雪の花 ともに在りてのレビュー・感想・評価
全29件中、1~20件目を表示
歴史の舞台裏の物語
ストーリーは、激動の時代の裏側にこんなことがあったのか!と思わずにはいられない題材で、興味深く観れました。今では当たり前なことが、そこに至るまでの苦労や、成しえた時の喜びに、とても共感できました。
しかしながら、主演の松坂桃李の良さって、クールな演技だと思うけど、この映画はそれが裏目に出てしまっていると感じました。冒頭にある村の危機的状態を救えなかったと悲観する姿に、その悲しみや悔しさがイマイチ伝わらないし、色々な場面で頭を下げるシーンがありますが、その必死さや説得力が伝わらない。だからなのか、他の登場人物に白々しささえ感じました。
また自然描写の1カット1カットが長いので間延びしている印象でした。
たぶん予算や撮影期間などの問題で、作り込みができなかったんだろうな、と感じましたが、それでも、なかなか知ることができない事を知ることができて、それなりに満足です。
起承「承」結
失礼を承知ながら言わせていただきますと「淡々としすぎ」と感じました。
同じ天然痘問題を取り扱うのであれば、手塚治虫先生の傑作漫画『陽だまりの樹』の方が断然優れていると思います。
今このご時世に何故この作品が製作されたのか、よくわかりませんでした。
「製作陣の意図は何かしら」とも思えました。
パンフレットは購入いたしておりません。パンフレッターではないので…
チラシに役所広司さんのお名前が入っておりますが、期待していたほどのご活躍はありませんでした。とくにチラシに名前をあげる必要はないのではないかなぁと思いました。
残念ながら面白味がわからないままの2時間でした。勢いがない。
役者さんが豪華な『再現ドラマ』みたいな感は最後まで拭えませんでした。
あと音楽についてですが、巨匠『加古隆』さんを起用されているためか、劇伴ほぼ全て同じ曲でエンディングも同曲だったのには苦笑。
人におすすめしたいとは思わない映画でした。
タイトルなし(ネタバレ)
江戸時代の実話を現代風にアレンジした時代劇であるのは仕方がないだろう。
江戸時代にこんなのないだろ、ということを言い出せば時代劇など
成り立たない。
牛痘を人間に接種すると言う話は過去時代劇にも何度も登場しており、どれが本当の話かはよく分からないが、この話だけでもこの医師の強い意志、情熱だけでなく周りの人の協力なくしてあり得ない。当時の時代背景からすれば偏見や憎悪は半端なかったはず。
映画の中では周囲の理解と協力が比較的あったと。妻はもちろん町の人の「お金じゃない」という献身的な支持もあったし。非協力的と言うか憎悪と偏見は小役人と情弱の庶民ってのは今と同じなのか。
苦労の末の雪の花が咲いたのはハッピーエンドでよかったです。
ゆったり観られた
当時は種痘が簡単に手に入らなかったから京都の子供に数人腕に植えつけて、福井の子供(親同伴)を連れてきて京都の子供から種痘を植えつける。
あの猛吹雪の中峠を越すシーン、今ではCGでするのだろうが、大雪の中の撮影で便乗感がありました。
笠原良策という町医者がどうして認知されないのかは幕府の取り立ての話を断ったのがきっかけなのかな。
質素な町医者として恐らく良妻と共に暮らしたのかなと思わせるラストシーン。
芳根京子さん、武術もだが和太鼓が素晴らしいかった。
名を求めず、利を求めず
尊い町医者が天命を受け疫病に
立ち向かう姿が良い。地味で真面目。
時代劇のお手本のような作品。
いつの時代も空気を変える大事は
難しい。
自然の借景や人物の配置が心地よい。
まるで浮世絵のよう。
日本の良い所を上手に引き出している。
綺麗な風景描写。
名を求めず、利を求めず
命を繋ぐ素敵な作品でした。
とてもいい話なのだが、期待し過ぎてしまった。
江戸時代にこんないい話があったのかと勉強になったが、主人公が何度も困難に立ち向かうがみんな簡単に解決してしまい、物語に重みがなかった。
出演者が豪華なので期待し過ぎて逆効果だったと思う。
福井の美しい風景
紅葉や渓流の流れなど、福井の美しい風景が印象的。
お金や名誉ではなく、ただ病人を直したいの一念で困難に立ち向かう一人の医者の物語。
いくら実績があるといっても、病気の牛の種を体に植え付けられるのは・・・
いやがらせしなくても拒否する人は多かったのでは。
授業
いまさらながらの歴史授業のような映画。
だが改めてあの時代からワクチンってあったのね。
と改めて気づかせてくれた良作だとは思います。
中高の歴史授業で見せたらいいんじゃないかな?
