人公・笠原良策は、日本の一般人々を感染症から守った始祖とも言えると思われました。
今作は、もちろん主人公・笠原良策に対決する悪人的な人物も出て来るのですが、すぐさま主人公・笠原良策に打ち負かされ、藩に成敗されたりと、全体に流れる基調としては、静謐で凛とした、かつてあった美しい日本人の理想の姿が描かれていたと思われます。
それは、対峙するのは、悪事を働く人間ではなく、病気を含めた大きな自然的なものだとの考えが、今作の根底に流れているのも理由と思われました。
もちろん、現実は人間の酷さが問題になる場合が多いのですが、人間の酷さを描いた作品が数多ある中で、かえって今作の映画『雪の花 ともに在りて』は、特異な作品として現在に光っていると思われました。
それぞれの俳優陣の皆さんの演技も、美しい日本の風景の中で、作品にリアリティの厚みを加えていたと僭越思われました。
かつては数多くの作品の中に宿っていたとも思われる、美しくも理想的な日本人像に懐かしさも感じながら、今作を大変面白く観ました。
(※今作の撮影監督の上田正治さんが今年の初めに亡くなられている事を知りました。
上田正治 撮影監督は黒澤組の生き残りの一人で、これまでも数多くの美しい撮影をして来られたと思われます。
今作の雄大で美しい日本の風景の映像も、上田 撮影監督の力も加わっていると思われました。
改めてご冥福をお祈り致します。)
シーンの切り替えが
江戸時代に実在した町医者のお話なんだけど物語を進める上で切り替わりが雑に感じられた。
繋がりを強調する部分であるはずの峠越えの部分において主人公と2組の夫婦の関係性が薄く感じられた。もう少しその点を厚く描いて欲しかったし、吹雪シーンの描写も工夫が欲しかった。
爽やかな言葉が終わらせた物語
◉骨格は悪くなかったけれど
作品は慎ましやかで強く、清らかで大らかだったと思います。こちらまで背筋が伸びて、主人公の視線を追ってしまう。
しかし、市井の医者が担った江戸の医療革命をテーマにした作品に対して、生の気持ちとしては、遂に入っていけなかった。芳根京子の別嬪ぶりと男前ぶりが際立ったのみ。
◉ドキドキはなかった
旅路の途上で子供から子供に牛痘をうつし、100%拒絶以外有り得なかった牛痘を人々に受容させると言う、極めてドラマチックな展開であったと思います。
私利私欲には目もくれず、人々のために奔走し、しかも一つも奢らない姿を見せてくれた笠原良策と妻千穂。でも遥かなるハードルを越えられずに、途中幾度も赤裸々な姿も晒したはず…と思ってしまった。
◉結果を振りかざして
理不尽に打ちひしがれて泣き喚いたら、それが真実などと言うつもりはない。ところが夫も妻も故事成句を、幾度も爽やかに呟いた。
そのような言葉は的確であるし、心中の支えにもなると思いますが、二人は腹が座り過ぎていて冷たい。
史実としての成果有りきで筋書きが回り過ぎている感が強くて、ドキドキが生まれなかったのだと思います。
歴史の舞台裏の物語
ストーリーは、激動の時代の裏側にこんなことがあったのか!と思わずにはいられない題材で、興味深く観れました。今では当たり前なことが、そこに至るまでの苦労や、成しえた時の喜びに、とても共感できました。
しかしながら、主演の松坂桃李の良さって、クールな演技だと思うけど、この映画はそれが裏目に出てしまっていると感じました。冒頭にある村の危機的状態を救えなかったと悲観する姿に、その悲しみや悔しさがイマイチ伝わらないし、色々な場面で頭を下げるシーンがありますが、その必死さや説得力が伝わらない。だからなのか、他の登場人物に白々しささえ感じました。
また自然描写の1カット1カットが長いので間延びしている印象でした。
