劇場公開日 2024年8月30日

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愛に乱暴のレビュー・感想・評価

全133件中、1~20件目を表示

4.5小説と映画、それぞれに異なる魅力

2024年8月31日
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鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

原作は、2011年から12年にかけて新聞連載され13年に単行本化された吉田修一の同名長編小説。「おじいちゃん、死んじゃったって。」の森ガキ侑大監督と脚本・山﨑佐保子が再タッグで映画化した。この「愛に乱暴」をまず試写で鑑賞し、それから小説を読んだのだが、ストーリーと表現手法の両面で、小説と映画それぞれに異なる魅力を備えていることに感心させられる。

ストーリーに関して、340ページにも及ぶ原作を2時間弱にまとめるため登場人物と出来事の整理は当然ながら、映画版では主人公・桃子(江口のりこ)をより追い込んでいくエピソードがたたみかけるように続く(小説では実母などのわかりやすい支えがある)。大きな西瓜(桃子が腹に抱えた姿は妊婦のようにも見える)、義母から渡される大量の生魚などはヴィヴィッドなイメージを伴う映画オリジナルの小道具だ。桃子が購入するチェーンソーが、原作の電動式からエンジン駆動式に変更されたのも、爆音のインパクトを活かすための改変だろう。

小説から割愛された部分にももちろん面白い要素はたくさんあって、特筆したいのは離れの家にまつわる歴史。小説と映画のどちらでも非嫡出子(婚外子)が重要なポイントになっているが、小説では初瀬家の男に受け継がれた因縁として描かれ、それが離れの存在や、床下をめぐるエピソード、さらに不審火騒動にもつながってくる。未読の方のためここまでにとどめておくが、この物語のキャラクターたちをもっと知りたいと感じたなら、ぜひ小説も手に取っていただきたい。それぞれに異なる魅力があるという点に、きっと共感してもらえると思う。

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高森 郁哉

4.0人間、そして夫婦というミステリーが際立つ

2024年8月31日
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鑑賞方法:試写会

この映画は初めから観客に包み隠さず全てを見せている様で、そうとは言えないところがあるので油断がならない。夫婦間に漂う不穏な空気。双方ともそれを幾らか感じているのだろうが、夫は話し合うどころか、妻と面と向かって言葉を交わすことも億劫と言わんばかり。その原因は何なのか。我々は二人を覆うモヤモヤの実態を突き止めることができないまま、幾重にも柱と梁が入り組んだ家庭生活という幻想を見つめ続ける。主演の江口のりこはこの曖昧で不可解な空気の中を、張り詰めた糸を途切れさせることなく泳ぐのが抜群にうまい。そして徐々に感情を露わにする領域でもなお、切実さと共になんとも言えないおかしみを醸し出す。対する夫役の小泉孝太郎の、外見からして従来のイメージとは全く違う、誰も見たことのない異様な存在感は何なのだろう。決して派手さはない作品ではあるが、そうであるがゆえに物語を貫く観察眼、ひいては人間という謎が力強く際立つ。

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牛津厚信

3.0簡単な事なんですよ。

2025年2月22日
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鑑賞方法:VOD

笑える

悲しい

怖い

結局は人と人の繋がりって簡単な言葉一つで良いのですよ。夫婦にしても義母にしても上司にしても一言も「ありがとう」って言葉がもらえない。
モモさんは普通に親切に誠実に生活しているだけなのに・・・過去の事もあり不穏な空気になり、全部自分のせいになってってしまいブチ切れてしまう。ただ一人だけゴミ捨て場の掃除をいつも陰から見ていた外国人に「ありがとう」って言ってもらえて救われる。今の世の中、たった一言でいいんですよね。それだけで繋がれるんですよ。

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アマッポ

3.5江口のりこの一人芝居を愉しめる

2025年2月21日
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鑑賞方法:VOD

個人評価:3.6
吉田修一の空気感はあったが、他作の映像化と比べ、ややライトな作風と感じる。
しかしながら、出ずっぱりの江口のりこの一人芝居をたっぷり愉しめるので、ファンには堪らない。

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カメ

5.0人生にはどうにもならないこともある。 吉田修一原作の映画で 「楽園」(2019)もそういう映画だった。 この映画は江口のりこの代表作だと思う。

2025年2月7日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

動画配信で映画「愛に乱暴」を見た。

2024年製作/105分/G/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:2024年8月30日

江口のりこ(初瀬桃子)
小泉孝太郎(初瀬真守)
馬場ふみか(三宅奈央)
風吹ジュン(真守の母親)