でも当時も今も民衆は同じなんだなと気づいた(笑)
美しい映像と人々の物語
自分の利益も名声も求めず、ただ幼い命を守りたいという思いで、命がけで種痘を広めた医師の物語。実在した人物の話だからか、きれいにまとめすぎの感じがする。効果がわからない種痘の接種に我が子を差し出すか。雪の中の峠越えは、遭難してもおかしくなかった。それでも金を受け取らない人間がいるのだろうか。
芳根京子の太鼓のシーンは、入れなくても良かったのではないか。
希望の苗~意気天を衝く志
通常スクリーンで鑑賞。
原作は未読。
日本で初めて種痘を広めた医師・笠原良策の「意気天を衝く志」を描く。小泉堯史監督の前作「峠 最後のサムライ」がイマイチだったので心配したが杞憂に終わる面白さだった。
慣習に囚われず新知識を取り入れ、無私の心で邁進する姿に感銘を受けた。松坂桃李の眼差しが役に説得力を齎している。
旧態然とした意識を変えるのは難しい。新しい試みは必ず反発を生む。しかし歩みを止めなかった良策の働きはすごい。
困難に立ち向かう良策を支えた妻役の芳根京子のチャーミングな演技が良かった。太鼓を打つ姿も様になっていた。
命をかけたリレー
音楽が素晴らしかった。特に冒頭から流れる(EDでも。恐らくメインテーマ)曲は綺麗な旋律で自然の奥ゆかしさを感じる。
が、その中に当時の疱瘡(天然痘)の恐ろしさや対する主人公の無力感・焦燥感、切なさを孕んでいてそれが最後まで効いている。
笠原良策(主人公)の真っ直ぐで清廉なキャラクターが松坂桃李にベストマッチしていて素晴らしかった。
というかキャスティングが全般的にハマっていて違和感のある人は特段無かった。
疱瘡を前に何も出来ず医者として無力さを感じていた主人公。劇中でも描かれていた様に、当時はその知恵自体にアクセスすることすら大きな労力、価値観の転換が必要とされる。
その知恵を身につけたあともその対処法を実行に移すことは権力構造上さらに無理難題に近いことだった。
どこまで史実に忠実か不明だが、当時懸命に動いた方々に拍手。
当然だが近年流行している感染症に関連付けざるを得ない。
それを踏まえ、疱瘡の予防(種痘)を人生の使命と覚悟を決めて懸命に取り組む姿を描いたこの作品は、医学を目指す人またその他全ての大人が初心に立ち返るために見る価値がある。
全体的に非常に分かりやすく、またむしろわざとらしく勧善懲悪的尚且つ登場人物のキャラクター的な描写もあり、他のレビューにも書いてあるように子供達にも情操教育としても見ていただきたいと思える作品だった。
気になった点
・台詞回しの一言が長い。長ければ長いほど会話に違和感が生まれるし、演技の技量が顕著に現れてくる。誰とは言わないが乗り切れていないというか、荷が重い演技をさせられていると感じるキャラクターがいた。
・酷なことをいうが種痘の際は肌に傷をつけるはずで、大きい子はまだしも赤ん坊が泣き出さずケロンとしているのは無理があるのでは。ただ、なんとかタイミングを見て撮影するというのも難しいか。
・妻の夫には隠しているキャラクター性。先に挙げた様に子供達が見る前提であれば大正解に思えるけども。
文字通り「子供たちの命をかけた」リレー。物語ではあるが無事成功してくれて良かった。
あと、安易に「藩主の松平春嶽が出てこない」というのが主人公を英雄として過剰に祭り上げることはせず、作り物感を抑えられることで
逆にそれがリアリティを生み、主人公の功績を感じることができたので良かった。
勇気の花
芳根京子の出演というだけで鑑賞を決めてた本作だが、正直イマイチだった。
冒頭、モブの下手な演技で説明的な台詞が垂れ流され、はつの家のピカピカの床に嫌な予感が…
最初にこういうのが目に付くと、終始気になってしまう。
演技はマシになっていったが、着物も肌艶も映像もあまりに綺麗すぎて“時代感”がなかった。
