「タイトルなし」愛に乱暴 えみりさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
江口のりこさん宛書かといった感。独壇場。原作読んでないのでわからないけど、床下の秘密にはお母さんも関与しているらしく、精神分析的には抑圧物の回帰か。最初からかなりおかしかったとすれば、流産から精神を病んでたし、もともと問題あったかもしれない。頭は良さげで、それなりに人にも優しく、仕事もきちんとする感は描けているとともに、もともと江口さんのキャラとしての、自分に対してどうでもいい感というか、距離感が出てた。ただし、映像において不気味さがずっと漂っていた。孝太郎とのやり取りは、単に無関心というより、統合失調症家族のそれみたい。風吹ジュンは最近いい人役が多すぎるけど、こんなに嫌な役も上手にできるのだと関心。猫を追っ払うシーンもいい。
女性の不幸はもっと内閉化するけど、こんなに攻撃的なのはスカッとする。と共に、やはりそれは伝統芸として狂気として表現される。孝太郎の反復と無神経さと裏腹の正直さも物語として見事である。風吹ジュンがやり直せるわよというシーン、妙に救いがある。
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