森ガキ侑大という監督は知らない。
原作は吉田修一。

馬場ふみかはグラビアでよく見かけるのだが、
映画で見たことはなかった。
意外なことに20本くらいの映画に出演している。

江口のりこの映画は、
あまろっく(2024)
愛がなんだ(2019)
パッチギ!(2005)を見たことがある。

桃子は夫の母親の家の離れに夫と住んでいる。

桃子は夫に対して愛情を持っているし、
義母に対してもきちんと対応する。

夫のシャツにアイロンをかけたり、
手のかかる手料理をちゃんと作っている。

それに比して夫の桃子に対する態度はどこか無関心で
冷たい感じがする。

桃子たちの日常を淡々と描く。

映画の中盤くらいで物語は動き出す。

夫が連れてきたのは若い女で、
女は夫の子どもを妊娠しているという。

夫は桃子に離婚してくれという。

憤る桃子。

そりゃそうだろう。

自宅に戻らない夫。

会社帰りの夫を尾行する桃子。

女のアパートの部屋に入って行く夫。

「ただいま」

夫はそう言った。

別の日、桃子は夫の浮気相手の女の部屋に単身乗り込む。

女は妊娠5カ月だという。

女の家を後にする桃子。

そこから桃子のつらい気持ちがずっと描写される。

人生にはどうにもならないこともある。

吉田修一原作の映画で
「楽園」(2019)もそういう映画だった。

この映画は江口のりこの代表作だと思う。

満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。

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ドン・チャック

3.0「ありがとう」と

2025年2月7日
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少しずつ、
でも確かに、
遠くなる距離感。
「ありがとう」と言ってもらえていたら、
その距離はここまで離れなかったのかもしれない。
夫婦って、どうにもならないときは、どうにもならない。

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上みちる

3.5原作未読

2025年2月3日
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鑑賞方法:VOD

タイトルと予告映像から、これはなかなか乱暴そうだなぁと思って観たが、レザーフェイスのようなあれではなくて安心した。しかしまあ、チェーンソーが良くお似合いで。

え、あのSNSの投稿…あー…ほえ〜。

ちょっと原作を読んでみたくなりました。

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よしお

3.0可哀想な女

2025年2月2日
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よくみると何も悪いことしてないのにね。むしろ色々頑張ってる。それなのに誰からも必要とされない感じ。その振る舞いも絶妙にウザくてなんとなく分かるんだけども。やっぱ可哀想。最後のありがとうと言ってくれありがとう、は、これまでの全ての回収というか。染みた。その一言が欲しかったんだよねぇ。愛猫と床下の肌着の関連性がよくわかんなかったけど、とりあえず彼女の幸せな未来を願います。

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いつこ

3.0丁寧な暮らしが虚しい

2025年2月2日
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結婚も夫を主体に生きるのも丁寧な暮らしも本当虚しいですね。でもずっとこんな暮らしが推進されてきました。社会が推進されてきた生き方を誰もがしなくなった現在、桃子という主婦の描き方も変わりました。時代の変わり目なんですね。

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ミカ

4.0チェーンソー

2025年1月30日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

主人公(江口のりこ)は主婦、夫(小泉孝太郎)の実家隣に住んでいる。
子どもはいないが穏やかな日々を過ごしていた・・・はずだったが、夫が突然別れてくれと言い出し、人生の歯車が狂いだす。
主人公の愛の深さに驚く。

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いやよセブン

2.0チェンオイル入れたんか?

2025年1月29日
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鑑賞方法:VOD

思ったより日常系だった。
でも「桃子の日常が少しずつ乱れはじめる。」っていうのはミスリードですよね。
少なくとも見る側に提示された画面では初めから乱れてる。
それが顕在化してくってお話なんだけど、ミステリー的な面白みは薄かった。

ただあのロンパースかな?を抱きしめるシーンはね、かなり応えましたね。
桃子の心情にぐっと引き込まれて、見てるこっちも辛かった。

あと別にいいんですけどチェンソーは誰も監修してないのがバレバレでした。
本体だけ買ってきても使えないわけで
燃料どうした?チェンオイルちゃんと入れたんか?せめて手袋しろよ、と。

