雪の花 ともに在りてのレビュー・感想・評価
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昔、小学校の体育館で観たような良い映画
まるで学芸会のような村の男たちの会話にはじまり、そのあとも松坂桃李と芳根京子、松坂桃李と吉岡秀隆、松坂桃李と役所広司、松坂桃李と三浦貴大、松坂桃李と益岡徹の会話。美しい音楽。まるでオーディオ・ブック聴いているみたい。
そのまんまラジオ・ドラマや中高生の演劇に使用できそうな完璧な脚本。
とってつけたみたいなお粗末な殺陣と風吹の遭難シーン。
申し訳ないが、芳根京子の太鼓にもえっへんえっへんにも萌えることはない。
会話劇の合間に挟まれる美しい風景。
しわひとつ、しみひとつ、ついていない美しい着物。
(衣装さんに物申す。「敵」観てください。長塚京三のパジャマ、実際に今まで寝てて起きた人のパジャマのしわ、よれでしたよ。)
良い話なのに残念だったのは、なんかトントン拍子に話が上手く進んで、大変な苦労が伝わってこなかったこと。
公開一週目なのに貸し切り鑑賞でした。
医療関係者の方々には頭が下がります。
こういう皆んなに観てもらいたい題材ほど、もっとエンタメ作品として作ったらいいのに。
キノシタグループさんありがとうございました。
これ、本当に「雨あがる」作った人が作ったの?
静謐さ
あゝ栃ノ木峠
ひれ伏す木っ端役人、あっぱれ、あっぱれ
小泉堯史監督作品と覚悟して鑑賞。
小泉監督の世評は知りませんが、黒澤明監督の愛弟子と言われてデビューして以来、全作品を鑑賞しています。小泉監督は、画面の構図と色彩にこだわる職人のように私は理解しています。他方で、例えば、「雨あがる」での林の中での寺尾聰の立ち回りは上手く演出できた格好良いシーンで好きなのですが、その他動きのあるシーンは、どの作品でも、何かぎこちないものを感じています。また、役者には(独特の)演技を付けているせいなのか、あるいは逆に演技指導を全くしないせいなのか分かりませんが、役者の演技はこれまたぎこちなく、語りは棒読みのように感じられるシーンが少なくありません。例えば、本作冒頭の百姓3人の語り合いがそれで、”本作は最初からかい!?”と少々引きました。
ただ、他の人のレビューに松坂桃李が台詞棒読み…とある意見を見ましたが、それは間違いかと。そのようには思えませんし、むしろ松坂のあの演技があればこそ、本作は破綻なくまとまっていると評価しています。ドラマ「御上先生」といい、本作といい、松坂は上手い役者です。
芳根京子はしっかり者の奥方姿が凛々しくて本作を引き締め、本作を良作に仕上げています。ドラマ「まどか26歳、研修医をやってます!亅とは全く異なる魅力があります。
松坂が、家老から褒美として御殿医への就任を申し付けられて断るシーンと、芳根に同じ内容を報告するシーンとは、重複してクドく感じられ、映画的省略をしてしかるべきでは?と再編集したい気持ちに駆られます。また、エンディングのストップモーションは、不完全で映画的興趣が損なわれている気がするのですが、私だけでしょうか?
