「江口のりこらしさはある」愛に乱暴 セイコウウドクさんの映画レビュー(感想・評価)
江口のりこらしさはある
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江口のりこらしさが出ている作品。初めから表情が乏しく、これから何かあるとすぐに予測できるのはどうか。淡々と丁寧な生活を送りながらも、心ここにあらずという感じで、楽しさや充実感を感じていないことがわかる。
自分の思い通りにならないことや、すれ違いや誤解は誰にもあることで、本作の主人公だけではない。それでも生きていく中で、自分にできることや楽しさや生きがいを探すしかない。
不倫の末に妊娠し、今の生活を手に入れたことを負い目に感じ、おかしいふりをしていたと言うのは痛々しい。しかし、夫や義母、元上司ばかりを責められない。ホームセンターの店員にありがとうと言われて泣く姿に、承認欲求の高さを感じたが、それこそが主人公を苦しめた理由ではないか。
多くのものを失ったが、本当に自分らしく生きられるのは、夫や子ども、家や家族という呪縛から解き放たれた、これからかもしれない。自分のために生きる、その後の安らかで丁寧な生活を送る姿が見たいと思った。
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