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mar

4.0ありがとうの言葉

2025年1月29日
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おすすめに挙がってきたのでなんとなく鑑賞したら、重くシコリになって胸に残ってしまいました。

単純に「ありがとう」って言葉を発しない人たちとともに暮らしていくことって、じわじわと精神を蝕むほどのストレスだろうと共感した!
本当にこの夫親子はお礼を言わない!怒
主人公が恩着せがましい感じなので、わざと言わないのかなとも思えるけどね。
最後に涙流すほど他人のありがとうが沁みたよね〜。その一言でやり直せるかもって思えるんだよね。

しかし夫婦の会話ってこんな感じでつまらないもんだと思ってましたが、興味のなさかって言われたら我が家もだめかも。笑
主人公の振る舞いもわかるな。
ありがとうって言って欲しくて振る舞うんだけど逆効果って言う。。
なんなそんな主人公の気持ちがわかってしまうのが、悲しいかなシコリになってしまったポイントでした。
注目するところが偏っているとは思いますけどね。さすがにチェーンソーのチョイス、暗いストーリーに狂気と活気をもたらしてくれたので面白かった。

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テリマカシー

3.0江口のりこが旦那の不倫相手宅に凸してひとしきり怒鳴り散らして家を出...

2025年1月26日
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江口のりこが旦那の不倫相手宅に凸してひとしきり怒鳴り散らして家を出たところで何かが倒れる音が聞こえて、一瞬の逡巡の後にダッシュで家に戻るシーン良かった。江口のりこの心根の優しさが説明なしに伝わってきた。

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zzzzz

3.0寝盗った女が寝盗られただけの話 猫の死体を見せられるんじゃないかとビクビク

2025年1月24日
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原作未読ですので、とてもシンプルな内容にしかみえなかった
ちょっとしたミステリーはあったけどね
だって女癖の悪い色男に振り回されたけど、義母がまともな人で、まあまあの慰謝料をもらえたって話でしょ

なので、江口のりこだけを堪能する作品ですね
それだけの価値のある数少ない役者です

愛猫家には、いつ猫の死体を見せられるかヒヤヒヤさせられたのはイヤでした

それにしても、ポスター
綺麗に撮ってもらえましたね
誰かわからなかったよ

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nakaji

4.5江口さんさすがでした!

2025年1月23日
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怖い

江口のりこの狂気が凄まじかった
薄幸な表情、着ている服、話し方全てがそれをさらに際立たせていた
夫役の小泉孝太郎も刑事役かサスペンスドラマでよくお見かけするが
2人とも映画でこの役どころ、夫婦役というキャスティングも絶妙だった
安定の姑役の風吹ジュンさん。
結局、母親は不倫をしていたって息子の肩を持つわけだ。

この台詞はかなりキツかった。
「つまんないんだよ、一緒にいても全く楽しくない」
不倫をする男性たちの一番の理由かもしれない
ももこは「私なんかした?」って聞いたけど
何もしてないし、いるだけでつまんないって存在の全否定だな

ありがとうって言葉を心から伝えてくれる人はなかなかいない
ただの上辺だけの社交辞令になってしまうことが多いだろう
外国人からの一生懸命に覚えた日本語での「ありがとう」は
傷ついた心にいっそうしみたことだろう
さあ奥様方、家事ばかりやってないで、自分のために時間を使おう
友達とご飯食べて、いろんな話をしよう
自分の人生は自分でしか楽しめないのだから…