たぶん予算や撮影期間などの問題で、作り込みができなかったんだろうな、と感じましたが、それでも、なかなか知ることができない事を知ることができて、それなりに満足です。
起承「承」結
失礼を承知ながら言わせていただきますと「淡々としすぎ」と感じました。
同じ天然痘問題を取り扱うのであれば、手塚治虫先生の傑作漫画『陽だまりの樹』の方が断然優れていると思います。
今このご時世に何故この作品が製作されたのか、よくわかりませんでした。
「製作陣の意図は何かしら」とも思えました。
パンフレットは購入いたしておりません。パンフレッターではないので…
チラシに役所広司さんのお名前が入っておりますが、期待していたほどのご活躍はありませんでした。とくにチラシに名前をあげる必要はないのではないかなぁと思いました。
残念ながら面白味がわからないままの2時間でした。勢いがない。
役者さんが豪華な『再現ドラマ』みたいな感は最後まで拭えませんでした。
あと音楽についてですが、巨匠『加古隆』さんを起用されているためか、劇伴ほぼ全て同じ曲でエンディングも同曲だったのには苦笑。
人におすすめしたいとは思わない映画でした。
タイトルなし(ネタバレ)
江戸時代の実話を現代風にアレンジした時代劇であるのは仕方がないだろう。
江戸時代にこんなのないだろ、ということを言い出せば時代劇など
成り立たない。
牛痘を人間に接種すると言う話は過去時代劇にも何度も登場しており、どれが本当の話かはよく分からないが、この話だけでもこの医師の強い意志、情熱だけでなく周りの人の協力なくしてあり得ない。当時の時代背景からすれば偏見や憎悪は半端なかったはず。
映画の中では周囲の理解と協力が比較的あったと。妻はもちろん町の人の「お金じゃない」という献身的な支持もあったし。非協力的と言うか憎悪と偏見は小役人と情弱の庶民ってのは今と同じなのか。
苦労の末の雪の花が咲いたのはハッピーエンドでよかったです。
ゆったり観られた
当時は種痘が簡単に手に入らなかったから京都の子供に数人腕に植えつけて、福井の子供(親同伴)を連れてきて京都の子供から種痘を植えつける。
あの猛吹雪の中峠を越すシーン、今ではCGでするのだろうが、大雪の中の撮影で便乗感がありました。
笠原良策という町医者がどうして認知されないのかは幕府の取り立ての話を断ったのがきっかけなのかな。
質素な町医者として恐らく良妻と共に暮らしたのかなと思わせるラストシーン。
芳根京子さん、武術もだが和太鼓が素晴らしいかった。
名を求めず、利を求めず
尊い町医者が天命を受け疫病に
立ち向かう姿が良い。地味で真面目。
時代劇のお手本のような作品。
いつの時代も空気を変える大事は
難しい。
自然の借景や人物の配置が心地よい。
まるで浮世絵のよう。
日本の良い所を上手に引き出している。
綺麗な風景描写。
名を求めず、利を求めず
命を繋ぐ素敵な作品でした。
とてもいい話なのだが、期待し過ぎてしまった。
江戸時代にこんないい話があったのかと勉強になったが、主人公が何度も困難に立ち向かうがみんな簡単に解決してしまい、物語に重みがなかった。
出演者が豪華なので期待し過ぎて逆効果だったと思う。
福井の美しい風景
紅葉や渓流の流れなど、福井の美しい風景が印象的。
お金や名誉ではなく、ただ病人を直したいの一念で困難に立ち向かう一人の医者の物語。
いくら実績があるといっても、病気の牛の種を体に植え付けられるのは・・・
いやがらせしなくても拒否する人は多かったのでは。
授業
いまさらながらの歴史授業のような映画。
だが改めてあの時代からワクチンってあったのね。
と改めて気づかせてくれた良作だとは思います。
中高の歴史授業で見せたらいいんじゃないかな?
