劇場公開日 2024年4月27日

「抵抗への呼びかけとプロパガンダ」夜明けへの道 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

抵抗への呼びかけとプロパガンダ

2024年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 2021年のミャンマー軍事クーデター以降の独裁政権による言論弾圧下、指名手配を受けた監督が民主派勢力地域に逃れ現在の国情を訴えるドキュメンタリーです。冷静な目で見ると、これはかなり辛い作品でした。

 軍事政権の非人間的な圧政と、民主化を求める人々の映像が紹介されるのですが、それを世界の人々に訴えるだけでなく、ミャンマー国内の人々に対して、「武器を持って立ち上がる」事を訴えるのです。物理的・肉体的・経済的暴力に対しての武力による抵抗を安全な場所に居る僕があれこれ言う事は出来ません。でも、そうした場面から作品は「抵抗勢力によるプロパガンダ」の様な色彩を帯び始めます。きな臭いにおいに身を委ねる気がして、心の居心地が悪くモゾモゾしました。この映画自身を支持していいのかどうかすらも躊躇するに至ります。

 「甘い事、言ってんじゃねぇよ。だったらどうしろと言うんだ?」

と監督に問われたら、口ごもってしまうしかありません。

 軍事政権が誤っている事は恐らく間違いありません。だから、「互いに銃を置きましょう」なんて言葉は監督らの居る場所では何らの力も持ち得ない事はよく分かります。でもね・・なのです。

 「戦争と平和」についての自分の考えの試金石となる一作でした。

La Strada