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さくらん

5.0モモコの心の表現

2025年1月20日
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鑑賞方法:VOD

何とも不思議な作品
物語そのものはわかりにくくないものの、その意味していることに対する解釈は非常に難しく感じる。
基本的に描かれているのがモモコという人物で、その心理描写を映像だけで表現している。
彼女は普通の主婦であり、リフォームの話もあるように、改善箇所は古い住宅だけのように思える。
そのリフォームの話も進んでいたようだが、何故か夫のマモルは関心を示さないことで、この物語の不穏な部分が醸し出される。
発端は猫がいなくなったこと。
そもそも捨て猫に餌付けしていたモモコだったが、子供のいない寂しさがそこに垣間見れ、同時に様々な些細な影も見えてくる。
このスタートの空気感は「ねじ巻き鳥クロニクル」と似ている。
この染みのように舞い落ちてきたことが、やがて大きな問題がやってくることを告げている。
だが、ねじ巻き鳥とは違い、猫は帰ってこない。
猫はモモコ自身であり、最後にそれが靴音となって示される。
「明日からゴミは別々に出しませんか?」「もう今日からよ」
他人となったかつての義母
青いアイスキャンデーをかじるモモコの着ている真っ赤な服は、腹が煮えくり返っている象徴だろうか?
解体工が壊していたのはモモコたちが住んでいた離れだ。
「私はここを売ろうと思っているの。あなたは離れを自由にしていいわ」
タイトル 「愛に乱暴」
些細な他人への気遣いや気配りという日本人らしい気質を持つモモコ
会社を辞めて8年
この間にあったコロナ渦によって、日本人の日本人らしい気質や常識が大きく変化してしまったことを監督は忍ばせているようにも感じた。
彼女が持っていた常識的感覚は、夫が「ありがとう」と言わないことや、義母のいつもの含みのあるような態度と「また何かかくしているんじゃない?」という言葉、すべてがモモコの気遣いに対するありがた迷惑のような態度として示めされることで次第にモモコ自身が狂っていくようだ。
特にミヤケのアパートで、相手に対し思いをぶちまけた後、彼女が倒れたような音を聞いたことでドアを開けたことがモモコの持つ常識と周囲の感覚の乖離を表しているように思えた。
あのスイカもまた赤い服と同じで、中を割ることでモモコの腹の煮えくり具合という赤い色を表現していたのだろう。
憎い相手に対してさえも、その体への気遣いという常識がつい走ってしまう。
この気遣いという名の愛に対する人々の返事が、あまりにも乱暴ではないのかと監督は言いたかったのかもしれない。
モモコが時折見ていたSNS 流産のことや妊活の呟き
これはおそらく彼女自身がかつてマモルと不倫をしていた時に呟いていたもの。
それを見始めた理由
夫の浮気を直感
同じことをしていたからこそ気づいたのだろうか?
その当時の自分自身と被るミヤケの立場
モモコはきっと因果応報的な心情になったのかもしれない。
夫のシャツから感じた不倫のニオイ
会社の不誠実な対応もまた、タイトルの一部であり、いまの社会を表現している。
「いまだけ、金だけ、自分だけ」
このような言葉が今の日本社会の実態なのかもしれない。
さて、
連続するゴミステーションの不審火
これはいったい何を意味したのだろう?
おそらくそれはモモコの日常が少しずつ壊れていく象徴かもしれない。
彼女は最後に自分たちが住んでいた離れを壊すが、それは以前、マモルと前妻が住んでいた場所でもある。
不審火は形を変えて離れを壊した。
そしてそれはモモコ自身の心へも飛び火した。
でも彼女はその歪んだ部分だけを燃やし、日本人的な常識は残したいと考えたのではないだろうか?
だから青いアイスキャンデーで守りたい部分を消火をしていたのではないか?
モモコはニオイを嗅ぐくせがある。
それはこの現実に対する認識や記憶に残すことや自分自身を確認していたなどいろいろと考えられるが、モモコ自身の現在の位置を確認していたのかもしれない。
首輪をつけられたまま捨てられる猫
それは、モモコ自身のことだったのかもしれないが、彼女は気丈だ。
戻ってこなかった猫は、もっと別のいい場所を探しに出ていったのだろう。
エンドロールで流れるリズム感のある毅然とした靴音
その目的意識のある靴音は、もっといい場所に向かっていると解釈した。
モモコが、
実家で見た姉弟夫婦と子供たちは、かつてモモコが夢見た光景だったに違いない。
電車の音に合わせて大声で歌うのは、気丈を貫く昭和女性を思わせる。
他人に気遣いしても浮かばれることのない、変わってしまった社会
しかしそれを、外国人が見ていた。
やる気のないように聞こえる挨拶 客のクレーム 日本で委縮しながら生きている。
「商品の説明がわかりにくい」
サービスに対する苦情という返事もまた、タイトルとつながる。
少し前にあった茶店で出されるサービスの水 その中に垂らされたレモン水
それが気に入らないから普通の水と取り換えろと文句を言う客
サービスが気に入らなければ受ける必要はない。
彼が普段感じる歪さ だから同じように苦悩するモモコのことがわかったのだろう。
「いつもゴミ捨て場をきれいにしてくれてありがとう」
「ありがとうって言ってくれてありがとう」
これが彼女が原点復帰できた出来事だった。
「やっぱり私は間違ってない」
変わってゆく中でも変わらない日本人気質を続けていく決意。
そして、
シャツのニオイから感じた不倫の気配よりも、彼女は猫を探した。
それは、
もう失ってしまうものよりも、まだ残っている無償の愛を優先したいから。
床の下、もしかして出られなくなっているのかもしれない。
チェーンソーで床を切ってみたものの、そこに猫はいない。
そして掘り返した後を見つける。
発見した缶と中にあったベビー服。
それはマモルと前妻の、生まれなかった子供の服だろう。
流れてしまった子供。
モモコはその子に思いを馳せる。
あの時、一瞬たりともやまずに聞こえていた心音を思い出す。
当時の前妻の気持ちが、ベビー服を通してモモコに流れ込んできた。
ゴミ
吐出してゴミ出しシーンの多い物語
想い出を捨てられない義母
実家のクローゼットにあった、かつての思い出
捨てる決意
相手を気遣い、相手に合わせ、自分を殺し、相手に文句を言われ、自分の所為にされる。
最後に着ていた赤い服は、そんな風に他人に合わせて生きてきたモモコ自身に対しての怒りを表現していたのかもしれない。
青いアイスキャンデーはやっぱり消火で、そんな自分自身を諫めていたのだろうか。
やがて聞こえてくる靴音
彼女が目標に向かって歩き始めたサイン
帰ってこなかった猫は彼女自身だったのだろう。
非常に解釈が難しい作品だが、語られない彼女の心の中をとても豊かに表現している。
素晴らしい作品だったと思う。