また、台詞も原作そのままなのか口語らしくなく、そのせいで役所広司すら下手に見える始末。
何も起きない旅路を何カットも映し、事あるごとに短歌を詠ませ、はつに長々と歌わせる。
吹雪のシーンの長回しといい、尺を無駄遣いし過ぎでは。
芳根京子と松坂桃李の半端な殺陣も必要性を感じず、特に松坂の方はやられ役が大袈裟でもはやコント。
祭り太鼓のシーンも不要で、後の平和を表現するには最後の海の場面で十分だろう。
そもそも良策がやったことは、疱瘡を治療することではなく元からあった予防法を広めたこと。
勿論、危険を省みずそれを行ったことは偉大だが、映画としてはあまりに地味だった。
牛痘の輸入許可を取りつけたのも友人だし、「道具の工夫」も言葉のみ。
松坂桃李は悪くはないが、その見た目が時代にも医者にも合っていない。
言っては悪いが、ただ真面目で固いだけの芝居だったので、これならもっと別の役者がいたのでは。
疫病の悲惨さも最初に軽くしか描かれないし、作品としては笠原良策という人間を描きたかったのだろうが…
それすら薄くて、何故これを映画化したのか疑問です。
史実とは言え、ポスターで「日本を救った」とネタバレしてるのでハラハラ感もなかった。
何を期待するかで評価が変わる作品
レビューを見てそこそこだったので、期待せずに視聴したので、逆によかったかも。
昔夕方にTVで流れていた時代劇を現代向けに映画にした感じ。
医者の物語の仁とか感動したが、
感情を揺さぶられ、泣きたい人にはおすすめできない。
もっと紆余曲折のドラマや人間臭さがあってもよかったのかな。
峠を越えられず、協力者が死亡するなどの展開があれば、もっと惹きつけられただろう。
遭難して命からがらの状態になって、ケロッと宴モードになっているところとか、大人数の輩に圧勝しちゃう万能な主人公感は時代劇感が出てたw。
現代のコロナワクチンと重なるところがあり、ワクチン普及映画という穿った見方をすると結末も読めるし冷めてしまう。
と、辛口批判する部分もあったが、
古き良き日本人の心や自然の美しさ(厳しさ)を思い出させてくれるし、役者さんは素晴らしい演技をしているので決してつまらない映画ではない。
無私の心で美しく生きる人々を、ただ静かに真面目に描く。今、こういう映画が必要。
江戸時代末期、天然痘の予防に尽力した実在の町医者、笠原良策とその偉業を描く。
「身命をかけて人のために尽くす人」を、ただひたすら真っ直ぐに真面目に描いた松竹時代劇。
余計な飾りも、けれんもない。中途半端な遊びも内輪受けも無い。
芸人枠も吉本も旧ジャニーズやアイドルグループもいない、ただゆっくりとじっくりと観れる映画は珍しい。
やはり真面目な印象の強い松坂桃李は、この題材にぴったり。
時代劇で医師と言えば「赤ひげ」から果ては「破れ傘刀舟悪人狩り」まで、本作もご多分に漏れず、文武両道の主人公だが、ここでも控えめで、やり過ぎないのが本作。
そして、良作の妻を演じた芳根京子の凛としたたたずまい。
夫を支えながらも只尽くすのではなく、夫を通じて自らも主張しているように感じられる。
男勝りの殺陣に太鼓のシーンも微笑ましい。
彼が蘭学を学んだ師を演じる役所広司もまた、ただ登場するだけで納得できる圧倒的な存在感と、松坂桃李との師弟関係もまた実に自然。
蘭方医役の吉岡秀隆の穏やかさ、協力する旅籠の主人、山本學の出演もうれしい。
ちゃんと疱瘡の流行を懸念している幕府、真っ当な裁きをする幕府福井藩の家老、種痘の苗を命がけで運ぶ町人すら「これは金をもらってやる仕事ではない」と金を突き返す。
嘆願書を受け入れない役人や、旧来の漢方医、小悪党連中以外は、皆、「無私の心」「美しい生き方」をしているのが心地よい。
エンディングもまた静かに音楽が流れ締めくくる。
どっかのタイアップのJPOPなんて流さない、最後まで信用できる映画で実に良かった。
淡々と進む物語
原作は未読です。
