劇場公開日 2024年8月30日

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「雄弁なポーカーフェイスにしてやられた!」愛に乱暴 shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0雄弁なポーカーフェイスにしてやられた!

2024年8月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

徐々に真実が明かされる度に、それまでのシーンを誤解していたことに気づき、心が揺さぶられまくりでした!
ミスリードも巧みで、確かにサスペンスですが、濃厚なヒューマンドラマとしても、女性や家の問題に言及した社会派ドラマとしても奥深い。

登場人物たちの細やかな心理描写が素晴らしい。
本音を出さないように表面上は取り繕っているけど、ちょっとした態度や仕草から心の声が漏れ出ちゃってますから。
そんな心の声たちに、イラ立ち、傷つき、共感しました。

小泉孝太郎さんのダメダメ夫も素晴らしい。笑
夫婦の会話が絶妙!
適度にモテる感じがするし、母親のことは桃子まかせだし、自分本位のお坊ちゃん。
トドメのセリフには開いた口が塞がりませんでしたが、あれは桃子へ対する誠意だったのかも。

言わずともがな。風吹ジュンさま最高です。
微妙に嫌な感じが素晴らしい。笑
電話の声だけでも裏側の心理を感じ取れる。
桃子への感謝が薄いところは“この親にしてこの子あり”と思わせるけど…
なんだかんだ息子が可愛いんだなぁ。
でも真守は絶対肉派よね。
母親と息子の距離感も絶妙。

とにかく江口のりこさんの雄弁なポーカーフェイスに騙されます!
ガラス戸に向かって「おかぁさーん」と呼びかける声のトーンもたまらない。苛立ちを抑えて明るく聞こえるギリギリの声。
自分の中の“正しくはこうあるべき”を貫き、社会的な属性にこだわる、桃子心理が手に取るようにわかる…
と思っていたら、不意に足元を掬われます。
漏れ出ている桃子の心の声をわかった気になっていた自分が恥ずかしい。
じゃあ、あのシーンは“正しくはこうあるべき”だけじゃなかったのか。。。
サティの名曲『お前が欲しい』が切なくて胸を締め付けられました。

驚きのラストには、見た方それぞれの感想があるでしょうが
私は桃子が社会的な肩書きから解放されて、自分の存在意義を見出すことができたと感じました。
きっと桃子はリフォームした家のオーブンでスペアリブを焼くことだろう。

クスッと笑えるシーンも大好き。
会社の元上司が戻って来ない気まんまん。
急かされたのに相手が遅れてくる。とか笑えました。

shiron
YOUさんのコメント
2024年9月11日

2人分でも800gって結構な量よ(笑)

YOU