ただ、これもあれも、すべて小泉監督テイストとして目をつぶって許せる程度のものです。総じて言えば、時代劇の王道を目指し、愚直に作られた良作時代劇です。
マカロニウエスタン風時代劇「室町無頼」を見た後の、ちょうど良い口直しになりました。
毒にも薬にも種痘にもならぬ小泉作品
大好きな時代劇で原作者も役者も好きだけど、面白みのない小泉堯史作品なんで、予防接種代わりにバーを下げといてちょうどよかったです。幕末の福井藩で種痘を広めた町医者のフツーにいい話しなんだけど、作品全体が上っ面だけで深みも奥行きもなく、冒頭の疱瘡患者が発生する山村のシーンからして、妙な違和感が気になって映画の中にすんなり入れませんでした。違和感の原因は、固定フレームの中で複数の役者さんが出入りしてセリフを言う演出のため、わざとらしい田舎芝居になっていることです。さらに脚本が大時代的で大げさなセリフばかりなのが致命的で、出演者全員が急に大根役者になったかのように感じました。場面のつなぎも唐突感があるところが多く、なんか欠点ばかり気になってしまい残念。映画的な見せ場は、猛吹雪の中、雪山を突破するシーンだけど、ここでも固定フレームで撮っているのでイマイチ。役者さんはベテラン揃いだけど、こんな脚本を読まされて気の毒でした。
「音楽と共に最高傑作でした」
地味だが良作
久しぶりに桃李くんの侍姿
名を求めず、利を求めず
予告から、命をめぐる感動の物語を期待して、公開2日目に鑑賞してきました。そこまで大きな感動はありませんでしたが、なかなか素敵な作品でした。鑑賞後の後味も悪くないです。
ストーリーは、江戸時代末期の福井藩で猛威を振るった疱瘡に対し、有効な治療法もなく無力感に苛まれていた町医者・笠原良策が、「種痘」という予防法が異国から伝わったことをある医者から聞き、それを学ぶために京都の蘭方医・日野鼎哉に師事し、私財をなげうって命懸けで種痘の苗を福井に持ち込み、妻・千穂とともに周囲の誤解を乗り越えて種痘を広げる姿を描くというもの。
人命に関わる医療現場で新たな治療法や薬を試すのは、優れた医学知識を持ち合わせていない者にとっては現代でも躊躇するものです。ましてや医学も科学の知識も乏しい江戸時代においてはなおさらです。加えて、良策の訴えに耳を貸さない奉行所、面子を保つために妨害工作を行う従来の漢方医たち、それに扇動される町の人たち等が立ちはだかり、まさに孤立無援です。
そんな中、私財をなげうって奮闘する良策の姿が熱いです。目の前で無慈悲に失われる命、それをどうすることもできずに見守り、悲しみに暮れる家族の姿を目にして、医者としての使命感に燃え、己のなすべきことに全力を注いだのでしょう。「名を求めず、利を求めず」を貫く姿勢が、本当に尊いです。そんな良策の思いをよく理解し、明るく支え続ける千穂の姿も眩しく映ります。
全体を通して予想を裏切るような展開はありませんが、雪の峠越えを命懸けでやり遂げた父親たちが、「お金をもらってやるような仕事ではない」と言って良策に報酬を返すシーンに思わず涙が滲みます。良策の熱い思いが、周囲の人の心を動かし、やがて藩をも動かしていく、終盤の大逆転に溜飲が下がります
こんな感じで心揺さぶられる話ではあるのですが、前半のゆったりテンポと起伏のなさが少々眠気を誘います。もう少しテンポを上げ、良策の苦労と苦悩をもっともっと感じさせてほしかったです。とはいえ、この事実を全く知らなかったので、とても勉強になりました。
主演は松坂桃李さんで、熱のこもった演技で良策を演じています。脇を固めるのは、芳根京子さん、三浦貴大さん、宇野祥平さん、坂東龍汰さん、矢島健一さん、益岡徹さん、山本學さん、吉岡秀隆さん、役所広司さんら。中でも、矢島さん、益岡さん、山本さんらベテラン勢が、短い出番でもしっかりと爪痕を残す、いい仕事を魅せています。
『劔岳 点の記』を想起させる雪山シーン
肝心な「克服」が如何にも軽い
鑑賞前は前情報を極力入れないようにしている私。ところが、先週に新宿ピカデリーを訪れた際、通常の予告編とは別の「本作の解説動画」をついつい観続けてしまい、大筋でどんな話かを知ってしまうという想定外。まぁ、松竹作品だし松竹直営映画館で売り込みするのは当然のことで、私のリスク対策不足ですね。と言うことで、劇場鑑賞は見送ろうかなとも考えたのですが、小泉堯史(監督・脚本)×上田正治(撮影)の最新作は観ておくべきかと考え直し新宿ピカデリーへ。上田さんの訃報の影響もあったのかと思いますが、10時50分からの回はなかなかの客入りです。
と言うことで、まず作品のルックは言うまでもなく素晴らしい。名匠・上田正治の撮影技術は自然の美しさ、過酷さ、壮大さが伝わりながら、どこをどう見ても紛れもなく時代劇映画に仕上がっていて、スクリーンを通してその世界観に引き込まれます。偉大なお仕事に感謝するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。