でも当時も今も民衆は同じなんだなと気づいた(笑)
美しい映像と人々の物語
自分の利益も名声も求めず、ただ幼い命を守りたいという思いで、命がけで種痘を広めた医師の物語。実在した人物の話だからか、きれいにまとめすぎの感じがする。効果がわからない種痘の接種に我が子を差し出すか。雪の中の峠越えは、遭難してもおかしくなかった。それでも金を受け取らない人間がいるのだろうか。
芳根京子の太鼓のシーンは、入れなくても良かったのではないか。
希望の苗~意気天を衝く志
通常スクリーンで鑑賞。
原作は未読。
日本で初めて種痘を広めた医師・笠原良策の「意気天を衝く志」を描く。小泉堯史監督の前作「峠 最後のサムライ」がイマイチだったので心配したが杞憂に終わる面白さだった。
慣習に囚われず新知識を取り入れ、無私の心で邁進する姿に感銘を受けた。松坂桃李の眼差しが役に説得力を齎している。
旧態然とした意識を変えるのは難しい。新しい試みは必ず反発を生む。しかし歩みを止めなかった良策の働きはすごい。
困難に立ち向かう良策を支えた妻役の芳根京子のチャーミングな演技が良かった。太鼓を打つ姿も様になっていた。
命をかけたリレー
音楽が素晴らしかった。特に冒頭から流れる(EDでも。恐らくメインテーマ)曲は綺麗な旋律で自然の奥ゆかしさを感じる。
が、その中に当時の疱瘡(天然痘)の恐ろしさや対する主人公の無力感・焦燥感、切なさを孕んでいてそれが最後まで効いている。
笠原良策(主人公)の真っ直ぐで清廉なキャラクターが松坂桃李にベストマッチしていて素晴らしかった。
というかキャスティングが全般的にハマっていて違和感のある人は特段無かった。
疱瘡を前に何も出来ず医者として無力さを感じていた主人公。劇中でも描かれていた様に、当時はその知恵自体にアクセスすることすら大きな労力、価値観の転換が必要とされる。
その知恵を身につけたあともその対処法を実行に移すことは権力構造上さらに無理難題に近いことだった。
どこまで史実に忠実か不明だが、当時懸命に動いた方々に拍手。
当然だが近年流行している感染症に関連付けざるを得ない。
それを踏まえ、疱瘡の予防(種痘)を人生の使命と覚悟を決めて懸命に取り組む姿を描いたこの作品は、医学を目指す人またその他全ての大人が初心に立ち返るために見る価値がある。
全体的に非常に分かりやすく、またむしろわざとらしく勧善懲悪的尚且つ登場人物のキャラクター的な描写もあり、他のレビューにも書いてあるように子供達にも情操教育としても見ていただきたいと思える作品だった。
気になった点
・台詞回しの一言が長い。長ければ長いほど会話に違和感が生まれるし、演技の技量が顕著に現れてくる。誰とは言わないが乗り切れていないというか、荷が重い演技をさせられていると感じるキャラクターがいた。
・酷なことをいうが種痘の際は肌に傷をつけるはずで、大きい子はまだしも赤ん坊が泣き出さずケロンとしているのは無理があるのでは。ただ、なんとかタイミングを見て撮影するというのも難しいか。
・妻の夫には隠しているキャラクター性。先に挙げた様に子供達が見る前提であれば大正解に思えるけども。
文字通り「子供たちの命をかけた」リレー。物語ではあるが無事成功してくれて良かった。
あと、安易に「藩主の松平春嶽が出てこない」というのが主人公を英雄として過剰に祭り上げることはせず、作り物感を抑えられることで
逆にそれがリアリティを生み、主人公の功績を感じることができたので良かった。
勇気の花
芳根京子の出演というだけで鑑賞を決めてた本作だが、正直イマイチだった。
冒頭、モブの下手な演技で説明的な台詞が垂れ流され、はつの家のピカピカの床に嫌な予感が…
最初にこういうのが目に付くと、終始気になってしまう。
演技はマシになっていったが、着物も肌艶も映像もあまりに綺麗すぎて“時代感”がなかった。
また、台詞も原作そのままなのか口語らしくなく、そのせいで役所広司すら下手に見える始末。
何も起きない旅路を何カットも映し、事あるごとに短歌を詠ませ、はつに長々と歌わせる。
吹雪のシーンの長回しといい、尺を無駄遣いし過ぎでは。
芳根京子と松坂桃李の半端な殺陣も必要性を感じず、特に松坂の方はやられ役が大袈裟でもはやコント。
祭り太鼓のシーンも不要で、後の平和を表現するには最後の海の場面で十分だろう。
そもそも良策がやったことは、疱瘡を治療することではなく元からあった予防法を広めたこと。
勿論、危険を省みずそれを行ったことは偉大だが、映画としてはあまりに地味だった。
牛痘の輸入許可を取りつけたのも友人だし、「道具の工夫」も言葉のみ。
松坂桃李は悪くはないが、その見た目が時代にも医者にも合っていない。