実在の人物ということさえ知らぬまま、ただ、ただ、松坂桃李くん主演作ということで観に行きました。脇を固める俳優さんたちも、素晴らしい方たちばかりでした。
ワクチンの話とか、多分、感動すべきところなのかもしれませんが、淡々と進む物語に、あまり感動とかもないまま終わってしまいました。へー、そうなんだーって感じです。もうちょっと、起伏というか…あれば良かったのかなとも思うけど、内容が、内容だけに、そういう訳にもいかないんですかね。
決して、面白くなかったわけじゃないんですけど、油断すると、寝落ちしちゃいそうでした。
いい話なんだけど
原作未読。いい話なんだけど、何故か個人的には盛り上がらなかったです。理由は自分でも不明ですが、ちょっと考えてみると、激しい描写がなく、淡々と描かれているからかもしれません。それがこの映画の魅力とも思います。
なので、途中吹雪の中無理して峠を越えるシーンは不要と感じました。
あと、あっけらかんとして明るくフォローしてくれる妻の芳根ちゃん、最後の太鼓のシーンはもう少し迫力が欲しかったです。
この時代から、ワクチン(今回は種痘)を使って感染症を予防しようとし、結果天然痘は根絶されました。当然、初めてのものには忌避する人も多いでしょうし、たくさんの犠牲もあったと思います。ですが、このような市井の人たちの努力で医学は発展してきたということは忘れないようにしたいと思います。
内容が優等生過ぎて極度に詰まらない、映画としての面白みは及第点。
最近注目している木下Gさん+松竹さんですね。
早くからトレ-ラ見てましたのでかなりこの作品は期待はしておりました。
----------
江戸時代末期、全国各地で大流行した疱瘡(天然痘)に対して正面から挑んだ福井の町医者・笠原良策の信念を描いた実話。
京都⇒福井への猛吹雪の中 峠越え強行を図り、海外から輸入した 疱瘡に二度とかからなくする種痘(ワクチン)を運び人々の命を救う死闘展開なのだが。
--------
お涙頂戴の超感動作になると思っていましたが、
フタを開けたら 場内はガラガラ。宣伝が伝わってない?
若い人は興味無しなのか、老人ばかりなのか。
どうも感触悪し・・・。
映画見終えて 確かにこれでは人は来なさそうですな。
そう感じましたよ。
話展開、脚本が 功績流れそのまんまの描写で。
もっと 脚色入れて変化をですね。直球過ぎる展開ですな。
どこかに伏線を、そして感動域を作らなきゃ。
なんと言うか例えると、旬の脂のったサンマを両側しちりんで焼いたのに
焼き跡も焦げ目も脂も取って皿にのせて殿様に出したような、
そんな感触になってますね。しかも醤油なしで。
つまりはネタは良いのに不味いって事ですよ。そう素直に感じます。
出だしの村人の疱瘡発症症状、隔離、そして死別。
ココだけでも時間を割いて見せるべきで さらりと流してしまってるのが
惜しい点。掴みが弱く感じました。
あと、引き画が多いです。全体的な自然調和は上手く映ってるんですが
寄りが少な目で誰が何を、この点が見えづらく感じました。
この作品の撮影を担当された方が最近お亡くなりになられたそうで、
そう言う話を聞くと 撮った当時何か感じることが有ったのかなとは思います。
兎に角流れが全体的に速くって
感動が追いつかない作りに感じましたね。
アクが感じられ無くて、そこなんですよ。
都合良く話が進んでしまっていて、本人は長崎には行かないわ、望みの種痘はかさぶただけど既に手配されて手に入るわ、必死に書いた嘆願書。これだけは殿様に届く様に~なんですが、最終中根雪江(役:益岡徹さん)の根回しで上手く取り計らいが出来ているわで。笠原良策の苦労が どうもなぁって伝わり方に感じますね。
(感じたところ)
・笠原良策(役:松坂桃李さん)と奥方 千穂(役:芳根京子さん)の夫婦関係は良い感じに思えました。