次に内容についてですが、、ふむ、やはりと言うかそりゃそうなんですが、数日前に知ったばかりの大筋通りの展開が続きます。ですが、史実がベースであるためそれはある程度当然のことで、重要なのはその見せ方。前作『峠 最後のサムライ』だって最後の最後まで「河井継之助の落とし前のつけ方」に目が離せなかったわけですから、今作でも「笠原良策の偉業」をどう見せてくれるのか集中して観続けます。
ところが、、、パターンとして乗り越えなければならない「困難」からの「克服」の繰り返し構造なのですが、肝心な「克服」が如何にも軽い。。中でも今作最大の「困難」である「峠越え」。猛吹雪の中、優に腰の辺りまで沈み込む雪をかき分けて峠を登っていくのですが、皆が倒れ込んで動けなくなるほどの状態から、助けが来た直後にシーンが切り替わると・・・「そんなわけない。。」と苦笑せざるを得ず、、もうこれは脳を空っぽにして全部受け入れましょうと開き直るしかない。
何なら、劇場も皆さん泣いている様子はなく、むしろ笑いがこぼれるシーンがチラホラ。原作未読のため、どこまでが映画オリジナルの脚色かは判らないものの、主にフィクション性が高い部分はそれまでのトーンと異なった思い切りのよい演出が。例えば「良策(松岡桃李)が悪漢に囲まれるシーン」の立ち合いと台詞は、そのあまりの変さに劇場の方々から笑い声。また良策の妻・千穂(芳根京子)も大活躍で、こちらも「質屋に押し入ってくる強盗」を見事に返り討ちした後の亭主とのやり取りがまた可笑しく、更に終盤でその伏線を回収する「男之助」はもうニコニコして観るしかありません。一応私の解釈としては、立派で真面目な笠原夫妻に対する「微笑ましいギャップ」を見せる意図かな、なんて。お茶目ですね。
とは言うものの、正直言って映画作品としては少々物足りないかな。。これだけの「困難」と「克服」を117分でまとめるのは「やや詰め込みすぎ」で、結果的にこの偉業を処理しきれてないように思います。イマイチ大変さが伝わりづらく、作品に対して思い入れること出来ずに残念。なお、映画は映画として(史実や原作との違いを理由に、低評価をつけるのは違うかと)、参考までにWikipediaを斜め読みしてみるだけでも、笠原良策の正に「人生をかけた」歴史が垣間見えますよ。
ちょっと物足りない
悪くもないけど、凄い面白いわけでもない。一番気になったのは役者さんのセリフがそのまま台本読んでるみたいで堅くて浮いているような気がして違和感が拭えなかったです。松坂さんや役所さん、またドラマ「ライオンの隠れ家」で主人公の弟役で名演が光った坂東さんは、役じゃなくちゃんとそこに生きている人たちという感じがしてさすが、自然体でとてもよかった。風景はとても風光明媚で美しかったですね。そこは大きな画面だからこそ映えていた。天然痘のワクチンを文字通り一命を賭して運び広げ人民に尽くしたことは素晴らしく、感銘を受けます。友人や蘭方医仲間、また知人などいつ裏切られるのかと、深読みして勘ぐって見ていましたが、そんな凝った人間ドラマは全くなく、品行方正な物語にちょっと物足りなさはあったかも。一緒に行った母は(70代)、大満足だったのでご年輩向けのお話しなのでしょうね。
脚本がいまひとつ。
ワクチンの真実
福井へ天然痘の予防接種を普及させた町医者
江戸時代末期、当時は治療法がなく、かかると高確率で亡くなっていた痘瘡(天然痘)が数年ごとに流行していた。福井藩でも例外ではなく、町医者・笠原良策は、その痘瘡に有効な種痘(予防接種)という予防法あるらしいと知り、京都の蘭方医・日野鼎哉に教えを請い、私財を投げ打って必要な種痘の苗を福井に持ち込んだ。しかし、天然痘の膿をあえて体内に植え込むという種痘の普及には、奉行所や他の医者の邪魔など、困難が立ちはだかった。それでも良策は、妻・千穂に支えられながら困難な状況を克服し・・・そんな、実話に基づく話。
見所満載。
まず、主人公の笠原良策の志が素晴らしい。そして、医師としてだけじゃなくて武術も素晴らしいこと。そのため暴漢に襲われても退治できた。こんな全国的には無名の人物を取り上げて作品にしたプロデューサーや監督にも敬意を表したい。
妻千穂も自分の持ち物を質屋に持っていき夫に協力する姿勢が素晴らしい。また、武芸の心得が有った事も良かった。
雪の中の峠越えのシーンは、がんばれ、と手に汗握って応援してた。
主演の松坂桃李が良かったのはもちろんだが、妻・千穂役の芳根京子が美しくて強くアクションも披露してくれて凄く良かった。日本髪も似合ってた。
役所広司、吉岡秀隆、三浦貴大らもキーマンとして活躍してた。
元子役の新井美羽も観れたし、はつ役の三木 理紗子は演技も良かったし歌も上手かった。
素晴らしい作品だった。
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