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R41

4.0タイトルなし

2025年1月17日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

ありがとうは存在を認める言葉

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いのしし

4.0存在意義を探す旅

2024年11月24日
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鑑賞方法:その他

丁寧な暮らしを心がけていたが
だんだんそれが崩れていく人妻の話。

広島国際映画祭で鑑賞しました。

江口のりこさんの演技力の凄さを
これでもかと感じられる作品です。

序盤はどこにでもいそうな人妻の
ちょっと気まずくて恥ずかしくていらっとする
日常が描かれているだけかと思いきや、
そこからの加速がすごいです。

ちょっとおしゃれな仕事をして
家を綺麗にして、いい料理を作って、
夫の親とも仲良くして、
という生活に自分の存在意義を見出すのですが
それが無理になったときの狂気が
生々しく描かれています。

個人的には食パン食べるシーンが
演出こだわってるなあと思いました!すごい!

主人公の周りの人たちがとことん悪い人が多いし
自分の周りにもこんな人いるよなあみたいな
共感ポイントも多くてかなり感情移入もできます。

ちょっとした伏線もあるので
しんどいですが引き込まれる作りです。

決して面白い話ではないのですが、
観た後必ず誰かと感想を話し合いたくなる
素敵な作品だったと思います。

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マスノブ

4.0ありがとう。

2024年11月22日
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鑑賞方法:映画館

夫にも、義母にも、辞めた会社の元上司にもぞんざいに扱われながら、ごみ集積所の散らかりを許さず自発的に掃除してみたり、家族や子どもに気を配って献身的に動いてたり、普通に、冷静に、淡々と日々を過ごす主人公。

トドメを指すような出来事が起こっても、極力冷静に努めるのでした。過去にあった悲しい出来事と向き合うことで今そこにある出来事を帳消しにしようと努力するようにも見えました。
愛に生真面目に向き合う主人公に、もっと「愛に乱暴」に生きても良いんだよ、と感じるところもありました。

そして行き詰まった先で思わぬ言葉、これまで聞きたかった言葉を聴く。そこに、この先のささやかでも希望を見出したのだと信じます。
その言葉の持つパワーを改めて理解しましたし、実際スクリーンから発せられた声にはドーンと胸を突かれた思いがしました。

カメラワークや江口のりこさんの自然な演技でドキュメンタリーかのように観せられたましたが、実際こんな風に過ごす、こんな状況を経験する人は少なくないのかなとも思います。
なので、魔法の言葉を忘れないようにしようと思います。

狂気を持った人間が持つのはやっぱりチェーンソーって、少しクスッとしましたが。

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Eiji

4.5せつない

2024年10月15日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

桃子が相手を想い、大切に接しようとしても、舐められてぞんざいに扱われていく、、可哀想で、せつなくて、、自分に重ね合わせて涙が出ました。
そうしてどんどんあることに執着していく姿に共感してしまいました。幸せになってね、桃子。

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ささき