夫の留守中に家を守ったり、ワクチン接種の場所や子供集めに奔走している姿(内助の功)は良かったと思います。
・猛吹雪の中の峠越え大作戦ですね。辛うじて一番良かったのは。
先に数人男手を先に行かせて、母子が後から行って万が一遭難しかかったら戻ってきて手助けしてくれ~ ここの思考作戦が功を奏して上手くいった事が良かった場面ですね。
中々あの猛吹雪の雪山の中 撮影は困難極まり無いなと感じましたわ。
よく頑張ったなと思います。
・当時、ワクチンは鮮度が重要で、次々に子供達に摂取して行かねば成らないと言う事。それをしながら種痘(ワクチン)を運ぶっていう思考と、藩主、殿に如何にしてこの病とワクチン接種と そして人々の命を救う重要さを説いたって事が偉業なんだと思います。
・最初 初めて輸入された種痘を子供6人に入れてみるがどれも失敗。最後の欠片七つ目を我が子の腕へ入れる・・・。
翌日 白い腕に一つの赤い斑点が、それはまるで雪の中に咲く赤い花のよう。
上手くいった瞬間であった。ここの想いは上手く伝わったと思います。
中々難しい内容かもですが
興味ある方は 劇場へ!
安心して観てられました。
安定の桃李くん。実際は壮絶な物語なのでしょうが残忍な殺傷や恐ろしい陰謀などインパクトありすぎるシーンは無く、案外あっさりと様々な障害困難を乗り越えて種痘を行えた。落ち着いてゆったりした気分て観れました。天然痘から生還した女性が本人が嘆くほど跡が残っておらず、、ん?となったり
自分のわらしに接種させたくないという親があっさりと説得に応じたり、、ん?という所もまあまあ、ありましたが、映画だもの!
先人の方々のおかげで元気に暮らせているのですね
と感謝の気持ちで一杯になりました。
キレイすぎる映画だけど…
登場人物のほぼ全てが、こんな人は実際いないんじゃないか?というほど清らかで真っ直ぐです。道徳のビデオかと思うほどです。
中には、きれいごと言うな!って思えるシーンもあった(たとえば痘痕が残った少女への慰めなど。…桃李くんが励ましますが、少女の「この顔で(生き残っても)何を感謝しろっていうの、痘痕のせいでみんなめちゃくちゃだ、うつるって騒がれて」というようなセリフのほうに共感できました。)し、猛吹雪の中、巻き込んだ周囲の人を犠牲にするリスクを負ってまで突撃する桃李くん(人命を救う立場のはずなのに…責任が取れない、根拠のない楽観論に基づいた突撃なんて、指揮官として一番やっちゃいけない事だと思う。)など「ん?」と思うシーンはありましたが、悪人がほぼ出てこないんで、全体として、見ていて気持ちがいい映画なのは確かです。
なぜなら、現実の生活ですでに嫌というほど汚いものを見せられているから。
保身しか考えず、時にはヤクザも平気で使う悪代官。
平気で他者を陥れる人の、獣よりはるかに薄汚く醜い悪意と獣性。
次から次へと、それこそ疫病のように世にはびこる陰謀論。
躓いた人をスケープゴートとして叩きまくり、ストレス解消する一部のネット世論。
同じものをわざわざフィクションで見たいとは思いません。
石清水のような清らかな映画を観て、鑑賞後の気分は最高でした。
最近の邦画は、ごく狭い範囲での人間関係のあれこれを描いているものが多くて、はっきり言って苦手なのですが、これは、久々に、見て良かったと思える映画でした。
タイトルが渋すぎて損してるが、見ると「雪の花」の意味が分かり、しみじみと、良い映画だなと思いました。
人物が話し合うシーンの背景は、里山など、和の自然の風景が多いのですが、これが絶妙に美しいです。また、懐かしく哀愁漂う、時代劇にぴったりな笛の音とピアノ、チェロの静かな音楽が、溶け合っていました。
主人公の妻も出来過ぎた人で、超美人・健気・善人・正義感強い・自分の着物を売ってでも夫のピンチを支える・夫を常に立てる・夫を真っ直ぐに信頼している・常に笑顔・自身もいざとなると強盗を追い払えるほどの戦闘力を有する。