言っては悪いが、ただ真面目で固いだけの芝居だったので、これならもっと別の役者がいたのでは。
疫病の悲惨さも最初に軽くしか描かれないし、作品としては笠原良策という人間を描きたかったのだろうが…
それすら薄くて、何故これを映画化したのか疑問です。
史実とは言え、ポスターで「日本を救った」とネタバレしてるのでハラハラ感もなかった。
何を期待するかで評価が変わる作品
レビューを見てそこそこだったので、期待せずに視聴したので、逆によかったかも。
昔夕方にTVで流れていた時代劇を現代向けに映画にした感じ。
医者の物語の仁とか感動したが、
感情を揺さぶられ、泣きたい人にはおすすめできない。
もっと紆余曲折のドラマや人間臭さがあってもよかったのかな。
峠を越えられず、協力者が死亡するなどの展開があれば、もっと惹きつけられただろう。
遭難して命からがらの状態になって、ケロッと宴モードになっているところとか、大人数の輩に圧勝しちゃう万能な主人公感は時代劇感が出てたw。
現代のコロナワクチンと重なるところがあり、ワクチン普及映画という穿った見方をすると結末も読めるし冷めてしまう。
と、辛口批判する部分もあったが、
古き良き日本人の心や自然の美しさ(厳しさ)を思い出させてくれるし、役者さんは素晴らしい演技をしているので決してつまらない映画ではない。
無私の心で美しく生きる人々を、ただ静かに真面目に描く。今、こういう映画が必要。
江戸時代末期、天然痘の予防に尽力した実在の町医者、笠原良策とその偉業を描く。
「身命をかけて人のために尽くす人」を、ただひたすら真っ直ぐに真面目に描いた松竹時代劇。
余計な飾りも、けれんもない。中途半端な遊びも内輪受けも無い。
芸人枠も吉本も旧ジャニーズやアイドルグループもいない、ただゆっくりとじっくりと観れる映画は珍しい。
やはり真面目な印象の強い松坂桃李は、この題材にぴったり。
時代劇で医師と言えば「赤ひげ」から果ては「破れ傘刀舟悪人狩り」まで、本作もご多分に漏れず、文武両道の主人公だが、ここでも控えめで、やり過ぎないのが本作。
そして、良作の妻を演じた芳根京子の凛としたたたずまい。
夫を支えながらも只尽くすのではなく、夫を通じて自らも主張しているように感じられる。
男勝りの殺陣に太鼓のシーンも微笑ましい。
彼が蘭学を学んだ師を演じる役所広司もまた、ただ登場するだけで納得できる圧倒的な存在感と、松坂桃李との師弟関係もまた実に自然。
蘭方医役の吉岡秀隆の穏やかさ、協力する旅籠の主人、山本學の出演もうれしい。
ちゃんと疱瘡の流行を懸念している幕府、真っ当な裁きをする幕府福井藩の家老、種痘の苗を命がけで運ぶ町人すら「これは金をもらってやる仕事ではない」と金を突き返す。
嘆願書を受け入れない役人や、旧来の漢方医、小悪党連中以外は、皆、「無私の心」「美しい生き方」をしているのが心地よい。
エンディングもまた静かに音楽が流れ締めくくる。
どっかのタイアップのJPOPなんて流さない、最後まで信用できる映画で実に良かった。
淡々と進む物語
原作は未読です。
実在の人物ということさえ知らぬまま、ただ、ただ、松坂桃李くん主演作ということで観に行きました。脇を固める俳優さんたちも、素晴らしい方たちばかりでした。
ワクチンの話とか、多分、感動すべきところなのかもしれませんが、淡々と進む物語に、あまり感動とかもないまま終わってしまいました。へー、そうなんだーって感じです。もうちょっと、起伏というか…あれば良かったのかなとも思うけど、内容が、内容だけに、そういう訳にもいかないんですかね。
決して、面白くなかったわけじゃないんですけど、油断すると、寝落ちしちゃいそうでした。
いい話なんだけど
原作未読。いい話なんだけど、何故か個人的には盛り上がらなかったです。理由は自分でも不明ですが、ちょっと考えてみると、激しい描写がなく、淡々と描かれているからかもしれません。それがこの映画の魅力とも思います。
なので、途中吹雪の中無理して峠を越えるシーンは不要と感じました。
あと、あっけらかんとして明るくフォローしてくれる妻の芳根ちゃん、最後の太鼓のシーンはもう少し迫力が欲しかったです。
この時代から、ワクチン(今回は種痘)を使って感染症を予防しようとし、結果天然痘は根絶されました。当然、初めてのものには忌避する人も多いでしょうし、たくさんの犠牲もあったと思います。ですが、このような市井の人たちの努力で医学は発展してきたということは忘れないようにしたいと思います。
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