など、スーパーウーマンです。
少し前の時代なら、貞淑で夫を立てる妻は、「婦人の鑑」とでも呼ばれたんでしょうか。
最初に出てくる村人一家のお母さんも、病気なのに「私は後回しで構いませんから、我が子を先に看てください」と言うし、隔離された後も人の世話ばかり焼いていた描写がありました…
こんなに健気な人は実際いないでしょうが、美人で優しくて、真っ直ぐな気性で、頭も良くて、決してひけらかすことなく、自分を常に立てて尊敬してくれる。そして働き者で、人のために尽くす女性ばかり出てきます。二次元にしか存在しない。男性からしたら、理想像かも。だから脚本は男が書いたんじゃないかと思ったらやっぱりそうだった。
それにしてはエロ要素が皆無だったけど。そこも、子どもと一緒に安心して見られる健康的な映画ってとこ。
ここまで来ると、水清ければ魚住まずで、私が夫であれば、もうちょっと頭のゆるい愛人を作りたくなるかもしれません。あんな奥さんいたら、だらしない姿を一切見せられない…
あと、桃李君の着物の色が良かったです。薄い緑と濃い緑を重ね着してますが、どちらも和の色(名前が分からない)で中間色、下の袴?も栗の渋皮色というか、中間色のココアブラウンでとっても似合ってました。
逆に女性はみんな紺の着物で、庶民とはいえもうちょっと綺麗なの無かったの?と思いました。
男性が寝巻き?がわりに着ているバスローブみたいな白い服も気になる。素材がぽこぽこしていて、この時代にこんな生地があったのなら名称が知りたいと思いました。
日本の里山の風景をたっぷり鑑賞できますし、美術と音楽が素晴らしく、しみじみとした美しい映画でした。話の流れ上、ほぼ、「室内」と「自然風景」しか背景が出てこないので、その分、自然のほうにはメリハリがつけてあって、清流の流れや、森、雪山、など、毎回違う自然美が見られます。
けっこう低予算だったのかもしれません。
室内の小物も、目立つのは火鉢と盆、湯飲みぐらいで、かなりシンプルでした。
「仏心鬼手」の掛け軸も良かったな。
漢方に対して、当時、西洋医学が「蘭方」と呼ばれていた事も初めて知りました。
この物語ほどスムーズに受容はされなかったでしょうが、私が庶民の立場なら、いきなり種痘と言われても信じられないし、そんなもの注射して本当の疱瘡になったらどうするんだ、と食って掛かるのは当然。
で、解体新書の原本その他は東大図書館と九州大学図書館、九州大学病院図書館にあるんですね。オランダの医学が中国を通って長崎のシーボルトまで伝わってきた事に感銘を覚えるとともに、ワクチンが今や利権と陰謀論の温床になってしまったのはちょっと切ないなぁ・・・と思いました。金が絡むとすぐ利権。
ジェンナーも使用人の少年を実験台にしてますが、この物語でも最初に接種されたのが子供たちだった事や、医者の娘が「私に注射して」と自ら申し出るのも、切なく感じました。自己犠牲っていいことばかりじゃない。
せめて跡が残る可能性あるんだから男の子にしたら良かったんじゃ…
この映画で唯一、気に入らない点があるとしたら自己犠牲の賛美ですね。
最後、エンドロール見てたら猟友会の名前が出てきたけど、
解剖用のイノシシさんは本物だったのかな?
あと、主人公が、俸禄をもらい武士の身分に取り立てられることを自ら断っていますが…江戸時代の医者ってどういう身分なの?学問を身に付けたお武家様の子じゃないの?と思って調べてみたら、そうでもないようですね。
読み書きができないと医学書が読めないので、町人や農民の子で、比較的裕福で、優秀な人がなっていたようです。藩医に取り立てられれば、武士身分になったようですが、町医者や村医者は武士階級ではなかったそうだ…。詳しく書いてあるサイトも見つけることが出来て勉強になりました。
こういう人ばかりの世界だったらいいのになぁ。
全29件中、1~20件目を表示